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【音食同源】  第34回:ヨーグリーナとヨ・ラ・テンゴ 『There's A Riot Going On』

先日、ヨ・ラ・テンゴ(Yo La Tengo)のアルバム『There's A Riot Going On』を買いました。タワレコ新宿店で購入した、Tシャツ付きセットCDです。

オリジナルフルアルバムとしては、2013年のアルバム『FADE』以来、実に5年振りとなるそうです。じつは『FADE』リリースの際、私はヨ・ラ・テンゴのベーシスト、ジェイムズ・マクニューさんにインタビューをしています。その頃はフリーライターとして動き出したばかりで稚拙な質問に終始しており、今読み返すとめちゃくちゃ顔を赤らめてしまいます。今なら、もうちょっとましな取材ができたのでは。そんな想いもありつつ、新作を聴きました。

昨日、今日と、東京の天気はくぐもった曇天です。そんな天気に合わせて作ってくれたかのような、くぐもった音とゆったりと流れるサウンド。歌も入っているのですが、4回ほどしか聴いていない今、正直まだ心に入ってきていません。それくらい、彼らの音楽とは空気に溶け込んでいるかのように聴こえます。かといって、単なるBGMではない何を感じることができるのです。空気のようにそこにあるのに、確かに存在はある。そんな感じでしょうか。

そんな食べ物あったかな?と思いつつ、ふと手元を見たら、毎日飲み続けているお気に入りの飲料、サントリーの「ヨーグリーナ&天然水」がありました。単なる水のようでいてほんのりヨーグルトの味が香るあの感じ。水ほど無味ではなく、でもくどい感じもない。それでいて中毒性もあるこの感じ。まさにヨ・ラ・テンゴっぽいというか、今回のアルバムに関して言えばそんな印象を受けています。

今作は、タイトルがスライ&ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』と同じ『There's A Riot Goin' On』となっています。スライのアルバムが出たのが1971年。いくつかのメディアによると、今作は1971年にも通じる、「混沌とした時代にある怒りと絶望に取って代わるものを音楽を通じて提案したい」というバンドから世界へ向けた強いメッセージが込められているとのこと。

そのくぐもったサウンドが、まるで生まれる前の羊水に使っているかのように心地よく感じるのは、僕が1971年生まれだからかもしれません。そして、同時にヨーグリーナをこのアルバムのイメージたらしめているのは、その味が母乳のようなものだからかもしれません。強引に思い付きで書いてみましたが、書いているうちに本当にそんな気がしてきますから、人間の思考とは面白いものです。自分が書いた適当なことをもとに、再びヨ・ラ・テンゴ 『There's A Riot Going On』をリピートして見ようと思います。ではごきげんよう。

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