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猫ちゃんと猫さん、そして母のこと

 noteにいろいろ書いてみようと思ったきっかけが【猫ちゃんの保護】です。と言いつつ趣味やなんやかんやのことばかり書いてしまってます・・・。猫ちゃん・・・猫さんについて語るには、ちょっと心の準備が必要だからです。そういう気持ちを少しずつ解いていけたらと思っています。少し触れているのがこちら。

 ここで【猫さん】について書いています。この猫さんの存在が非常に大きく、いい思い出よりも最期の時の悲しさと辛さが深く刻まれています。猫さんのことというより、その時の自分のキモチ・感情ばかりですね。

 実は、猫さんが旅立ってしまう前に、母の病気が発覚しました。余命宣告も受けました(数ヶ月程度)。当の本人には知らせない形となりましたが、思えば母は気づいていたかもしれません。セカンドオピニオンで転院して手術を受け、抗がん剤治療と入院、転移したところの手術。大きな手術を3度も乗り越えました。母は悲観的とかではなく、ごくごく【通常運転】と行った感じでした。それもあって、ひょっとして・・・と、奇跡あるかも?なんて思ったり。

 大きな手術の1度は、本当に大変なものでした体に、とても大きく傷を残しました。そのあと2度目、3度目も大きな傷を残しました。母は笑って【原型なくなるな~】なんて言っていましたが、お友達もたくさんいてお付き合いも多く、近場の銭湯から雰囲気ある温泉など大好きな人でした。

 ですが体の大きな傷は、自分もそうでしょうがお友達や周りの目があるし・・・と、諦めてしまいました。そうそう、余命宣告をうけたものの、その期限はクリアでき、自宅療養中は割と出かけていました。

 そんな母が退院して帰ってくると、猫さんは心配そうに母の横に座っては顔を見上げていました。猫さんは母に抱っこされるのが大好きでした。それが、手術してからは絶対抱っこをせがんだりしませんでした。ただ、母を見つめていました。

 母も【大丈夫、おいで】と抱っこしてあげようとすると、そっと気遣うようにゆっくりと体を委ね、母が大丈夫だとわかると嬉しそうに喉を鳴らしていました。

 本当に母が大好きで、本当に優しい猫さんでした。

 そして母の出来うる手術が全て終わって、転移した他の部分はもう何もすることができなくなりました。あとはもう祈るしかありませんでしたが、母の元気さと明るさに、このままもっと、平均寿命ぐらいまで頑張ってくれるんじゃと思いました。

 そんなある日、元気だった猫さんが突然体調を崩しました。症状は・・・思い出すのも辛いような、怖くて仕方が無かったというくらいの記憶です。
お世話になっている病院へ行き、処置をしてもらいましたが、このままどうすることもできないと言われました。

 少し持ち直して、発作のようなものは治まり安定しました。それでも、ご飯をアピールしたりおもちゃで遊ぶよう催促したり、全くなくなってしまいました。

 そんな日を何日か過ごし、再び症状が悪化して入院。自分は仕事で時間内にお見舞いに行くことができなかったけど、兄と母が様子を見に行って呼びかけると、横になりながらも手を伸ばすような仕草をしたそうです。

 なんとか持ち直し安定して、家族で相談して連れて帰ることにしました。お家では、うつらうつらしてるようでしたが、家族の声を聞いて反応はしてくれていました。

 翌日の朝、目覚めることはなく旅立ってしまいました。

 母は眠ったままの猫さんを撫でながら【きっと自分の身代わりになってくれたんやなぁ。命を分けてくれたんやなぁ】とずっと言っていました。

 自分はその日仕事だったので出勤しましたが、もう本当にどうにもならず。外回りの仕事だったので、途中で車を止めて泣いては拭いて泣いては拭いての状態でした。

本当にそれが辛く、そして母の言葉も辛かった。

 その年、会社で可愛がってくれていた方が、仕事中突然倒れてそのまま帰らぬ人となりました。自分としては、朝会話を交わして【今日も気をつけていかなあかんに~】と、私のことをちゃん付けで呼んで気にかけてくれていたその人が亡くなってしまったこと、若すぎる、早過ぎるとショックでした。

 お通夜へと準備をしていた時に思わず母に【こんな辛いことはもう嫌!辛い!!!お通夜なんて・・・】って言ってしまいました。母は【そうやなぁ、辛いなぁ。・・・】と言って、泣いている私の背中をさすってくれました。

 それから数日後、その日は残業していた私に兄から電話があり、母が調子悪くなったから父と病院に行ってそのまま入院になったと言われました。

 私は、先日のお通夜の時に言ってしまったことの後悔と、母が逝ってしまうと怖くなってしまいました。家に帰り、電話がかかってくることも怖かった。でも、かかってきた電話は母で、【お父さんが大げさに言っただけ。大丈夫やけど念のため今週は入院になった】と。

 ホッとしたのと、それでも入院してしまったことに不安は拭えませんでした。その日から毎晩電話がありました。
※お見舞いに行けなかったのは、県外の病院に入院していたためでした。

 電話では私や兄の夏期休暇のことを聞いてきたり、母の気になるもの、探して欲しいものの場所を言ってきました。明日の土曜日は行くからと、電話を切りました。

 朝兄と準備をしていると、入院先と同じ県にいる姉が一足先について電話をしてきました【母さん、もう持たないかもしれない。だからすぐに来て】。一瞬、何を言ってるのか理解できませんでした。上の空状態で兄と車を走らせました。

 病室の扉を開けるのが怖かった。震える手で開けるとそこには眠った状態の母の姿でした。想像をしていなかった、電話ではあんなに元気だったのに。

 どうにもならないのか、もうこのまま旅立ってしまうのかと途方にくれていました。とにかく手を握ってと姉から言われ、交代で手を握り続けました。

 何時間経ったか、突然母が目を開けて【喉渇いた】と言って起きました。これも何が起こったのかわからず【え?大丈夫?】なんてマヌケな言葉をかけてしまいました。

 夢を見ていた・・・。なんて言いながら普通に喋ってる母。不思議な光景だとは思いながら、ちゃんと母は【ここに居る】と感じられることが嬉しかった。

 しばらく話をしていて、ふと母が突然【独りにしやんといて】と言いました。【え?】と聞き返そうとした瞬間、母はまた眠り始めました。

 太陽がだんだんと傾き、とは言え真夏。時間的にはそこそこ経っていました。モニターに映る情報で【母はまだここに居てくれてる】とわかるけど、これは昏睡状態なんだということことでもありました。日が落ちて辺りは暗くなりました。だんだんとモニターの数字は低くなっていき、波形も弱いものとなっていきました。

 看護師さんが担当のドクターに連絡をしてくれてる様子(※病院内にはいらっしゃらなかった)や、家族だけにしてくれるのがわかりました。あぁ、もう残りの時間は少ないんだ。ベッド脇に置いてあった猫さんの写真を、母の顔が見える位置に置きました。いかないで欲しい。言葉に出そうになったけど、もうその時なのかもしれないとも思い何も言えませんでした。

 そして、母は静かに息を引き取りました。

 担当の先生(手術をしてくださった先生)はその場に間に合わず、別の先生により時刻が告げられました。あぁ、もう旅立ってしまった・・・。

 そう思ったらもう涙が止まらず、母を呼んでいました。

その瞬間。

 突然激しい雷鳴とともに光が走りました。・・・雷が落ちました。病院は大きな総合病院でしたが一瞬にして停電しました。数秒後に、一部の電源は復旧したようでしたが、院内は騒ぎになりました。同時に激しい雨。滝のような音とともに、激しい雨が降りました。

 ・・・そんなことが起こったので、悲しみに暮れる、とはなれず、驚きで呆然となりました。しばらくして、母と地元に帰る準備や整えてもらうためにフロアをいどうしました。車の手配や葬儀場の手配、停電の影響で携帯の使用状況も悪く、公衆電話も使えませんでした。

 なんとか段取りをして、車がやってきました。母を乗せるために外に出ようとしたら、突然雨はピタリと止みました。なんだか不思議な・・・と思いつつ、私は母と車に乗って一足先に帰りました。

 あとから聞いた話ですが、某高速で病院に向かっていた先生でしたが、停電によって大変だったようです。あと、うちの家族の車は全部無事でしたが、病院に停めてあった車の多数が冠水により水没してしまったようです・・・。

 思えば不思議な人でした、母は。なんというか、不思議。これについてはまた書けたら。

 私にとって、【死】【別れ】が押し寄せてきたときでありました。本当に怖くて、まだまだ未熟な私は途方にくれました。猫さんのことにしても、本当に身代わりだったと思えてなりませんでした。

 その経験があって、別れる時の怖さが消えません。いつかは命あるもの皆そうだとしても。母は1人なので今後同じ経験をすることはありません。なので、【猫】だけは大好きだけど遠ざけました。

 特に猫さんと同じ種類のコを見ると胸が締め付けられました。好きだけど辛い、そんな気持ちで何年も経ちました。そこへやってきたのが【猫ちゃん】でした。【猫さん】とは全然違う、ただい人懐こくてかわいいコだなぁと。

保護する前。車で帰宅すると音を聞きつけてか姿を見せてくれました。
まだ少し距離はありましたが、この頃既に倉庫に居着いてた気がします。

 お迎えせずとも数日関わりを持ったらもうダメだったんでしょうね。そうとは思わず、駆け寄ってきてくれることがただ嬉しかった。

 今でも不安です。突然、何かがあって旅立ってしまったら?とか・・・。とにかく怖い。猫ちゃんとの生活を心から満喫したい。そうなる日が、早く来ることを今は願ってます。


 

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