SMART500、立ち上げの軌跡

「カードゲームを作ってゲームマーケットに出展したい」という人のために書いたものです。すでにカードゲーム作りを生業にしている方や、すでにゲムマ出展に関して自分のスタイルを確立しているの方には役に立たない情報ばかりかもしれません。長いので時間のある時の暇つぶしにお読みください。

2018年春・秋で1500個を頒布

SMART500ゲームズは2018年にゲムマ春秋あわせて1500個を頒布しました。
今日から何度かに分けて、2018年頭のSMART500ゲームズの立ち上げから2018年秋のゲムマまでの流れをまとめようと思います。同じようにすれば同じ様に売れるわけではないですが、今後ゲームマーケットで出展したいと考えている人の一助になるかもしれません。

「ここ、過疎地だな」

2017年秋のゲムマで隣のブースの人が呟いた一言が今も忘れられません。
2015年からオレラントは試遊卓無しの最小規模のブース(長机半分スペース)で出展し続けていました。2017年秋、オレラントのブースは会場の外周、しかもブースは外壁を向いた方向に配置されており、目的があってそこを通る人以外はだれも近寄らないような場所でした。

会場マップが公表された時点から「ここ、人が通らないのでは?」という予感はしていましたが、それでも朝の待機列のすぐ近くだったので、待機列の人達が少しは流れてくるかなと楽観視していました。

まあ、甘かったです。

開場直前になって三角ポール&ロープがゲムマ中央に向かって張られたためこちらへの導線は完全に絶たれました。我々を横目に過ぎていく人たちを見ながら隣のブースの方がボソリとつぶやいたのが「ここ、過疎地だな」でした。三角ポール&ロープは30分ほどして撤去されましたが、客足は変わらず。なお、そのセリフをつぶやいたサークルさんは2018年春、秋どちらも出展されなかったようです。

2015年秋から出展している「オレラント」は初出店から成功、失敗を交互に繰り返していました(失敗談の詳細は話がまたいずれ)。2017年春に思ったよりも頒布数がでなかった分、2017年秋は過去に売れたゲーム(ファンタジーコメンテーター)の拡張で取り返そうと考えていました。

売れた過去ゲームの拡張であることと、販促メンバーが頑張ってくれたこともあって2017年秋の「過疎地」であってもそれなりの頒布はでき、制作費は回収できたのですが、このままのやりかたでは危ないなという気持ちを抱いたのも確かでした。(ファンタジーコメンテーターはその後、残りをすべてコノスさんに委託させていただき、無事完売しました)

2017年末に感じた今後の課題

2018年秋のレビューでも「ゲームマーケットの客層が変わった」というレビューが散見されましたが、それは2018年秋が初めてではなく一年以上前の2017年春には始まっていたように思います。カップルや学生さんなど、2016年にはあまり見かけない客層がすでに2017年には多く入ってきていたように感じています。直前に人狼ブームがありそこからボードゲームに興味をもった人もあれば、テレビなどで取り上げられたボードゲームに興味をもってという人もあるでしょう。

ボードゲーム、なんか楽しそうだからゲームマーケットにでも行ってみよっかなーという客層の中には「カードゲームで2000円?!高くない?!」という感覚の人もいます。実際、私のいとこに自作のゲームの金額を聞かれた時、1500円と言うと即座に「たかっ!」という反応が返ってきました。

最近はダイソーでも100円でいろいろなゲームが売っています。100円でトランプ2セットパックが買えますし、かるたや絵合わせカードなど、子供用としては充分なものが100円で手に入ります。そしてみんなそれを知っています。それと比較されると確かに高く感じるでしょう。

それでもゲムマを回っているうちに会場の空気に染まって「2000円普通かも。お、1000円なら安い!」と感じ始めていくつか買ってくれる人もいると思うのですが、家に帰ってゲムマの魔法がとけると「買いすぎた、ゲムマ行くと散財しちゃうし今後行くのは控えよ」となる人もいるかもしれません。

もちろん逆に「ボドゲ面白い!1000円でも安い!」の感覚のままどんどんボドゲ沼にはまる人もいます。もちろん大歓迎で嬉しい限りです。しかしそれが普通と思ってはいけないと思っています。

一部のゲームマーケット古参出店者の人達が500円ゲームを嫌厭する理由の一つには「せっかく醸成されてきた『カードゲームは1000円、2000円位して普通』という文化・感覚を破壊するな」という気持ちがある人もいるのかもしれません。しかしアナログゲーム=お金がかかる趣味となるのは新しい人が参入しにくいという意味でアナログゲームの将来にとってはよくないと思っています。

高級路線に舵を切った例として着物業界があります。それまで日本人の普段着であった着物が洋服の普及により売れなくなってきた時、着物業界は「着物は高級品」の方向に舵を切りました。普段着として着られるために安価な着物を作る、着る手間の少ない着物を作るという方向もあったと思いますが、それらを選択しませんでした。それが正しかったかどうかは言及しませんが、着物は「特別な時に着る高級な服」というイメージが定着し、市場としては小さくなっています。ボードゲームがそのような位置に落ち着くのは私はもったいないと思います。

話はそれましたが、先程の「2000円、高っ!」という感覚の人たちは、安ければ買うかというと当然そんなわけはありません。同人ゲームでも年々クオリティの高いイラスト、箱の商品が頒布され、お店にも見た目も中身も質の高いゲームが増えてきた結果、少なくとも見た目がメーカー並にしっかりしていなければ、まず近寄らない、説明も聞いてくれないというシチュエーションも多くあります。

ジップロックの製品に近寄り、手にとって説明を聞く「面白いゲーム開拓者」気質の人は、もしかしたら以前と同じ人数ゲムマに来ているのかもしれませんが、ゲムマの客全体としてみたきの比率は減っているように感じます。


「パッケージみて買った」という報告をする人が一定数いることからもわかるのは、ゲームとして面白ければジップロックでもOK!という感覚とは真逆で、ゲームの面白さは二の次、まずは見た目という人が少なからずいるということです。

そういった需要にあわせて箱もカードも見栄えよくすればいいのですが、言うまでもなくそれは製作者にとってジレンマです。

立派な箱はお金かかる。

パッケージイラストをイラストレーターに頼むのもお金がかかる。

お金かけるなら元をとらなければならぬ。

元をとるためにはたくさんつくらなければならぬ。

しかし、売れ残ったらどうする?

…すべての同人ボドゲ製作者が、いつもこのジレンマと戦っています。

正直言うと「外箱の見栄えがよくないと話も聞いてくれない」については2016年にも課題として感じてはいたのですが、2017年秋になって「小規模の出展ブースはゲムマの中心近くには配置されない傾向になってくるのでは?」という不安がよぎり、自分の中で新たな課題になりました。それ自体はゲムマ出展サークルの増加から仕方のないことだと思いますが、なんとかしなければという焦りが湧き上がってきました。

では規模の大きなブース(試遊卓つき)を借りれば解決じゃないか、という話なのですが、もちろんそれにはお金がかかります。

二日間の試遊卓付きっていくらかかる?

それに試遊卓回す人手は?

…あきらかに2017年春までとは違う感覚を2017年秋に味わい(ただ売れ行きが悪かっただけですが)、今後のゲムマとどう向き合うかを真剣に考えることとなりました。

次回はSMART500ゲームズ立ち上げのきっかけになった「500円ゲーム論争2017」について語ります。

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