女の子とおばあちゃとのお話 - 短編小説

あるところに女の子がいました。

女の子の両親は、女の子が小学校に入る前に、
事故で亡くなってしまいました。
その女の子を引き取ったのは、おばあちゃん。
女の子とおばあちゃんの2人暮らし。

おばあちゃんは、とても気丈な人。

「しおり、ばあちゃんがずっと守ってやっからな!」
と、女の子を励ましながら、育てていきました。

女の子は、おばあちゃんが大好きで、
おばあちゃんの誕生日には、必ずプレゼントをあげました。
女の子は、まだ小さいのでお金を持っていません。

ある誕生日のときは、
川原で草花を摘んで、ブレスレットにして贈りました。

おばあちゃんは、
「こんな派手なもん、つけられんわー」
と言いながらも、嬉しそうに手首につけました。

またある時は、チラシの裏に、
しおりの肩たたき券と書いたものを贈りました。

「ばあちゃんは、まだそんなに凝ってないわー」とおばあちゃんは言いました。

そしてと笑いながら、
「しょうがないから、これでお願いするわー」 と、
嬉しそうに10枚つづりの1枚を差し出しました。

ぜんぜん素直じゃないおばあちゃん。
でも、そんなときはいつもよりずっと優しい声で、
「しおちゃん、ありがとね」 と、お礼を言ってくれました。

高校に入りバイトを始め、
バイト代が入るようになった女の子は、
ひざ掛けやマフラーをプレゼントしました。

そんなときもおばあちゃんは、「ばあちゃんにお金なんか使わなくていいよー」 と言いながらも、あとで必ず、
「しおちゃん、ありがとね」 と優しい声で言ってくれました。

女の子は高校を卒業して、短大に入りますが、 中退してしまいます。

実は、おばあちゃんがアルツハイマー型老年認知症がで始めたからです。

すっかり物忘れもひどくなり、同じことを何度も言ったり、
外に出かけると帰ってこれなくなることもたびたび。
一人にさせることが心配でなりません。

また、アルツハイマーは徐々に進行し、
やがて女の子のことも忘れてしまうということを知り、
少しでも長く一緒にいることを選んだのです。

おばあちゃんの髪は真っ白で、目じりも下がり、
気丈だったおばあちゃんの面影はありません。

1日のほとんどはベッドで横になっているか、椅子に座ったまま。

でも女の子は、そんなおばあちゃんでも大好きでした。

おばあちゃんの75歳の誕生日。
その日は、比較的調子が良さそうで、
おばあちゃんの受け答えもしっかりしていました。

「おばあちゃん、誕生日おめでとう。
 今日は、おばあちゃんの75回目の誕生日だよ」 と女の子が声をかけると、弱々しい声で、

「そんなに生きたっけねぇ...」とつぶやきました。

「ねぇ、おばあちゃん...」

「・・・はい?」

「なんか、欲しいものある?」

「欲しいものねぇ...」

おばあちゃんは天井を見上げながら黙ってしまいました。
「...それじゃあ」と女の子が話題を変えようとしたとき、

「そうそう」
といって、おばあちゃんはゆっくりと立ち上がり、
タンスの引き出しの中をゴソゴソ、ゴソゴソ。

おばあちゃんが無言で取り出したのは1枚の紙切れ。

「これ...」 渡された紙切れをみると、なんだか古いチラシのよう。
その裏には、マジックで書かれた

しおりの肩たたき券

それはずっと昔にプレゼントしたものでした。

「使えますか?」とおばあちゃんは言いました。

女の子はポロポロ涙をこぼしながらニッコリ笑い 、「もちろん!」

すっかり細くなった肩。 小さくなった背中。
そっと揉み始めると、おばあちゃんは気持ち良さそうに身を委ねました。

「しおちゃん、ありがとね」おばあちゃんは、向こうを向いたまま言いました。それは、いつもの優しい声でした。

子どもの頃は、お金なんて持っていません。 でも、大好きなおばあちゃんのため、 喜んで欲しくて、 あふれる感謝の気持ちを伝えたくて、
誕生日を祝いたいという気持ちが形になった精一杯のプレゼント。

それがたとえ、チラシの裏に書かれたモノだったとしても、
おばあちゃんにとっては、宝物になりました。

super_smmode & still_in_love

                            ヘ ヘ
                            ミ・・ミ
                         ・・・~( )

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

お気持ちを頂くだけでいっぱいです♬

やったっぜ!ベイビー!
38

味のある写真を提供(*⌒ー⌒)ο∠☆:

猫好き。美しい画像好き。雰囲気のある写真を皆さん楽しんで下さい。心が洗われるといいですね☆彡
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。