スクリーンショット_2018-07-04_20

人の心を動かすための神作「影響力の武器」を、死ぬほど分かりやすく解説してみる#1「返報性」

どうも、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。


『影響力の武器』っていう、神のような本があります。


『読んで良かった本ベスト7』『最強の説得術』にも登場しましたので、ご存知の方も多いと思います。この影響力の武器ですが、「これを読めば、人心掌握のだいたいのことは分かる」と言ってもいいくらい、素晴らしい名作です。というか、この本を「ダメな本」という人を見たことがないですね。僕もこの本にはめちゃくちゃお世話になっております。


そんなわけで、僕は「心理学のオススメ本教えてください!」と言われたら、真っ先に「影響力の武器」を激しく推すわけですが、1つ問題があるんですよね。というのも、この影響力の武器、

とにかく読みづらい


んですよね。本自体が400ページ強もある上に、文章も難しい言葉でびっしりなもんで、読み終えるのにはかなりに気合いが必要な一冊であります。そんなわけあって、せっかくの良い本なのに最後まで読めずに挫折するって人がめちゃくちゃ多いです。


というわけで、今回は、『6つの影響力の武器』の中から「返報性」について、できるだけ分かりやすさを優先して解説。

「影響力の武器を読もうとしたけど、難しくて挫折ちゃった」

って方や、

「読んでみたいけど、本はダルい」

って方のために、影響力の武器をカンタンに噛み砕いてみました。


「影響力の武器なんてとっくに読んだんですけど!」という方は、当たり前の内容が多いので、復習のつもりでお付き合いください。笑

それでは、GO!



人の心を動かす最強の武器その①
『返報性』

影響力の武器の1つ目は、「返報性」。これはカンタンに言うと、「人は、他人に何かしてもらったら、そのぶん何かを返さなくてはいけない、と考える性質がある」ということです。

たとえば、バレンタインに女の子からチョコをもらうと、「お返しちょーだいね」と言われなくても、その子にホワイトデーでお返ししなかったらブチ殺されそうな気がしますよね。これが、返報性です。

つまり、人は「何かをしてあげたら、そのぶん返して欲しいと思う生き物」であり、「何かしてもらったら、そのぶん何か返してあげたくなる生き物」ということです。

たとえば、親からお年玉を貰ったら「感謝」を返したり、誕生日プレゼントを貰ったら相手の誕生日にもプレゼントしたくなったりするのは、この返報性の効果です。


で、ここまで聞くと、「それって当たり前じゃん?」って感じるかと思うのですが、大事なのはここから。この「返報性」が「影響力の武器」と呼ばれるのには、それなりの理由があるわけです。つまり、「返報性」は人の心を強く動かすほど強力なパワーを持っているから、「武器」なわけです

で、返報性が強力である理由は、以下の3つ。



返報性が強力である理由①
強制力が強いこと

これはどういうことかと言いますと、「返報性が発動すると、ものすっごく断りづらくなる」ということです。

たとえば、職場の友人に急に「お昼おごって!」と言われたら、まぁ基本は断りますよね。ところが、「お昼おごって!お前の明日の仕事全部代わりにやっといたから!」と言われたら、断るわけにはいかないですよね。というか、断ったら結構なワルです。

つまり、返報性には「よほどのことが無い限り断ることが出来なくなる、ハンパない強制力」があるわけです。バレンタインでチョコを貰ったらホワイトデーにお返しをしないと殺されてしまうのも、このためですね。


返報性が強力である理由②
望まぬ厚意に対しても発動すること

で、ここからが重要なポイントなのですが、返報性が強力たる由縁の1つに、「返報性は望まぬ厚意に対しても発動する」ってのがあります。別の言い方をすると、「貸しを作る相手はこちらが選べる」ということです。

たとえば、バレンタインの例で言うと、取引としては

「バレンタインのチョコ」⇄「ホワイトデーのプレゼント」

なわけです。ところが、冷静に考えてみてください。この取引は、「交換しよう!」と合意して始まったわけではなく、バレンタインのチョコを一方的に渡すところから始まっていますよね。

また、取引をする相手を選んでいるのも、バレンタインのチョコを渡す側です。

つまり、こちらが先に何かを与えてしまうことで、どんな相手でも半ば強制的に取引を成立させることができる、というわけです。これが、返報性が強力たる由縁です。最初に与えたもん勝ち、ということですな。


このことを考えると、女子にありがちな悩み、「彼氏にもっと構って欲しい」の解決策が見えてきます。つまり、「彼氏にもっと構って欲しい」ならば、まずはこちらから相手になにかしてあげる必要があるわけです。相手に求めるばかりの人は、相手に何も与えていない場合が多いです。

だから大切なのは、相手が親切にしてくれるのを待つのではなく、まずはこちらから親切にしてみること。そうすることで返報性が働き、結果として彼も親切になってくれる可能性が高くなります。


若干話が逸れましたが、要するに、「こちらが先になにかを与えることで、相手からのお返しを強制できちゃう」という感じ。



返報性が強力である理由③
不当な交換すら成立させることができること。

返報性が強力たる最後の由縁は、「交換は1対1以上でも成立する」ということです。分かりやすく言うと、100与えたら100返ってくるわけではなく、500で返ってくることもあるよね、という話です。

これは有名な実験がありまして、心理学者デニス・リーガンさんの行った実験。この実験では、2人の学生(片方はサクラ)に美術館の鑑賞をしてもらうのですが、その途中で、サクラの学生はこう言います。

「車が当たるチケットを1枚25セントで売ってるんだけど、何枚か買ってくれない?」

こういうお願いをしてみます。で、結果的に何枚のチケットを買ってくれたのか、っていう実験なのですが、このとき、

・チケットを売る前に「コーラを1本奢ってあげた場合」

・「特に何もしない場合」

この2パターンを比べてみました。要するに、「親切してあげたらたくさん買ってくれるんじゃない?」ってことを調べたわけです。するとその結果、

・コーラを奢られた人は、そうでない人に比べて、”2倍”も多くのチケットを買ってくれた!(平均して2枚。多い人は7枚)

という感じ。つまり、コーラを奢ってくれたお礼として、相手になにかお返ししなければいけないという「返報性」がはたらいて、その結果チケットをたくさん買ってくれた。というわけです。


で、ここまでを聞くと、「コーラを奢って25セントのチケット2枚って、損してね?」という感じがしますが、ポイントは、この実験が行われたのは1960年だったということ。そして、この当時のコーラ1本の値段は、「10セント」。そしてさらに、買ってくれたチケットは、平均して25セント×2枚。

つまり、たった10セントの投資で、平均して50セントもの利益を得ることができたわけです。これが、「不当な交換すら成立させることができる」の意味です。100を与えることで、それが200にも300にもなって返ってくることがあるわけです。


たとえば、「電車でおばあちゃんに席を譲ってあげたら、お礼に旅行のお土産のお菓子をもらっちゃった」みたいな話がありますが、これもまさに同じですよね。つまり、「席を譲る」という”タダ同然の投資”に対して、「旅行のお土産」という価値あるリターンを受けているわけです。



まとめ

というわけで、第1の影響力の武器、「返報性」についてざっくり解説してみました。今回の話をカンタンにまとめると、

・返報性とは、「何かをしてあげたらそのぶん返して欲しいと思い、何かしてもらったらそのぶん何か返してあげたくなる性質」のこと

・返報性の威力がハンパない3つの理由
①強制力が強い
  →1度与えられると、よほどのことがないと断れない

②望まぬ厚意に対しても返報性は発動する
  →こちらが先に与えることで、相手からの親切を引き出せる

③返報性は不当な交換すら成立させる
  →自分が与えたよりも多くが返ってくることがしばしば

という感じですね。


これらのことから学べる教訓としましては、

「交換は価値が同じでなくても成り立つ。だから大事なのは、自分にとって価値が低く、相手にとっては価値の高いものを交換すること。そして、それを、こちらが先に与えること。」

ということでしょうねぇ。たとえば僕だったら、気になったことをとことん調べるのは趣味みたいなもんなんで、苦労もなにも無いわけです。ところが、ネットや本から情報を探すのが苦手な人からすれば、僕の行動は価値が高いわけです。だから僕であれば、知識を生かして、情報収集が苦手な人の役に立つ。そうやって、お互いに得意なものを与え合うっていうのが、この返報性で大事なんじゃないかな、と思ったり。


そんなわけで、今回も、最後までお読み頂きありがとうございました。

次回は、第2の影響力の武器である「一貫性」について解説しようと思っております。次回もお楽しみに。


続きはこちら↓

2『一貫性』

3『社会的証明』

4『好意』

5『権威』


詳しく学びたい方はこちら




追伸:noteでは、皆様の何かお役に立てるような心理学を投稿しております。よろしければ清水陽介をフォローください。

また、本noteの内容があなた様にとって役立つものであれば、「スキ」や「リツイート」をお願いできればとても嬉しく思います。いつも本当にありがとうございます。


1記事あたり、ざっくりとリサーチに4時間、構成に30分、執筆に6時間。合計9時間ほど時間を掛けて執筆しております。 『ためになった!』という方は、サポートをいただけると、次のnoteを執筆するモチベーションになります。 気が向いた方だけで構いません。よろしくお願いします。