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医薬部外品よりも優れた化粧品が存在するという不思議

化粧品研究開発者のすみしょう(@smishow01)です。

突然ですが、医薬部外品と化粧品の違いはご存知でしょうか?

よくご存知の方は、

医薬部外品は化粧品より効果が高い

というイメージをお持ちと思います。

しかし、実際には、医薬部外品よりも化粧品の方が効果が高いこともあります。

公にはあまり誰も言わないのですが、実は裏話として存在します。


化粧品と医薬部外品の違いについて

日本国内で販売されているスキンケアは法律上2つに大別されます。

  1. 化粧品

  2. 医薬部外品(薬用化粧品)

医薬部外品の中でもスキンケア製品は、薬用化粧品というカテゴリーになります。

それぞれメリットやデメリットをみていきましょう。

化粧品のメリット・デメリット

まず、化粧品のメリットは、自由な処方設計ができるという点です。

化粧品基準という超大元のルールさえ守っていれば、企業の責任において、どんな成分をどれだけ配合してもOKなのです。なので、最新の美容成分が開発された場合は、基本的な効果や安全性を確かめた後は、それを使って新しい化粧品を作ることが可能。

ちなみに、2001年までは、厚労省の許可制度があり、厚労省が許可した成分しか配合できず、許可がなければ販売できませんでした。

参考:https://www.jcia.org/user/public/law

しかし。

化粧品にはデメリットもあります。

広告で訴求できる表現が化粧品の効能効果56個の中のどれかじゃないとダメなんです。

例え優れた研究をしていたとしても、広告で伝えられるのは、皮膚にうるおいを与える、ハリを与える、くらいしか言えない。

毛穴改善や、たるみをケアする、などは言ってはいけないんです。それが真面目に研究開発されているメーカーの辛いところと、よく聞きます。

参考:化粧品の効能の範囲の改正について、薬食発0721 第1号 平成23年7月21日

医薬部外品のメリット・デメリット

次に、医薬部外品のメリットですが、「有効成分」という、特定の効果がある成分を配合できる点があります。

有効成分を配合することで、化粧品の効能以上の、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐとか、化粧水などでニキビを防ぐといった効果が訴求できます。最新の効能効果は、シワを改善する。ですね。

引用:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について 別掲 薬用化粧品の効能・効果の範囲、薬生監麻発 0929 第 5 号 平成29年9月29日

このように、化粧品以上の製品を作れるのが医薬部外品ですね。

しかし。

医薬部外品にもデメリットがあります。

それは、厚労省の定めた「医薬部外品原料規格」に定められた成分しか配合できず、配合量も上限があるということ。基本的に、古い原料しか記載されていないんです。

参考:医薬部外品原料規格2021

なので、原料メーカーが優れた最新の新規成分を開発したとしても、基本は配合できません。(その成分の安全性や有効性が承認されれば、配合OKになりますが、ハードルはかな〜り高いです。動物実験が必要のため昨今の風潮では難しい。)

なので、医薬部外品は、化粧品以上の効能効果があるものの、自由な処方設計はしにくいというデメリットがあります。

医薬部外品より化粧品の方がスゴイ処方ができるという不思議

さて、ここからが本題。

化粧品のメリットでは、企業の責任でどんな成分も自由に配合できるという点がありました。

ということは・・・。

医薬部外品に使われる有効成分を、医薬部外品以上に配合したり、原料メーカーが新たに開発した成分を配合することもできちゃいます。

例えば、肌の炎症を抑える有効成分「グリチルリチン酸ジカリウム(以下、GK2)」があります。

GK2は、医薬部外品の化粧水では、0.05%配合で抗炎症効果があることが認められるため、0.05%で抗炎症効果のある医薬部外品が作れます。

参考:いわゆる薬用化粧品の有効成分リスト

しかし、化粧品でもGK2の配合は可能であり、例えば1%配合すれば、医薬部外品より20倍濃度が高い化粧品ができあがります。効果が必ずしも20倍になるわけではないですが、基本は高濃度のものが医薬品になるので、高濃度になるほど効果が期待できます。

あと、さらにマニアックな話をすると、医薬部外品では原則、同じ効果をもつ有効成分をダブル配合するのは認められていません。(例外もあります)

例えば、抗炎症成分A+抗炎症成分Bみたいなのは、原則NG。(例外もあります。トラネキサム酸+GK2が有名)

抗炎症+殺菌はOKです。

でも、化粧品ならば、抗炎症成分A+抗炎症成分Bのようなダブル抗炎症などもできちゃいます。

ただ、いくら高濃度配合や、ダブル配合したとしても、化粧品は上記56個の効能効果しか表現できないので、あくまで「肌を整える成分」としかパッケージに書けません。

よって、その本当の効果が世間に知られるためには、口コミで広まるしかないというのが留意点です。

原則は、化粧品の効果 < 医薬部外品の効果なのですが、化粧品の方がすごい処方が組めてしまうことは、覚えておいて損はないでしょう。

特にエイジングケア化粧品や、濃度にこだわった化粧品は、医薬部外品ではなくあえて化粧品カテゴリーに存在していることも多々あります。

ロート製薬のオバジ、エピステーム、KOSEのコスメデコルテ、ポーラのB.A、資生堂のアルティミューンとかね。。。

医薬部外品では物足りない方は、さらなる進化をしている化粧品を選んでみる、というのは1つの選択肢と言えます。

まとめです。

  • 化粧品は、自由な処方設計が可能だが、効能効果は56個に制限される

  • 医薬部外品は、化粧品以上の効果訴求が可能だが、処方設計は制限が多い

  • 化粧品は、高濃度の有効成分や新規成分を配合することも可能であり、医薬部外品より効果が高いものが存在しうる

最近は韓国コスメが高濃度配合や、ヒト臨床試験のデータを開示してますよね。ユーザーからみたら分かりやすく、日本の商品が追い抜かされてしまうのではという焦りもあります。

データをちゃんと持ってるところは、開示しても良い、という法律にならないかな。

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