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カルヴィン・ハリス、マーティン・ギャリックス、今年の夏を彩るために押さえておきたいサマーチューン🌅🏖

あなたはどんな音楽を聴いて今年の夏を演出しますか?2021年の夏をより良いものにするために、今回の記事ではダンスミュージックを中心にコンパイルしたSpotify/Apple Musicプレイリスト「Dance All Day」のサマーチューン特集を紹介したいと思います。さらに今夏チェックすべき注目の5つのアーティストの代表曲と新曲をDJ/キュレーターのTJOさんが解説してくれました。

1. カルヴィン・ハリス

やはり夏といえば「サマー」は外せないでしょう。EDMムーヴメント最大の立役者であり、最も成功したアーティストの一人でもあるカルヴィン・ハリス。フォーブス誌の「世界のDJ長者番付」で何年にも渡って1位の座につきセレブとしてのイメージが強いですが、改めてこの楽曲を聴くと彼の持つ優れたソングライティングの実力を再認識できます。多くのDJ・プロデューサーが楽曲を作る際に自身だけでなくシンガーソングライターを招き入れ作品を共同制作(コライト)する中にあって、この楽曲は作詞作曲全てカルヴィン本人によるもの。EDMキングらしいアッパーで派手なトラック・アレンジはもちろんですが、やはりこの楽曲は一度聴いたらすぐにでも歌えそうな普遍的なポップさと人懐っこいメロディーが魅力。2014年リリースなのですが7年経った今も夏の1曲としてクラブやフェスはもちろん、SNSなどでもこの楽曲が根強く使われている事が長く愛されている証拠だと言えるでしょう。

そんな彼の新曲「バイ・ユア・サイド」も「サマー」の2021年版アップデートというべき夏ソングの決定版。夏の暑さを爽快に変換させてくれるギターリフに、UK出身のシンガー=トム・グレナンのハスキーでブルージーな歌声が見事にハマったダンスチューンはドライブにもピッタリ。実際にクラブでプレイしてもフロア受けがとても良く、初めて聴くお客さんにもしっかり刺さる彼のポップ力に驚かされます。

そんな夏男カルヴィンといえば、もちろんアップテンポな曲も素晴らしい作品が多いですが2017年にそれまでのEDMなイメージを覆し、自身が影響を受けてきたファンク、ソウル、ヒップホップにオマージュを捧げ、ファレルやアリアナ・グランデなどの豪華ゲストを迎えて制作した名盤『ファンク・ウェーヴ・バウンシズ Vol.1』というこれまた今なお愛され続ける、夏にハマり過ぎなアルバムもあるのでぜひ合わせてチェックしてみてくださいね。

2. マーティン・ギャリックス

まだ20代前半にして世界DJランキング「DJMAG TOP100」で3年連続王者を果たしたマーティンのサウンドも夏の開放感を演出するのに欠かせないでしょう。優美なメロディに世界的なフェスの数々のフロアを爆発させてきた壮大な「ハイ・オン・ライフ」は、ベルギーの世界最大のEDMフェス「トゥモローランド」を舞台にエネルギーに満ち溢れた人々が音楽の力によって解放されていくミュージックビデオも印象的。今や海外ではすでにこういった風景が戻ってきており、ここ日本にも早くこの開放感が帰って来て欲しいと願わずにはいられません。


そういった意味でもマーティンが今年開催された熱狂のサッカー祭典「UEFA EURO 2020」で大御所ロック・バンドU2のボノとジ・エッジと共に手掛けた公式ソング「ウィー・アー・ザ・ピープル」は、この1年以上に渡るこもった生活からの開放感に満ちたアンセムとなっています。特に楽曲の素晴らしさをさらに引き立たせるのがそのミュージックビデオ。ヨーロッパ各地の老若男女、そして様々な人種の人々がサッカー観戦をしたり、プレイする姿が描かれており、そこにサッカーを無邪気に楽しむマーティン本人やボノとジ・エッジと共に空を眺めるシーンなどが映し出され、今のヨーロッパの開かれた空気感を感じて感動すら覚えました。マーティンのこの楽曲の魅力については僕がサッカーキング さんに寄稿した記事で、この楽曲がいかに素晴らしいかを詳しくまとめているのでぜひ読んでもらえたら嬉しいです。

『EURO開会式のパフォーマンスも話題!“世界的DJ”マーティン・ギャリックス手掛ける公式ソングの魅力』
https://www.soccer-king.jp/news/world/euro/20210702/1543698.html


またマーティンのポップ路線の一曲として夏をテーマにラッパーのマックルモア、フォール・アウト・ボーイのパトリック・スタンプを迎えた、そのものズバリ「サマー・デイズ」なる名曲があります。僕はこの曲を聞くと2019年に彼がフジロックの大舞台で大勢のオーディエンスを激ロックした時の事を思い出します。

3. カイゴ

夏を代表するダンスミュージック、という以上にEDMムーヴメントの歴史の中で流れを確実に変えたゲームチェンジャーとして語られるべき1曲といえば間違いなく「ファイアーストーン」。2014年当時のアッパーで狂宴的なビッグルームサウンドが主流だった中にあって、一転してBPMも遅い情緒的な楽曲を提案し、「トロピカル・ハウス」とまで称されるジャンルを押し広げたカイゴの功績は大きいと言えます。特に彼が注目されるきっかけとなったマーヴィン・ゲイのソウル・クラシック「セクシャル・ヒーリング」のリミックスは、名曲は時代を超えてもなお生き続けるということを証明し、EDMの中にソウル、チル、そしてエモーショナルな感情を持ち込むことに成功。一過性でないジャンルとしてより長く生きながらえるチャンスをもたらしました。

これは去年リリースされたアルバムではあるんですけど、今年になっても推したい1枚としてぜひピックアップさせてください。特にステイホームだった去年の夏にカイゴのアルバム『ゴールデン・アワー』は、外に出れないストレスを音で浄化させてくれたというか、このアルバム全編通して聴いてるだけでそこが家の中でもベランダでもまるでリゾート地にいるかのような「脳内トリップ」をさせてくれる傑作でした。カイゴの十八番であるチルなサウンドはもちろん、疾走感溢れるハウス調の楽曲もこの作品には多く、ただゆったりするだけでなく夏のビーチ沿いを車でドライブするような情景も浮かんできます。またゲストアーティストや作家陣に故アヴィーチーにまつわる人々も多く参加していて、2020年にアヴィーチーにトリビュートを捧げた作品を手掛けて以降の彼の意思を継ごうとする覚悟も感じられました。このアルバムに対する想いは去年、ラジオDJ&タレントのサッシャさんとSpotify Japanの芦澤紀子さんとの対談にまとまってるのでぜひ。

『コロナ禍の夏とKYGO、チルに向かうダンスミュージックを語る』
https://www.cinra.net/interview/202008-kygo_ymmts

4. シガーラ

前述のカイゴとはまた違った形で「トロピカル・ハウス」のフォーマットをよりポップに押し上げたのがUK出身のシガーラ。2015年にジャクソン5の名曲「ABC」をネタ使いしたこの楽曲は自国やヨーロッパのみならず全米でも大ヒット!彼の楽曲の魅力は夏を感じさせる爽やかさ、流麗なメロディ、そしてその要素を徹底してポップに昇華する実力だと言えます。彼のデビューアルバム『ブライター・デイズ』にはクレイグ・デイヴィッドからカイリー・ミノーグ、ショーン・ポール、フロー・ライダー、果てはナイル・ロジャースと、これでもかとジャンルも世代も様々な豪華なゲスト達が参加していますが、そのどれもが一貫した「シガーラ印」のポップにまとめられていて、アルバム通して夏に聴きたい作品に仕上がっています。彼の楽曲はやはりここ日本でも大人気で、すでに何度か来日していますがどの会場もクラブが入りきらないほどの集客と盛り上がりを記録しています。

そして2021年の夏にもシガーラは帰って来てくれました。今回は人気シンガー=リタ・オラを迎え、ミュージックビデオのプールの映像がこれ以上ないくらいハマる最高のダンス・ポップをまた届けてくれました。

5. リガード

リガードといえば2019年に発表したデビュー曲「ライド・イット」が14億回再生超えのモンスターヒットとなったUKのDJ/プロデューサー。特のこの曲は今やヒット曲の必要条件となっているTikTokでも大きなバズを起こした1曲で、2008年のジェイ・ショーンの同名曲をサンプリング。この曲と同時多発的に有名曲を引用しピッチを変え、ゆったりとしていながらベースの重心が効いたハウスビートとマッチさせた楽曲が流行し、イマンベクによる今年グラミー賞のベスト・リミックス賞を受賞した「ローゼス」のリミックスなどEDMムーヴメントの次の時代を象徴する音となりました。

そんなリガードがリリースした新曲は個人的に2021年のダンス・ポップを代表する1曲になると思っている「ユー」。「ライド・イット」よりもさらに曲のテンポを落とし、Z世代に絶大な人気を誇るアーティスト=トロイ・シヴァンとテイト・マクレーとのコラボレーション。ゆったりとしたエレクトリック・ビートに二人のヴォーカルが心地良く絡み合い、実際に全米ビルボードのダンス・チャートで1位に輝きました。夏と言うことであれば最近リリースされたUKのKCライツによる、さらに疾走感が加わったピアノ・ハウスなリミックスがオススメです。

以上、今年の夏に推薦したいアーティストと楽曲を紹介して来ました。ここまで紹介した楽曲とさらにこの夏にぜひ楽しんでほしいオススメ曲をまとめたプレイリストを作成したので、ぜひフォローして楽しんでもらえたら嬉しいです。

text by TJO

▼『Dance All Day』プレイリスト
https://lnk.to/DAD_June2021

TJO バイオ
ジャンルを縦横無尽にプレイするミスター・オープンフォーマットDJであり、日本トップキュレーター。日本、イギリス、タイ人の血を引きパリに生まれる。東京を中心に日本各地でのクラブ・レジデントパーティーを抱える他、近年では世界中の多様な大型フェスに出演。ラジオ・パーソナリティーとしての人気も高く”block.fm“ではレギュラー番組を務める。また、別名”TJOチャンネル”として閲覧数の高い自身のInstagramストーリーはメディア並みの人気を誇る。Spotifyプレイリストからの音楽紹介、旬の雑ネタトピックス、視聴者Q&Aなど、バラエティに富んだTJOトークを発信中だ。音楽プロデュースでは、国内外を問わず多岐に渡るアーティストに楽曲を提供。楽曲制作の他、DJ MIX作品では世界最高峰のダンス・レーベル “ULTRA MUSIC” から日本人初となるMIXCDリリースを実現したことがシーンに衝撃を与えた。タレント力が高いバイリンガルDJ。多くのメディア・幅広い層からの熱い支持を一身に集めている。