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#CivicTechLive Vol.2 人が集まるコミュニティとは? 【イベントレポート】

このnoteは、2019/9/4に霞が関SENQにて開催されたCIVIC TECH LIVE(シビック・テック・ライブ)VOL.2の参加レポです。テーマは「人が集まるオフラインコミュニティ」。●会員制Co-Cooikingスペース、●尖ったコワーキングスペース、●くつろぎの雑貨屋さんという三者三様の“オフラインコミュニティ”から、人の集まる共通項が見えてくるイベントでした。

タイムラインはこんな感じ↓。

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メインコンテンツは、上記ゲスト3名からのプレゼンとパネルトーク、そして休憩を挟んで、ゲストごとに3テーブルに分かれての座談会でした。筆者は美食倶楽部を主催する本間さんのテーブルに参加しました(後述)。

(企画・進行は大西翔太さん。インターンシップおよびプログラマーとしてCode Forに参加とのこと。レポート遅くなってごめんなさいね……! なお「知る ✕ 考える ✕ 繋ぐ」というテーマを掲げられていましたが、その消化のためにはたぶん2時間だとキツすぎて、2.5~3時間必要だと感じました)

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このnoteでは、
 ①イベントにおけるCIVIC TECH
 ②本間さんの「美食倶楽部」
 ③三者のプレゼンを横断して考えたこと(パネルトークより)
の3つについて書いています。
他の方のプレゼンについては誰かにお任せします☺

①CIVIC TECHがLIVEで活用されるイベントだった

はじめに書いておきたいのは、イベントに使われたTECHについて。そもそも、僕は「Civic Tech」という言葉をこのイベントで初めて知りました。

Civic Techとは?
・ここ10年くらいの議論。「みんなで直していこうよ」の精神
・課題があったときに、テクノロジーと現場の力を使って課題解決
 =共に作り、共に考えていくコミュニティ

「みんなが共に参加する」ためには、ハード面・ソフト面の工夫が欠かせません。ハード面の工夫として印象的だったのが、「UDトーク」という文字化・翻訳アプリの利用です。音声認識技術を使って会話/スピーチがリアルタイムに文字起こしされ、登壇スペース脇に投影されていました! その様子は以下の写真を。

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筆者はアプリのダウンロードやチェックインに少々、手間取りましたが、リアルタイムで翻訳もされるのは初めて見たので、けっこうな驚きでした。動画でお見せできないのが残念ですが、UDトークの使用例自体はyoutubeにいくつか転がっているので、検索してみてください!

イベント後に、UDトーク開発者の青木秀仁さんと立ち話させてもらったところ、大手メディアを含む多数の企業で導入されているとのこと。メディアにいたのに知らなかった自分を恥じたい……。今後、仕事でも、自分でやるイベントでも、活用したいアプリです。青木さん自身の弁ですが、料金体系が良い意味で「おかしい」です(笑)

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「料理」を軸に、勝手に人が集う仕組み

ここからはイベントの本題に入ります。

イベント主催団体である「Code for Japan」の多岐に渡る活動領域のうち、特に市民セクターに入るのが本イベント「Civic Tech Live!」だそう。Code forのイベントも実はオフラインが多く、それらがどうやったら盛り上がるのか、という課題意識から「人が集まるオフラインコミュニティについて考える」というテーマ決定に至ったそうです。

このnoteで取り上げるプレゼンターは、美食倶楽部ネットワークFounderの本間勇輝さん。

イベント、疲れますよね……?

こんな投げかけから始まった本間さんのプレゼン。本間さんはこれまで、生産者や漁師・農家をつなぐコミュニティでイベントを「死ぬほどやってきた」といいます。

イベントは盛り上がる、でも疲弊する。どうイベント依存から脱却するか?

その答えは、スペイン・サンセバスチャンで見つけた「Sociedad Gastronomica」だった、と本間さん。これは100を超える秘密のコミュニティ(の集合体?)であり、ほとんどイベントを開催せずとも盛り上がっているというのです。

Sociedad Gastronomicaの基本的な仕組みは次のようにまとめられます。

・Sociedad:ソシエダ=ソサイエティ
勝手に料理して勝手に食べて去っていく
無人で基本的に回っている
・売上を作っていく仕組みは、ドリンクとクリーニングの有料提供
・小さなイベントが勝手に発生していく
(ただし月に1回はイベントをやる)

コミュニティとしての規模感は名言されませんでしたが、サンセバスチャンは人口18万人(日本の地方都市の規模)であることがヒントになりそうです。

このSociedad Gastronomicaを参考にして、本間さんは「美食倶楽部」という会員制コミュニティを立ち上げ、クラウドファンディングに成功しました。場所は@六本木、50人・3ヶ月で18,000円の枠が、なんと2日で埋まったとのことです。 ※執筆時点、募集終了しています※

以後、現状の利用者や目的のポートフォリオが、グラフも交えて説明されました。進行中でもありますし詳細は省きますが、例えば、独身者がほとんど、外食単価5000~10000円(高所得層ですね)、同僚・友人5~10名の普段遣い目的であることなど。

店舗は、料理を起点にすることで「超絶仲良くなるコミュニティ拠点」になっていると本間さんは言います。

特に重要と思われたのは、「オーナーシップを持った会員組織」という観点です。本間さんいわく、これはヨーロッパのコモンズ的発想に習っているといいます。紹介制でしか入れないシステムは、コミュニティに対して「自分の(もの)である」というオーナーシップが発揮されます。ドリンクが自己申告制であるのも、同様の効果を有します。事実、上述の通り、利用目的の多くは同僚・友人5~10名の普段遣いが多いのです。

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年内に全国5か所ができる予定という背景もあり、プレゼン後の座談会では、「どうやったら全国展開できるか」という本間さんからのテーマの元、意見交換が行われました。

その中で、ビジネス側面のこぼれ話も。例えば、美食倶楽部の仕組みは、既存施設でサービスの並列運営を可能にします。実際、六本木の実験店舗は貸借で、全ての時間帯で使用できるわけではありません。また、一般的な飲食店経営でP/Lの重荷となる人件費や原価が“ゼロ”となる点も特徴だと話されていました。(月に何度かはイベント開催はしているとのこと)

想いとして語られた

お金が無くたって豊かになれる仕組みがあるといい

を実現するには、地方ごとのリブランディングや「(田舎では得られにくくもない)仲間との良い時間」以外の訴求も必要なのかなと感じました。


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パネルトークから垣間見えた、「人が集まる」のヒント

短時間ながらもパネルトークが行われました。私見ですが、以下の質疑からは、「人が集まるには、オーナーが手を放すこと、コントロールしようとしないこと」という逆説的な共通項らしきものが見えました。

Q:どうやってコミュニティを自走させる?

本間さんA:自分自身の好きな場を用意して、それを会員が運営している。会員はマブダチ同士じゃないのに、居合わせると勝手に仲良くなる。むしろ、これはコミュニティなのか?(笑)

トニーさんA:レイアウトを任せる人がいるなど、自分が携わらない方が自走すると思っている。任せる事について、怖いなとも、あまり思っていない。

グミさんA:co-ba渋谷から自分をなくすことを目的に活動している。コミュニティに入っても、やりたいことを達成できない場合に、「皆が」背中を押してあげるだけだと思っている。そこがより上手くいくように、間に入ってあげるだけ。
Q:どこまで狙って設計した?

本間さんA:設計通り。自分の仲間と良い時間を過ごしたいというニーズに対するソリューション。良い誤算しかない。

トニーさんA:チームが一人になるというネガティブな状況から始まっている。開始1ヶ月くらいでキャパオーバーして、暇な子にどうしようもなくなって任せたら、回りだした

グミさんA:作り直す時期(なので明言できない)。ただ、ちょっとやりたい人にリソース提供することで自走し、それを見て周りも走り始めている感がある。

どの回答にも、オーナー(とご本人たちは必ずしも思っていない気がしますが)が手放す方向のコメントが見受けられます。と同時に、オーナーまたは参加者の「好き」「熱量」を核に据えておくことも必要条件かもしれません。これら3つが本当に「人の集まるコミュニティ」であるかは、まだ時間的な検証が必要という意見もあるでしょうが、十分なヒントになると感じられました!

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↓他のプレゼンターのトーク内容も含まれたグラレコを貼っておきます!(カバーでは切れてます)画像3

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↓参加者がいなかったのではなく、開始前の会場の様子です
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追記:
11月12日にVol.3が開催されます!


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