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【受験生は知らないと損】最新の認知心理学が証明した、間違った勉強法、正しい勉強法#1

※このnoteは約5分で読めます


こんにちは、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。


今回はTwitterにて、こんなメッセージをいただきました。


はい。待っておりました。勉強法についてです。

これは非常によくいただく質問でして、いつかnoteにまとめておこうと思っていたところでございます。


というわけで、今回の本はこちら。

ピーター・ブラウンさんの「使える脳の鍛え方」。

この本は、簡単に言えば勉強法の本なのですが、最新の認知心理学や脳科学の研究をもとに「本当に記憶に残る勉強法って何なの?」ということを事細かに教えてくれます。

そしてこの本がすごいのは、出典の数。というのも、巻末を見ると分かるのですが、100以上の論文を引っ張ってきてるんですよね。要するに、信頼度かなり高めです。

で、本書では具体的には「みんな無駄な努力してるよね」って話ですとか、「正しい勉強法って、直感に反することが多いよね」みたいな話が書いてあるのですが、今回は、その中でも重要な点だけをピックアップして、「本当に効果のある勉強ってなんなの?」って事を、できるだけわかりやすく解説して参ります。


受験生は、これを知っておくだけで周りと差がつきます。

本を読む人も、コツを知っておけば読んだ内容を忘れずに済みます。


それでは、GO



section① 

ほとんどの人の勉強法は
死ぬほど非効率

本書では「多くの勉強法は誤解されていて、しかも正しい勉強法は直感に反するんだよ」ってことが力説されていまして、まずは、「どんな勉強法が非効率なの?」って話から。

ちなみにですが、今回紹介するものには全て科学的根拠があります。そして、全ての提案は、いくつもの実証研究によって効果が証明されている、という事を念頭においてください。まぁ要するに、よくある”東大に合格した勉強法!”などとは、信頼度に一線を画しているよって話です。


間違った勉強法その1『集中学習』

それでは本題。まず、多くの人がやりがちな間違いその1が、”集中学習”という勉強スタイル。集中学習というのは、”短期間に一つの物事に対して繰り返し触れることで記憶の定着を測る勉強法”のことです。例えば、「テスト前日の徹夜」、「単語を何回も書く」、「覚えるまで教科書を繰り返し読む」といった勉強法は、この集中学習に当てはまります。まぁ要するに、出来るようになるまで一気に頑張るスタイルです。学生がよくやるやつですね。

で、この集中学習なんですが、科学的には”非常に非効率”ということが分かっております。つまり、徹夜は当然として、学校で教わった「たくさん書いて覚えよう!」的な指導や、「覚えるために教科書をたくさん読んだ方がいい!」といった考えは、全て間違いだったわけです。「おい先生」って感じですよね。笑

そして、実際に集中学習がどれくらい非効率かって話ですが、例えばトロント大学のエンデル・ダルヴィングさんの研究によりますと、「ただ繰り返しても記憶に残らないよ」ということが分かっております。

この実験ではまず、被験者にペアになった単語のリスト(”パソコン&お茶”みたいな)を6回を読ませます。そしてそのあと、片方のグループにはもう一度同じ単語リストを、もう片方には関係ない単語リストを読んでもらい、どちらのグループがより最初の単語を思い出せたかをチェック。要は、「読む回数を多くした方が当然思い出しやすいよね?」って事を調べたわけです。これは、直感的には正しそうな感じがしますが、その結果は、

・単語を読んだ回数が多いグループとそうでないグループで、学習曲線に差は無かった

という感じ。つまり、「覚えたい事を繰り返し見ても、記憶にはほぼ影響しないよ!」ということがわかったわけですな。これは意外ですよね。直感と反するところです。


そうなると「え、なんで?普通、たくさんやった方が覚えるでしょ?」って話なわけですが、これがなぜダメかというと、”集中学習はその時は覚えた気になるだけだから”です。どういう事かといいますと、同じ文章を何回も読むと、1回目より2回目、2回目より3回目と回数を重ねるごとに慣れてくるので、その時は覚えた感じがするんですよね。ところが、それは単に慣れただけであって、長期記憶には残っていないのです。

たとえば、英単語を覚えようとして同じ単語を10回くらい書いたことありますよね。そして、単語を10回も書くとその時は”覚えた感じ”がするわけです。ところが、実際にテストになると「あんなに書いたのに、ほとんど思い出せなかった…」みたいなことってありますよね。あれがまさにこれです。

つまり、一気にたくさん繰り返しても、それは単に慣れているだけであって、長期記憶には残ってないわけです。というか、今読んだものは今思い出せて当然です(笑)。

というわけで、何が言いたいかというと、「テキスト(教科書やノート)をたくさん読んでも、時間が経ったらどうせ忘れてしまうよね、だったら時間の無駄じゃない?」って話です。もちろん、やらないよりはやった方がいいんですが、効率が悪すぎます。東京から北海道に自転車で向かうくらい非効率です。



間違った勉強法その2『テキストの再読』

これが最もよく見る間違いです。記憶に残らない勉強法その2は、”テキストの再読”です。多くの人はこれをやって苦しんでますね。再読とは何かというと、文字通り”覚えるために文章を読み直すこと”です。例えば、「本の内容を思い出すためにもう一回読む」、「大事なところに線を引いて、そこだけ何回も読み直す」、「テスト直前に教科書を読む」みたいなやつですね。要するに、文章を読み直すこと全般です。

で、このテキストの再読も先ほどと同様に、”めっちゃ非効率”ということが分かっています。つまり、覚えようと思ってノートを見直してもあんまり意味は無いわけですね。もちろん、読まないよりは読んだ方がいいのですが、記憶効率が悪すぎです。

実際にこれはワシントン大学の学者が行った実験なのですが、この実験では、片方のグループには教材を1回だけ読んでもらい、もう片方のグループには教材を2回(再読)読んでもらいます。で、両グループは、読み終わった直後に試験を行います。要するに、「再読ありorなしで、学習効果に差はあるのか」ってことを調べたわけです。で、その結果はというと

・教材を2回読んだグループ(再読)の方がちょっとだけ成績が高かった

という結果。これを見ると「え、再読意味あるじゃん」って感じなのですが、この実験にはまだ続きがありまして。このあと、数日経ってから両グループに対してもう一度同じ試験を行ったのですが、その結果を見てみると、

・1度読んだグループと、2度読んだグループ(再読)の成績は同じだった

とのこと。つまり、テキストを読み直すことは短期的には有利だったけど、時間が経ったらその効果が消えてしまった、ということです。


で、「なんで読み直しても記憶に残らないの?」って話ですが、これは、”何度も読むと文章に慣れるので、それによって概念まで理解したと錯覚してしまう”からです。

これはどういう事かというと、例えば、先ほどの”間違った勉強法その1『集中学習』”の部分をもう一度読み直してみてください。

(実際にやってみてね)

1回目よりも早く読めたと思います。また、合計2回も読んだので、結構理解した”感じ”がすると思います。

ところが、ここで「じゃあ今のを何も見ないで説明してみて」って言われたらどうでしょう。おそらく、説明できないはずです。

つまり、”テキストを読み直す”という行為は、テキストを読む練習にはなっても、”理解する練習にはなっていない”わけであって、勉強法として根本的に間違っていたわけです。普通に考えて、暗記してすらすら読めるようになったからって、その本質を理解したことにはならないですからね。説明も出来ないことを理解したとは言えないわけです。

だから例えば、「講義のレジュメに大事なところを線を引いたりマーカーでわかりやすくして、覚えるまで何回も読んだのに、テストで点数が取れない!なぜですか!」って大学生がいますよね。ところがこれは至極当たり前なわけです。つまり、何度もテキストを再読し読み慣れた結果、”覚えた気”になって、自分が何ができて、何ができないかをしっかりと理解出来ていなかったわけです。その結果、本番になった時に自分ができないことにやっと気づく。という、なんとも無駄な勉強法なわけです。


というわけなので、section①のまとめとしては

・集中して繰り返し勉強してもほとんど意味はない

・内容を覚えようとする時に、テキストを読み直してもほぼ無意味

という感じ。



section②
記憶に残すには、”思い出す練習”が必要

で、ですよ。「じゃあ、記憶に残すためには何が大事なの?」って話なわけですが、その答えは、とにかく”想起練習”をすることというのも数々のメタ分析によって、「記憶に残すには”想起練習”が最強の学習法だ」ということが分かっています。

「想起練習ってなに?」って感じだと思いますが、要するに”思い出す練習”のことです。たとえば、「小テスト」「暗記カード」「クイズ形式」などの、”頑張って答えを思い出す必要のあるもの”は全て想起練習です。これらの勉強法をすることで、圧倒的に記憶に残りやすくなります。なんなら、”テスト効果”という、いかにもな名前が付いているくらい強力です。

だから例えば、学校の授業でちょいちょい小テストを入れてくる先生っていたと思うのですが、小テストで出た内容は期末テストでも答えやすかったって経験ありますよね。あれはなんでかっていうと、期末テストの前に小テストを挟むことによって、強制的に”思い出す練習”をさせてくれていたからだったわけです。

とまぁ、とにかく、学んだことを覚えるためには、”記憶から引っ張り出す練習”をすることが非常に重要ということです。


実際に、この”想起練習”の効果を証明する研究は数多く存在しておりまして、たとえばこれは2010年のNYタイムズに掲載された論文。この研究では、学生にテキストを読ませて、片方のグループには直後に小テストを受けさせます。で、もう片方のグループにはテストを受けさせないようにします。そして、その1週間後にどれだけ内容を思い出せるのかをチェック。つまり、小テストを1回挟むと長期記憶にどれくらい影響が出るのかを調べたわけです。するとその結果、

・小テストを受けたグループは、テストを受けなかったグループよりも約50%も多くの情報を記憶していた

とのこと。つまり、勉強したことを小テスト形式で復習することで、中長期的な記憶に1、5倍も残りやすくなるわけです。

ただ、この実験では「そりゃ触れた回数が多いから覚えて当然でしょ」というツッコミも出てきそうなのですが、タフツ大学の研究では

・学生に勉強の翌日にテスト(本番)をさせると、小テスト形式で勉強したグループは、テキストの再読をしたグループに比べて50%も成績が高かった!

ということが分かっております。まぁ言いたいのは、「とにかく想起練習が超効率的だよ〜」ってことです。笑

成績チェックのためだと思われている小テストは、実は記憶の手助けをしてくれいたわけですな。


小テストが効果的な理由

で、「なんでそんなに効果的なの?」って部分も一応お話しておくと、理由は主に2つであります。

1つは、”自分が分からないことが分かる”こと。たとえば先ほど、”「じゃあ今のを何も見ないで説明してみて」”という質問をされた時に、想像以上に思い出せなかったことに気づいたと思います。つまり、小テストをすることによって、自分が理解していないことが浮き彫りになるので、どこをどれくらい勉強したらいいかが明確になるわけです。

そして2つ目は、”頭の中で整理される”こと。再読とは違って、説明しようとすると覚えたことを自分の頭の中で組み立て直す必要がありますよね。そして、この”自分の頭で組み立て直す過程”によって、脳内で記憶のつながりが強化されるわけです。たとえば、「友達にテスト勉強を教えてたら、自分が覚えちゃった」みたいな経験ありますよね。あれはなんでかっていうと、人に教えるためには、一度自分の頭で整理する必要がありますよね。これが実質的に小テストになっているわけです。ちなみに、僕がnoteを書く理由もこれです。


というわけで、section②としては「物事を覚えたいなら、とりあえずテスト形式!」といった感じですね。


で、section③では「小テストの効率を上げるためのコツ」を、section④では「具体的な効率的学習法」について解説しようと思いますが、長くなってしまうので今回は一旦ここで区切ります。


それではまた、次のnoteでお会いしましょう。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。


追記:続きはこちら↓

『間違った勉強法、正しい勉強法2』

『間違った勉強法、正しい勉強法3』



p.s.

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参考




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