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「スナックかすがい」第二夜ゲスト紹介〜小林淳一さん

Text by スナックかすがいマスター 春日井豆彦 | Mamehiko Kasugai

編集者の小林 淳一さんと初めてお会いしたのは、2011年8月深夜の恵比寿のバーだった。

偶然会った初対面の人に話しかけることはあっても、さすがにFacebookで繋がろうとまでは普段しない僕が、この晩は何かを感じたのか、はたまた単に酔っていたからか、とにかく我々は電子的に繋がった。

Facebookに表示される小林さんの投稿は毎回おいしそうなもので溢れ、添えられた短い言葉には、都会的な雰囲気と茶目っ気が漂っていて、一度しか会ったことがないとは思えぬほど近く感じるようになっていた。

再会を果たしたのは5年後の2016年。食絡みの相談をしたいことがあり、当時「和食給食応援団」を手掛けていた小林さんの顔が浮かび、連絡を取った。その場所に指定されたのが、小林さんが最初に手がけ、オープンをまじかに控えた飲食店「味坊鉄鍋荘」だった。

優れた編集マンの活動領域が紙媒体の枠を軽やかに超えるのは自然なことで、酒呑み食いしん坊が愛する神田の名店「味坊」の経営者・梁さんの共同経営者となった小林さんは、店ごとに異なるコンセプトや体験価値づくり、対外的なコミュニケーションを担っている。飲食店という媒体をいろんなアングルから料理していく様は、ハタから見ていても刺激的で、その後も「羊香味坊」、「老酒舗(ロウシュホ)」、「湖南菜 香辣里(シャンラーリー)」と次々に趣向の違う店をオープンさせ、いつも賑わう人気店に育てている。

僕は小林さんに出会ってから「編集」という仕事に親近感と尊敬の念を高めたし、その後何人もの素晴らしい編集者に巡り会うことができたし、優れたクリエイションとは結局のところ「愛のある編集だよな」、と思うに至った。

小林さんの活躍領域は今ますます拡がっていて、48番目の県「一般社団法人 来来県」を設立して47都道府県の交流人口を増やす策を講じていたり、日本各地で絶滅が危惧されている伝統郷土料理のレシピをデータ化していくプロジェクトを手掛けていたり、元々の仕事である、紙媒体の料理本などの企画編集から制作まで行ったりと、とにかく多岐にわたる活動を同時進行している。

そんな、どんな時もエンジニアードガーメンツのアイテムをどこかに身につけ、多忙を極めてるのに毎晩いつも呑んで笑っている小林さんに、人を惹きつける企画の産み方、店舗で仲間たちがその企画を実現できるように気を付けていること、その人気を定着させるために続けている努力などなどを訊き出すことで、その脳内を探ろうというのが、次回の「スナックかすがい(第二夜)」の狙いである。小林さんの仕事の輪郭はこの記事が教えてくれるので、先に読んでおくことをお勧めしたい。

次回は、この小林さんとかすがっていただく、北海道日ハムファイターズの小川さんを紹介する。「スナックかすがい」への申し込みはまだまだ受付中。客数や客単価を高めたい店舗経営者や、選ばれる商品やイベントを考える企画者、優秀な人を採用したい人事の方など、「人を惹きつける」技術を求められている人が来てくれたら嬉しい。


好奇心旺盛な大人たちが、生ビールとグリーン豆をお供に、気になる人の気になる話を聞いて楽しむ社交場、それが「スナックかすがい」です。いっしょに乾杯しましょう!