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1問40分かかっていた時と、1問3分の時で何が違ったのか〜USMLE Step1 Rx・Uworld〜

それは文章を読んだ時にその文章から想起すべき知識が浮かんでくるかどうかです。
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今回は少し具体的な話として、実際に問題を解く方法について言及したいと思います。
私が勉強を始めた時、すでに合格されている先生の勉強会でこう質問をしたことを覚えています。

「先生は問題ってどうやって解いてますか?」


このなんとも大雑把な質問に先生は大変困惑されていました。しかしこの質問の中には、当時の私のさまざまな悩みが見え隠れしていました。

  1. 🧨一問一問にどれくらい時間を割いているんだろう。

  2. 🧨英語を読むスピードはどれくらいだろう。

  3. 🧨知らない単語はどれくらいあるんだろう

  4. 🧨全文読んでいるんだろうか。

  5. 🧨どこに大切な情報があると感じるんだろう。

  6. 🧨選択肢は全て理解しているのだろうか。

  7. 🧨選択肢の吟味はどこまでやっているんだろう。

  8. 🧨間違えた問題や新しく知った知識はどれくらいFirst Aidにメモしているんだろう。

などなどですね

とりあえず先に答えを書いておきましょう!
それぞれに対する今の私の答えは

1.🧨一問一問にどれくらい時間を割いているんだろう。


→🔑解くのに1分、気になる部分の解説を読んで一問計3分、間違えた時は6分かかることも。

2.🧨英語を読むスピードはどれくらいだろう。


→🔑問題文に30〜40秒選択肢に20〜30秒(悩むと1分30秒を超える)

3.🧨知らない単語はどれくらいあるんだろう


→🔑受験をする直前期でも解剖用語は難しかったよ!でも、知らない単語は2〜3問に1個あるかないかまで来ます。(知らない単語は無くならなかった)

4.🧨全文読んでいるんだろうか。


→🔑問題を解くときは年齢・性別・主訴に加えて、出生地・既往歴・家族歴などの冒頭部分も全部読んでました。隠された設定まで理解に努めると学びが深まります

5.🧨どこに大切な情報があると感じるんだろう。


→🔑大切な情報はもちろん文章のお尻の方、質問文の前!

6.🧨選択肢は全て理解しているのだろうか。


→🔑選択肢が5個/5個で分かる君はもう受験しよう!笑
私は4/5のことがかなり多い。難しい問題は選択肢は分かるけどそもそも問われている疾患がわからないことがある。

7.🧨選択肢の吟味はどこまでやっているんだろう。


→🔑選択肢の吟味は、合格の秘訣!本来の答えが持つ要素を10個とすると、5個共通しているのか1個しか共通していないのかどこで引っかかったのかを考えるべき!特に同じ表にまとめられている疾患は特に比較が大事!

8.🧨間違えた問題や新しく知った知識はどれくらいFirst Aidにメモしているんだろう。


→🔑文章のメモは日本語で!病理所見は英語で!あとで読む気が起きる言語ならなんでも正解です👍
新しく知った知識それ、、First Aidに書いてます。
頑張ってメモした結果よく読むと既に書いてあったり違うページにまとまってることがよくあります。問題を解いた後は封印が解かれたように目に入ってくるのでもう一度読み直すか、いっそ目を瞑って書きまくろう。
そして、思いついた語呂は書きまくれ!馬鹿らしいと思わず書きまくれ!最後はそれに救われます


と言う調子で、これらを全て知りたいと思った当時の私は冒頭の馬鹿たれ質問をしてしまったと言うわけです。

特に学んだ知識をどうまとめるか。は受験を終えた今でも明確な答えは出ていませんがここで改めて答えを出しておきたいと思います。


結論

1.以前見たページを見返したときに、一目で過去に出た場所が分かるように色だけでも塗ろう

2.英語で文章書いてもめんどくさくて読み返せないから日本語でいい。けど、病理の表現だけは英語で書くのが吉!

3.勉強会に参加するなら、First Aidの知識がどのような文脈で出てきたのかを記載しておくと生きた知識として共有できる。


では、ここからは実際に問題を見ながら

実況解説

?をしていきたいと思います。
これはRxのホームページから取ってきた問題です。

以下本文
「A 20-year-old man comes to the emergency department due to bloody diarrhea for the last 2 months. He has a history of Crohn disease for which he takes methylprednisolone. Abdominal examination reveals tenderness to the right upper and lower quadrants. There are hyperactive bowel sounds. Treatment with a new medication is started. The new drug may cause lymphoma in children. A tuberculin skin test is done before starting the medication.」

この英文にめまいがして読み飛ばしたあなた。
いいんです!Google全翻訳にかければ!

翻訳してもなおよくわからないことは
往々にして起こります。


私がたとえばRxを解く場合、

なにはともあれマウスディクショナリー

を用意することからはじめます。

なぜなら、例えば今回の文でもUSMLEを学習する前であれば知らなかったであろう単語が、
71単語中9単語もあるからです。
(残り60単語には前置詞や数字しか残っていません…)

  1. emergency department

  2. bloody diarrhea

  3. Crohn disease

  4. methylprednisolone

  5. Abdominal examination

  6. tenderness

  7. upper and lower quadrants

  8. lymphoma

  9. A tuberculin skin test

果たしてこの単語力で勉強が進むでしょうか。いや否。

Lymphomaがリンパ腫である。という事を日本語で読んでもリンパ腫が何か知らなければ翻訳していないのと同義です。

さらに残り8単語を調べようものなら確実に一つ1分はかかるので10分は使います。
そしてそれを文章として繋げるとあら不思議。
まだ意味がわからないのです。
ああ恐ろしや…

だからこそ、翻訳した内容についてもある程度記載がありさらにすぐに日本語に翻訳されるマウスディクショナリーは必須なのです。

では、なんとか日本語に翻訳として、
次にすべきことは、そう。
質問内容そのものと、選択肢それぞれを見ることですね

今回の質問内容は

Which of the following best describes the most likely new drug's mechanism of action?」

which of the followingってなんやねん、とよく思っていましたが「次の選択肢のうち」くらいの意味です。

ということで薬剤の作用点について聞かれているようでした。

選択肢を見てみると

A Binds and blocks an integrin

B Binds intracellular steroid receptors

C    Binds to a growth factor receptor

D    Binds to and neutralizes tumor necrosis factor-a

E     Inhibits a fusion protein

誰の何のどこの話やねーーん
と言う声が溢れていますね。わかります。
無理なんですよ、事前知識なく問題を解くと言う行為自体が。

だからこそ、そんな時は
パソコン版のRxでは、まず適当にボタンを押して答えを確認しましょう。
その時は合ってようと合ってなかろうといいんです。
答えは覚えましたか?

こんな画面が出てきたらそれが正解です。
背景が緑色のやつですね。

間違えている場合は

Oops! Try Again
ということで背景が赤色です。

ではその後、ブラウザの画面を戻るボタンを押しましょう。

すると不思議なことに先ほど何かしら選択肢を選んだはずなのに、選ぶ前の白紙の画面に戻っています。


この画面に戻って来れる


そう。またお得意の

カンニング

です。
間違えるのはとにかくストレスですから、解き終えた時に表示される正答率が平常心を保てる割合まで正解を増やしましょう

悩んだ挙句に間違えてしまって低いパーセンテージを見せられたり、考えてもそもそも知らない概念の問題の場合うんうんと唸りながら解くこと自体が勿体無いわけです。
その挙げ句にバツを提示されると心に来るのでとにかく答えを安全に見てしまって解説を読む方が進みが良いです。

ネットで記事を読んでいると、一周目の正答率が50%あると合格率が高い。や、Rxは簡単だから正答率65%は必要一周目の正答率が70%でした。などという驚異的な記載をよく目にしますが私の持論は違います。

一周目の正答率は合否に絶対に関係ない。


大事なのは解説を読んでいる時だ。
次同じような問題に出会った時に反応できるかどうかが一番大切である。

と私は考えているので、答えを見て問題集を進めることを全くズルだと思いません。
人間は弱いものでRxのホームページを開いた時に29%などという正答率を見た瞬間、そーっとブラウザバックするものなのです。
だから、正答率の表示を理想の数値に設定する努力を惜しんではいけません。

USMLEの最大の敵はとにかく心が折れること
だから続けるための工夫はいくらしたってしたりないのです。
逆にいうとこの世の点数の高い人々はみんなカンニングしてるに決まってると思えればしめたものです???

Rxを解いている当時の自分は問題集の正答率が合否に無関係であることに確信をもてませんでしたが、
Uworldをカンニングして解きまくって演習を終えた私は
復習なしの一周目が終わった後に受けた模試で、合格点を超えたことで確信しました。

暗記より理解が大切なんだ。と

ということで、カンニングした解説にはこう書いてあります。


High-Yield Summary

  • Infliximab is used for patients with Crohn disease for whom corticosteroid therapy has failed.

  • Infliximab binds to and neutralizes tumor necrosis factor-a, which is found in high concentrations in the stool of patients with Crohn disease.

どうやらインフリキシマブというやつが答えらしい。
そしてこれはステロイドがダメだったら使うっぽい。
それで、インフリキシマブはTNF-αにくっつくからDが答えなのか。

分からなければGoogle翻訳かDeepLにかければいいです
日本語で読んでもわからない箇所は英語力の問題ではなく医学的知識の問題です。
そうなれば話は簡単で、病みえで調べればいいんです。
イヤーノートでもいいですよ。

初めて見る医学知識は英語で読まず、割り切って早めに日本語で読みましょう。


英語ver.はその後でも遅くはありません。

また、驚くことに病みえはUSMLEの問題で問われる疾患の概念や細かい知識をほとんどカバーしています。
病みえを全部覚えれば受かるんじゃないか?と思わされたことが多々あり、書いている人は本当に凄いなぁと驚嘆するばかりです。

今回、答えを選ぶだけであれば、
クローン病に使う薬はスルファサラジンとステロイド、ひどくなればインフリキシマブなど生物学的製剤という知識だけで解けるため

問題は質問文をまず読め!とおっしゃる先生もいますが、そうなると余剰の情報を使って選択肢を切る練習が出来なくなります。

今回隠されていた伏線(インフリキシマブを示唆する言い換え)には以下の3つのものがあります。

  1. Treatment with a new medication is started.

  2. The new drug may cause lymphoma in children.

  3. A tuberculin skin test is done before starting the medication.

1.ステロイドはすでに使っているから新しいお薬を始めた手前、選択肢でステロイドの持つ作用は選んではいけない
2.リンパ腫を引き起こすということは宿主の免疫力を低下させたり、易感染性を亢進させたりする系統のお薬である可能性が高い
3.薬を使う前にツ反をするということは、おそらく結核を封じるために必要なIL-12やTNF-αを抑制する機能を持っているのだろう。

ということが読み取れるのです。
3.については解説に記載がなく、私の考え方ですので悪しからず…

これらを総合すると今回の答えである
D Binds to and neutralizes tumor necrosis factor-a

が答えになるというところで落ち着くのです。
Bも炎症を抑えそうな雰囲気がありますが、細胞内ステロイド受容体にくっつくということは脂溶性の薬剤であり、さらには抗炎症作用を持つものといえばそれはほぼステロイドを指します。

今回は条件1.にあるように新しい薬剤を始めたという文言から、切らなければなりませんね。

A.の選択肢はインテグリンが白血球の遊走に用いられること、腫瘍の浸潤に用いられることなどを想起します。

C.の選択肢はGrowth Factorはかんけーねーよ。程度で済ませると思います。

E.の選択肢は2〜3問に一度ある、知らない英単語に該当します。そういう時は恥ずかしがらず調べます。今回はエタネルセプトの生成方法を言い換えているようですね。エタネルセプトは生物学的製剤の中でも珍しい、デコイとして働く不思議な抗体としてよく出て来ます。そうなると考え方次第ではTNF-α関連でこれをえらんでもおかしくないですね。

最初に言っていた、

選択肢の考察

というのは
最終的に私はこのくらいの内容で行っていました。

最後に今回の問題文から、以下の知識を拾います。

  1. クローン病の好発年齢が20代であること。

  2. 血便が主訴になりうること。

  3. ステロイドを治療に使うこと。

  4. 右側の腸が痛くなりやすいこと。

  5. 腸が過活動になりやすいこと。

をインプットして問題演習は終了です。

初めてこの疾患を見たら40分は確実にかかります。
しかし、もしもクローン病について前提知識があれば今回得る情報はインフリキシマブがリンパ腫を引き起こす。という副作用のみでしょうか?
つまり目新しい知識は解けば解くほど目減りしていきますので、知識が増えると一問3分程度で終わるわけです。

選択肢もだんだん解説を読まなくなります。

ということで、一問を解く間に私がしていたことはこんな感じです。
少しはイメージがつきましたでしょうか?
かなり長くなってしまいましたが、一旦この辺りにしようと思います。
もしも何か質問がある方はご質問ください。

ではまた!



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