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ソフトウェア品質保証の役割と名称

依頼をいただいたので、よい機会だと思い、まとめてみることにしました。「品質保証」はソフトウェア以外の分野でも長く使われている言葉で、ベテランの方とか領域の中の方に強いこだわりや思い入れもある言葉です。そのため、「なんで!?」という目に遭った方もいると思います。多義語とも言えるので、使うのが難しい用語のように感じています。ある人が思っている品質保証と別の人が思っている品質保証の違いが大きいときがあるので齟齬が起きやすくなります。

ソフトウェア品質保証に携わっていて、こうした齟齬を感じたことがある方であれば、「あんなこと言ってる/書いてるけど、わかってない」「本当の品質保証というものは…」という感じで、揶揄されるのもいやだなぁと感じるのではないでしょうか。このブログエントリを書くにあたって、私自身、若いときに研究発表したときに「そんなのは品質保証とは違う!」とベテランの製造業の方に指摘されたことを思い出しました。とても圧が強かったのはおぼえていますが、当時はソフトウェア以外の品質保証としてどのようなことをしているのかを十分理解しておらず、他の品質保証に関わっている方の指摘の背景が想像できませんでした。

ただ、歴史のある言葉ですしこれまで様々な取組みがあったので、そこでの知見を活かさないのはもったいないと思います。そこで、振り返って見てはどうかと思い、このブログエントリを書くことにしました。

もちろん、そうした齟齬には出くわしたことがなく、「ソフトウェア品質保証という部門にいるから」「自分の役割だから」という方も多くいらっしゃり、自分の仕事はソフトウェアの品質保証だという方もいると思います。品質保証という語を字面通りに解釈すると品質を保証するということであり、簡単ではありません。特に工業製品の製造/生産の品質保証と比較するとソフトウェアの品質保証にはまだわかっていないことが多く、両者が部門や役割として存在する場合には、ソフトウェア品質保証のほうが保証という点においては、見劣りしがちです。

その歴史やこだわりを認めつつも実情にあったソフトウェア品質保証を考えていくことが必要だと私は思っています。また、役割の名称が誤解を生みやすければ、少しずつ名前を変えていく必要があるように思っています。ただ、「品質保証の意味が違ったので、これまでの『品質保証』はすべて『品質XX』に置き換えます」といっても、すぐにはできません。また、組織の構造として、「品質保証」という部門があって、その中に製品、ソフトウェア等が含まれる場合には、ソフトウェアの品質保証という見られ方や名称を避けるのは難しいと思います。

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