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『難が有って"有難う"』

先日、新入団会見、キックオフセレモニーが行われた。目の前にはファジアーノ岡山を応援、サポートしてくれているサポーターが大勢いた。

感じたことがない程の暖かい雰囲気に胸が踊りつつも、僕には"あるジレンマ"があった。意気込みを喋らせてもらう時間があったが、怪我のことを言えずに申し訳ない気持ちで一杯だった…

キックオフセレモニーの次の日、政田グランドでの練習がはじまった。でも僕は、練習に参加できていない。政田に練習を観に来て、「松木がいない」って気付いてくれた方がいた。

ずっと伝えたかった。
僕に声をかけてくれるサポーターに、楽しみにしていてくれているサポーターに。

クラブからリリースがあったので、怪我について僕からも伝えたいと思います。



「右膝半月板損傷」

プロ加入直前でのこのタイミングで、僕は手術をする決心がようやくついた。

遡れば11月。ドリブル中に身に覚えのある傷みを感じた。
「やってしまったかもしれない」
僕は足の回転を緩め、自分でプレーを止めた。

以前、左膝の半月板損傷で2度手術をしている。復帰には約1年かかった。すごく怖かった。またやってしまったんじゃないかって。

病院に行きMRIを撮り、予想通り半月板損傷と診断された。でも以前半月板を損傷したときとは違い、ロッキングの症状(半月板の断裂が大きく関節に挟まり、膝が動かなくなること)はなく、画像を見る限り傷は深くなかった。医師と相談した結果、手術をせずに保存療法でリハビリを進めることになった。

僕は1月からファジアーノ岡山に合流することが決まっていた。そのため、「手術しなくてはいけない」基準になかった膝を保存療法で焦らずリハビリを進め、1〜2ヶ月で復帰することを目指すことになったのだ。

プロとして最高のスタートを切る。シーズンインに間に合う。このタイミングで良かった。
僕はそう信じた。

ファジアーノ岡山は今シーズン、昨シーズンまで指揮を務めていた監督から新しい監督へと変わった。
スタートから猛烈にアピールしたい。
選手なら誰しもそう考えるだろう。

その気持ちがありながらも以前にリハビリを失敗し、2度の手術をするハメになってしまった左膝の経験から、かなり慎重にリハビリを進めていた。

12月になり負傷してから1ヶ月が経った。直線的な動きはいくらでもできる。ジョギングも速いペースで走れるし、方向転換も上手くできる。

それでもキックはかなり膝に響いた。
インサイド如きで響くし、インステップなんて怖くて振り切れない。私生活でも膝を不意に捻ると痛みが出る。

シーズンインまで1ヶ月を切り、シーズンインに間に合わせることを断念した。
ここで無理をすれば左膝のときと同じようなことになる。
僕には分かった。

優先事項をシーズンインに間に合わせることから、時間がかかってもしっかりと治しベストパフォーマンスで勝負できる膝に戻すことに切り替えた。

僕はクオリティで勝負できる選手ではない。悔しいがテクニックがあって怪我を誤魔化せる選手ではない。
ボールに喰らい付き、ボールごとゴールに突っ込む。そんな魂で勝負するプレースタイルの僕は、膝を庇いながらではプロで勝負できないと理解できた。

12月岡山でメディカルチェックをし、5人の先生が僕を囲み入念にチェックしてくれた。先生もファジアーノ岡山の強化部もトレーナーも親身になって相談を聞いてくれた。

少なくても僕を楽しみに待っていてくれたサポーターの方々がいる。綺麗事ではなく数ではない。たったひとりでも僕のことを応援してくれているのなら、その人のために活躍して応えたい。
それは今書いているnoteも同じ。
もちろん数が多ければそれほど嬉しいことはないし、多くの人から愛される選手になりたい。はじめてのnoteにも書いたように、活躍したとき、何か行動を起こしたときの影響力、反響が大きければ大きいほど嬉しい。
ただ、たったひとりであったとしても僕を求めてくれるサポーターの方がいるのであれば僕は頑張れる。

Twitterでメッセージをしてくれるサポーターの言葉に決意を固くしてもらい、はやくプレーを見せたいと昨年契約書にサインしてからずっと想い続けてきた。



幸いにも手術は半月板部分切除で済んだ。縫合術となれば術後約半年かけての復帰となっていたが、切除で済んだことにより約3ヶ月。

松木駿之介が手術したと知って、一体どのくらいのサポーターが残念、もしくは何をやってんだと感じてくれたのか、僕には分からない。期待してくれていた方々には申し訳ない気持ちでいっぱいだし、興味のない方々にはぜひこの機会に僕のことを覚えていてほしい。

これから晴れの国・岡山で太陽のように輝き、これまで共にプレーしてきた仲間や僕を見てくれている人たちに活躍を届けたい。

プレーを観てくれるあなたの心を打つ。あなたの週末をワクワクさせる。
それが僕のサッカー選手としての生きがい。

この期間にしかできないことを積み重ねて積み重ねて、ロケットスタートを切ればいい。
それでクラブのためになれる。
リハビリ中、ピッチに立って活躍する姿を常にイメージしながら、有馬さんの描くサッカーをはやく理解して、復帰後すぐにチームのアクセントとなり武器になってやる。

シーズンインに間に合わず、期待して待っていてくれたサポーターの皆さまには本当に申し訳気持ちで一杯です。



先日、面白いツイートを見つけました。発信は浦和レッズ所属の鈴木大輔選手。

以前、慶應ソッカー部の練習に顔を出してくれたことがありました。その人柄に、一瞬で人として好きになりました。

アスリート2.0
特に意識したことはありませんでしたが、この感覚面白いです。
僕がこの発信をせずに怪我して手術したことだけを知ったら、何やってんだよと思われて終わりかもしれない。でもこの発信によって「もしかしたら期待を持ち続けて待ってくれるサポーターの方が一握りでもいるのかもしれない」と考えると、意地でも力を付けて復帰しようと内からパワーが漲ってきます。
この先、日に日にアップデートされアスリート2.5、さらにはアスリート3.0といった表現の仕方が出てくるのでしょう。
僕自身もアスリートとしてできること、アスリートだからこそできることを考え続け、行動していきたいと思います。

アスリートはスポーツだけやっていればそれでいい。
そう考える人もいるはずです。

そんな考えもあっていいと思う。それだけ賭けてるってことが一目瞭然だから。かっこいいから。

でも僕はアスリートに夢をもらい、アスリートの言葉に人生を変えてもらったから。

だから、よく思わない人がいたとしてもアスリートだからこそできることを積極的にやっていきたい。

こうしてnoteを通じて僕の思考やストーリーを発信していきたい。

はじめてのnoteで書いた、西日本豪雨災害に対してのチャリティーイベントを開催したこともそう。

Instagramもはじめました(アカウント名:matsuki.23)。

サポーターの皆さまともより近く、共に闘っていることを感じ合いながらいっしょになってファジアーノ岡山をつくっていきたい。


なので僕には気軽に絡んでください。気軽に話しかけてください。気軽にご飯でも誘ってください。

とは言っても、何よりも示す場所はピッチの中です。それが変わることは絶対にありません。


『難が有って"有難う"』
この怪我で、きっとまた強くなる。

待っていてください。松木駿之介は力を蓄えて、準備しています。