見出し画像

推しがいは、生きがいに通ず? - スマ研1期生の振り返り③

こんにちは。スマイルズ生活価値拡充研究所、所長兼研究員の花摘です。2021年4月から約半年間行われたスマイルズ生活価値研究所(通称スマ研)主催の共同研究コミュニティ、この度2期生の募集を行っています。

スマ研では、自動化やDXの流れの中で、見落とされがちな価値に光をあて、いまだ認識/知覚/享受されていないような、「不便益を含む未知なる益(Undiscovered Benefit)」を解明するための研究所です。4月からの第2期募集に際し、第1期参加者の方に半年ぶりにお話を伺いました。

不便益を一つの起点に、これまで見えていなかった「未知なる益」の輪郭を見出すこの共同研究ですが、今回のゲストはスマ研第1期に参加し、「推し益」をダイナミックに掘り起こした、小泉さんにお話を伺いました。

【推し益】を見つけた小泉さんはこんな人

花摘:小泉さんは推し仲間なのであまりおひさしぶりじゃないですね(笑)。本日はよろしくお願いします!
小泉:こちらこそ、よろしくお願いします。
花摘:実は小泉さんとはスマ研(スマイルズ生活価値拡充研究所)以前でも知り合いでして。
小泉:そうなんですよね。まだ、僕が大学生のころに、花摘さんがバイト先にアルバイトとして入ってきてくれてたんですよね。
花摘:私はもう充分すぎるほど知っていますが(笑)、簡単に自己紹介をお願いします!
小泉:はい、小麦粉を扱う食品メーカーでto B向けの営業をしております、小泉です。営業と言っても、直接消費者向けの商品を売るというよりは、業務用パンなどの外食産業向けに商品を売る部署で働いています。

画像1

↑それぞれの推しグッズを紹介する小泉さん(左)と花摘(右)

花摘:スマ研に参加したきっかけを教えてください。
小泉:普段、飲食店へ営業をする中で、どうしても分かりやすい商品の効能やメリットを宣伝しがちではあるんですけど、実際の飲食店を見てみると、遠くからわざわざ足を運んでいるお客さんがいるだとか、長年通っているお客さんの中には合理的なメリット/デメリットだけでは説明がつかない理由で通い続けている方がいて、実際にはそういうお客様に支えられているという肌感覚がずっとありました。
そんな中、不便益や未知なる益(Undiscovered Benefit)というキーワードを聞いた時に、いわゆる便利さがすべてじゃなくて、わざわざ手間のかかることをしたくなるっていうところに、人間の根源や本質があるんじゃないかなとハッと気づかされたことが興味を持ったきっかけです。また、単にセミナーとか講座などテーマがある程度決まっているものがあるなかで、研究会は自らテーマを設定し、社会実装まで目指すというコンセプトに非常に共感し、参加しようと思いました。

花摘:いきなり深すぎますね…!普段営業のお仕事をする中でも、合理性や商品の効能だけを宣伝することに違和感があったわけですね。実際に参加してみていかがでしたか?
小泉:研究という言葉があったので、それなりにアカデミックかなと覚悟して臨んだんですけど、ほんとに学生時代に戻ったか、それ以上の熱意がよみがえってくるような知的好奇心を刺激する研究所でした。
また、インプットだけでなく、アウトプットやフィードバックの場が定期的にあったので、自分の中でも学びを反芻しつつ、いままで見えなかった見方や予想できない自分に出会えて、すごく学びになりました。

研究テーマのきっかけは趣味である推し活動

花摘:実際に研究した推し益ですが、、そもそも推し益に着目したきっかけはありますか?
小泉:私自身に”推し”がいるというのもひとつの理由ではあるんですけど、それに加えて、若者の3人に1人は”推し”がいるというデータがあったり、推しエコノミーという言葉が流行ったり、推しという言葉自体の社会的認知が上がってきたなかで、改めて自分の推し活動について研究してみようと思ったのがきっかけです。
また、今の仕事に関わる部分で言うと、自らの趣味であった推し活動の応援や好意が、企業ブランディングを通してお客様に商品の愛着を持ってもらうファンづくりと通ずるものがあるのではないかと思い、研究テーマにしました。

画像2

花摘:ご自身がもともと持っていた”推し”という趣味活動と企業のブランディングの結節点。そんな推し益とはいったいどのような益でしょうか?
小泉:推しである対象にお金や時間を費やしたとき、その費やした行為そのものに幸福感や元気をもらえる益ですね。通常だと、費やした結果、手に入るものを目的にすると思うのですが、その費やす行為そのものが目的となるところが、通常の益とは違うのかなと思います。

花摘:なるほど、たとえば推しに近い言葉でファンやオタクという言葉もあると思いますが、違いはありますか?
小泉:研究の中で暫定として定義しているのが、推しとファンやオタクとの違いは主体性・前のめり感があるかと、推す対象が自分本位なのか相手本意であるかという2点ですね。例えば、オタクはモノを集めることに目的になり、自分本位な帰結になるかなと思うんですけど、推しっていうのは相手や誰かのために自らを投げうってでも何かをしてあげたいという相手本意でする行動やそれに伴う気持ち的高まりがあり、一般的なファンやオタクとは一線を画す熱量やはみ出すほどの気持ちがあるのかなと思います。

花摘:なるほど、その推し益が社会実装するためにはなにが必要ですか?
小泉:社会実装のための発動条件として、世間認知の余白や、自分の努力で貢献する余地があるかどうかというところが大事かなと考えています。逆にすでに世間の認知があったり、わざわざ応援しなくても有名な方の場合は推し益は減少するのではと思うので、自分が応援していることが応援される側の励みになるような余白を一定程度持つところがカギになるのかなと思います。

具象から抽象に駆け上がる思考法が身に付いた

花摘:推しに自分が貢献する余地があることは確かに大事そうですね。
そんな推し益と普段の仕事とはなにか関りがありましたか?
小泉:自分の仕事の話で言うと、推し益というより、推し益を導くプロセスで身に着けた考え方が参考になりました。どうしても具体的な商品や売り場や購入者みたいな目の前の事象ばかりを見がちだったところを、研究を通して、手前のどういうモノがそろうとそういう行動に至りやすいかという、俯瞰・メタ認知をするようになりました。

花摘:これまでと物事の見方が変わっていったわけですね。
小泉:そうですね。未知なる益の具体的な事例に対してキーワード付けしたり、要素を因数分解して、ロジックツリーを作るワークだったり、この事例の一番の根源や共通するものはなにかと思考を深めアウトプットする中で、物事を捉えるときの「具象から抽象に駆け上がる」という考え方が身についたのかなと思います。研究会は良い頭のトレーニングだったんですけど、トレーニングのようなつらいというネガティブ感もなく、ストレッチなんだけど、鍛えられていくみたいな不思議な感覚がありました。日常の仕事とは切り離した環境に身を置きながらも、最終的に社会実装を目指し、普段の仕事にもつなげるという目標をもっていることが絶妙なバランスを生んでいるのかなと思います。

画像3

© 2022 Smiles Co., Ltd.

花摘:他の研究生(参加者)との交流はどうでしたか?
小泉:結果的にはリアルではお会いできなかったんですけど、自分の経験に基づいて社会実装するところまで研究するという共通の目標を持っていたので、グループワークを通して、なんとなくチームの連帯感を感じていました。
また、チームにメンターの方がついてくださって、個別のFBなどを気軽にさせていただけたのが、リアル/オンラインという壁を越えて、距離感を意識することもないくらい愛着が湧きました。ただ、いい意味で真面目にやられる方が多いという印象があったので、このスマ研が終わったその先も研究テーマを深堀していきたいという意欲がある方におすすめかなという気がします。

花摘:小泉さんも実際に、研究会後にまったく別のテーマで研究資料をまとめていましたよね!!!
小泉:そうですね(笑)営業で使えるように、普段自分が扱っている商品に関して、過去流行っていたものの背景を構造化し、今後どういうモノが流行っていくのかだったり、商品ごとの益をまとめたりしましたね。

花摘:最後に、参加を検討されている方へ、ひとことお願いします!
小泉:ほんとに研究っていう言葉を裏切らないくらいがっつり研究ができるので、普段仕事をしながら、これに時間とって向き合ったら今後の自分にプラスになるのではというもやもやを抱えている方にすごくお勧めしたいです。
私自身もなんとなくモヤモヤを抱えていたんです。海外旅行とかも、ガイドブック見るのと実際に海外に行くのは全然違ったりするじゃないですか。それと似てて、なんとなくわかっているつもりだけど、実際にその益の背景や構造に向き合って初めて、わかったと実感しました研究会でした。知っているようで知らなかったことを理解できたことも自信に変えられて、参加してよかったなと思います。

花摘:本日はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
スマイルズ生活価値拡充研究所では第2期研究生を募集しております。みなさまからのご応募お待ちしております!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?