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祝開店!「スナックかすがい in 名古屋」第一夜「元氣の正体」体験記

Text by 真下 智子|Satoko Mashimo
Photo by 野村 優|Yu Nomura
Beer by キリンビール

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本家本元名古屋で祝開店!

 名古屋人なら「かす〜がい〜のグリーンまめ♪」のフレーズが脳内リフレインするのは間違いない。それほど春日井製菓は、昔から地元名古屋では馴染みの深いお菓子メーカーだ。

我が家のお菓子ボックスの中に、「いかピーナ」と「つぶグミ」は常備されており、グミ好きの子どもと一緒にポイポイポリポリと食べている。そんな春日井製菓が、なんでも昨年末あたりから、東京にスナックをオープンしているとか。

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聞けば、毎回異業界で活躍する二人のゲストを招き、ビールを飲みながら、豆をポリポリかじりながら、客人と盛り上がっているらしいではないか。
東京ではすでに11回も開催⁉ちょっと待って!春日井製菓は我ら名古屋が誇る、名古屋の会社。ちなみに社名の「春日井」は創業家の名字で本社は名古屋市内にある。それなのに、こんなイカした店が、本家本元の名古屋ではなく、東京限定オープンはいかんでしょー!と思っていたら、今回、満を持して名古屋でも「スナックかすがい」が開店することになったらしい。万歳!

 会場となったのは、春日井製菓本社と同じ西区にある「なごのキャンパス」。ここは廃校となった那古野小学校をリノベーションし、シェアオフィスやコワーキングスペースとして、今年から広く開放されている新しいインキュベーション施設だ。その中の、元職員室だったコワーキングスペースに椅子を並べて、このスナックはオープンした。

跳び箱をリメイクした机や、小太鼓を使った照明、はたまた参加者が首から下げるネックストラップを吊るしてあるのは身長計。あちこちに懐かしい小学校の備品を見つけると、参加者も、思わずカメラを向けて、すでにテンションはかなり高め。

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このスナックのシステムは、事前に申し込んだサイトの画面を受付時に見せると、ネックストラップ付きのグリーン豆が渡される。豆もドリンクも食べ飲み放題で、カウンターにはキリンさんの提供による「一番搾り」の缶ビールがズラリと並び、静岡市の茶農家・西山さんの「つゆひかり」の水出し緑茶と、今回のゲストである高田さんが輸入販売しているエナジードリンク「28 BLACK」もあって、なんとも豪華なラインアップだ。

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豆やドリンクをサービスするスタッフは春日井製菓の社員。ちょっぴりぎこちないながらも、一生懸命に客人をもてなそうという心遣いに、ほっこりとする。

まずはマスター豆彦さんの発声に合わせて全員でカンパーイ!!
客人は過去最多の100人!ものすごい熱気の中、マスターは「スナックかすがい」の趣旨を説明し始めた。

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皆さんよくご存じの春日井製菓ですが、「かすがい」という音から、「子はかすがい(鎹)」ということわざを思い浮かべる方もいます。「鎹」とは、縦の柱と横の柱を強くつなぎ合わせるコの字型の釘のことですが、もしかしたら私たち春日井製菓も、お菓子を通じて異なる価値を力強くつなぎ合わせて、新しい成果(製菓)を出し続けきた会社なんじゃないのか?なんて解釈して、こんな「スナック」を去年11月末から始めました。

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うちのおいしいお菓子と、ゲストの楽しいトークを通じて、皆さんがかすがっていただけたら嬉しいです。
というわけで、まずはお隣の方と1分間ずつ自己紹介して、かすがってみてください!

こんな掛け声で、周りにいる初対面の4-5人が一組になって、自己紹介と、「元氣とはどんな状態か」を話し合う“かすがいタイム”がスタート!

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今回のキーワードは「元氣」。なぜ“氣”?氣の中の米の字は、日本人にとっては米がエネルギー源であることに由来しているらしい。なるほど「気」よりもパワーを感じる。しかも米は八方に広がる縁起のいい漢字。偶然かもしれないが、今回の登壇者である落合さんが作る「おはぎ」も米!いずれにせよ今回のキーワード「元氣」は、これからの未来を感じさせる、名古屋での第一夜にふさわしいパワーワードだ。

そうこうしているうちに「かすがいタイム」が終了し、今回のゲストが紹介された。

カジュアルなスタイルのおふたりは、ともに30代半ばの爽やかなナイスガイ!何より、その笑顔に私はのっけからノックダウン。人生100年時代なら、まだその1/3とちょっとしか生きていないおふたりだが、プロフィールによると、その中身は濃厚すぎるほど濃厚らしい。でもそんな濃さはまったく感じさせず、爽やかに軽やかに、飛び跳ねるように語るおふたりをそうさせているものは何なのか?元氣の秘訣って何か特別なものがあるんだろうか?早く話が聞きたくて、ワクワクした。

人生の転機は3度訪れる

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まずは落合さんから。大学時代にたこ焼き店「道頓堀くくる」でアルバイト。まあよくある話だと思っていたら、大学を休学して、アメリカまでたこ焼きを焼きに行った!?柔和なルックスとは裏腹の、球体を追いかける体当たりストーリーが待っていた。

小学校から中学までは野球少年だったんですが、中学の時に肩を壊して高校からはサッカー部。そして大学では同じ球体でも、「たこ焼き」のアルバイトをやっていました。アルバイトで入ったら、最初はレジ打ちと皿洗いばかり。これが苦手で。
普通は2、3週間でたこ焼きを焼かせてもらえるのに、私は半年間も焼かせてもらえなかったんです。使いものにならないから、辞めろと言われていたのと同じですね。辞めろっていう言葉のかわりに、週末他の店にレジと洗い物の応援に行けって言われて。でも僕は当時頭が凍ってて、ラッキー!って思ってたんです。なんか会社のお金で、いろんなお店に行けるぞって、ニコニコ笑いながら応援に行ってまして。そういった意味では、あまり気にしないってことが元氣でやっていく方法かもしれませんね(笑)

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半年ぐらい経ったら、店舗が人不足になったんですね。それで、仕方ない、そろそろ落合にも焼かせるか、みたいな雰囲気になったんです。やっと焼かせてもらえるようになったんで、それまでの悔しさとか溜まったものが一気に爆発して。目の前で並んでくれたお客さんにとって、なんかもう人生最後の晩餐かもしれないと思って120パーセントの愛をこめて焼き続けました。

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2008年に会社がたこ焼マイスターの育成を目指して「TAKO-1グランプリ」っていうコンテストを開催したんですが、そこでバイトながら初代チャンピオンに選んでいただきました。チャンピオンは香港とロサンゼルス、ニュージャージー、ニューヨークに行って焼けるという特賞があったので1年間大学を休学して、社長直轄の特命アルバイトとして海外でたこ焼きを焼いていました。当時ミツワっていう日本食スーパーの催事で出店していたですけど、ずっと行列が続いているんで、朝6時から夜10時くらいまで1日1万個ぐらい焼いていました。たぶん人間の限界が1日1万個くらいだと思います。

大学卒業後はテレビ愛知に入社。たこ焼きに全力を注いできた学生時代とは違う世界が見たかったから、と落合さん。

とにかく好奇心が旺盛で、想像を絶する行動力。たとえ空気が読めないと言われても、どんな時でもその場を楽しみ、いつも少年のような笑顔だったのだろう。そんな落合さんが、人生を考える大きなきっかけとなったのが、2007年長久手市で起こった29時間立てこもり事件だ。

テレビ局に入社して報道部だったので記者クラブに詰めていたんです。その時に、長久手で立てこもり事件が発生しました。この時にSAT(特殊警備部隊)の隊員の方が亡くなったんです。僕の知人でした。
ショックでしたね。この事件をきっかけに、自分は残りの人生をかけて何をすべきかと考えるようになりました。それは、記者として誰かを追いかけるよりも、取材対象者となるような、何か社会に対して良いインパクトを与えられる人間になることでした。この事件がなかったら、あのまま今もテレビ局に勤めていたかもしれません。それともうひとつ、大学時代にも人生の転機というか、生死を彷徨ったこともありました。

アメリカへのたこ焼き巡業の後に、体調を崩した祖父から「自分の足で行けないから、お遍路さんに代わりに行って欲しい」と頼まれたんです。1カ月ぐらいかけて回ったんですが、途中、戦後最大の台風が来て死にかけまして。甘く見ていたんですね。食料も持たずに山を登り、途中栄養失調になってしまったんです。たまたま民家が見えかけたところで倒れてしまい、ああこれで死ぬかもしれないと思ったらおばあちゃんが目の前に現れて…。おにぎりをもらって救われました。

このお遍路で歩きながら、ふと実証実験をやろうと思ったんです。良い行いをするとどんなフィードバックがあるのかなと。すると、些細なことでも良い行いをすると、後から良いことが起こるんです。この時は、次のお寺に一緒に行きませんか?と車に乗せてもらえたんです。

それまでは、結構短絡的に物事を判断する人間でした。たとえば1番から10番のお寺まで今日回りたいなと思っていて、8番寺までしか行けないと、ネガティブモードになったり。でも8番寺までしか行けなかったから、翌日の13番寺で出会えた人によって自分が導かれたりするんですね。アクシデントが実はポジティブなことを後々にもたらしてくれることを知ったんです

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人生は因果応報

 知人であった警察官の殉職や、自身の瀕死体験など、かなり深刻な事件に遭遇しているにも関わらず、時には笑いをとりながら淡々と話す落合さん。自らを楽天気質だと分析しつつ、さらりと語る「因果応報」論。
なぜか窮地の時は、誰かが手を差し伸べてくれる落合さんは、その後、ひょんなことから、愛媛県でたこ焼き屋を営むおばあちゃんの相談にのるために、現地に出向くことになる。おばあちゃんに喜んでもらえたから、きっと苦しい時にまた誰かが助けてくれるだろう。そんな巡りになっていると語る落合さんは、かなりグローバルかつハードな体験を通じて、誰かのために何かができる人間になりたいと強烈な思いに駆られたのだろう。30代にしてこの利他の精神。これは、まさに、あのアルバイト時代に初めてたこ焼きを焼かせてもらえた時、自分の目の前の人に渡す、まん丸のたこ焼きに込めた思いの強さと同じなのだろう。

その後、出版業、IT企業を経て、今の「おはぎ」にたどり着く。「食」という字自体が、人を良くするって漢字のごとく、シンプルでいいビジネスができると直感で感じたという落合さん。「くらしのすきまをあたためる」をミッションにホリデイズ株式会社を創業。少し遠回りしたけど、やっぱり今までやってきたことを生かせるのは飲食だと思ったんだとか。そしてやっぱりたこ焼きのように丸いおはぎのかわいいルックスと味が話題となり、東京進出も果たす。その洗練された店内にふさわしい、上品なおはぎが整然と並んでいる。

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落合さんの人生を物語る言葉を尋ねると、答えが二つ返ってきた。

なごの第一夜進行スライド

蒔いた種を刈り取る

両親からも親族からもあふれんばかりの愛情を受けて育ったんです。幼稚園の先生だった母から言われたことが、「砂場でのコミュニケーションは、社会の縮図だから、砂場遊びをしっかりやりなさい」と。
今になってようやくわかるんですけど、人と協力して遊ぶとか、人を傷つけてはいけないとか、人を決めつけてはいけないなど、確かに砂場コミュニケーションをしっかりすれば、社会でもうまく生きられると。言われた当時は何もわからなかったんですが、小さいころから両親が、当たり前のことを丁寧に言葉で伝えてくれていたから、今その親から受けた愛情を、事業を通じてシェアしていきたいと思うきっかけになりました。もうひとつが、お遍路での話です。結局自分の行いが後から返ってくるということです。

次々と展開する落合さんの37年間の人生の歩み。内に秘めた、熱いマグマのようなものを持ちながら、その熱さを感じさせず、穏やかに軽やかに新しい世界へと次々飛び込んでいく落合さん。かっこいい!そんな落合さんの話に時にハラハラし、時に大きく頷き、時に爆笑していた客人。聞く者をワクワクさせる落合さんのエネルギーは、客人にビシバシ伝わっていたようだった。


心を持つロボットの開発

続いて、マイクはもう一人のゲスト、高田さんへ。ロボットの最先端技術を研究するエリートエンジニアと思いきや、エナジードリンクの輸入販売をするビジネスマンに。少年のような笑顔を見せながら、今も世界中を走り回っている。

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スクリーンに、高田さんの早稲田大学時代の写真が映し出されると、1枚だけ毛色の違う写真を見逃さないマスター豆彦さん。すぐに「左上の写真は何ですか?」

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毎年琵琶湖で開催される「鳥人間コンテスト」のプラットフォームの写真です。私、「人力飛行機製作サークル」に入っていまして。実は、レポートが鬼のように大量に出る学科で、このサークルに良質なレポートが集まってくるというので入ったんです。ところが一機作るのに200~300万円ぐらいかかるので、深夜にパン工場なんかでアルバイトをして資金を稼がなくてはいけなかったんです。しかも富士川飛行場での試験飛行で、だいたい壊れるんですよね(笑)。

軽快な滑り出しに場内も大笑い。お父上が自動車のエンジニアという環境で育ち、自動車の高度な技術を知るにつれ、自然とロボットに興味を持つようになり、早稲田大学へ進学。実は高田さん、日本でも有数の人型ロボットの研究室に所属していたバリバリのエンジニア!高田さんのキーワードは"どうしたら「心」をエンジニアリングできるのか“。

どうしたら心をエンジニアリングできるのか

配属先の人型ロボットで、「ワメーバ3」(Waseda Artificial Mind On Emotion BASE) というロボットなんですけど。ロボットに心が芽生えるか?というテーマで研究していました。目指していたのは、プログラミングで作り込まれた動きではなく、ロボットが顔を赤らめたら緊張しているように感じる…といったものです。

研究室で議論していると「心って何?」という話になるんです。心があるって皆さん勝手に信じていると思うんですけど、本当にあると言えるのか、心の存在は自分の中にしか認められないんじゃないかって。何だか禅問答みたいになってきましたけど。

進化の中で、淘汰の仕組みからすると、心があることで結果的に生き残りやすかった。機能として心があったんじゃないかというのが、研究室のテーマでした。こうした哲学とか進化論とか追究するのはめちゃくちゃ面白かったんですけど、実際に作るロボットとなると、とにかくお金がかかるんです。

8万円ぐらいするドイツ製のモーターが腕を回すとバキって壊れて、その都度また8万円をすいませんって言いながら発注していたんですけど。心とは何かを考え続けるのは好きだったんですが、“研究“にはならなかったので、何とか卒業させてもらいましたけど、研究者には全然向いていないと自覚して、別の道に進んでみました。

混沌の中から生まれるイノベーション

すっぱりとエンジニアの世界とは縁を切り、高田さんは大手シンクタンク「野村総研」に就職。在職中は、世界50カ国、南極大陸以外の大陸には出張に行かせてもらったそうで、「すごい会社でした」としみじみと語る高田さん。いつも突然決まる出張が4泊8日の超過密スケジュールでも、ポルトガル語が話せずブラジルのマクドナルドで注文できなくても、とにかく仕事は楽しかったと言いながらも、7年で退職。高給で知られる企業でもあり、お給料だってきっと誰もが羨むほど…高田さんいわく「死ぬほど」もらっていたのに。なぜ?

コンサルタント業務だったんですけど、やはり実業をやっていないのに事業に口を出すなよってお客さんたち、思うじゃないですか。実業をやらずしてコンサル?!って。まだまだ僕も青かったんですよね。こんな薄っぺらい人生を歩んじゃだめだと思って飛び出したんです。

そこからシンガポールで起業。高田さんの中に何か大きな確信があったから?と思っていたところ、「高給コンサルを投げ打っちゃうっていうことは、何かよっぽど自信があったんですか?」というマスターの適時打。

いやいや、スタートアップですから、余裕も自信も一切ないですよ。ただ前職では、日本にいるのに「グローバルに出て行って勝負しましょう!」と言う会社だったんですが、それっておかしいですよね。やっぱり自分たちがシンガポールに会社を作って、みんなおいで !とやっている会社の方がカッコいいじゃん!って先輩と盛り上がったんです。

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始まりがシンガポールで、会社設立に関わってしまう、そんな高田さんは間違いなくカッコいいじゃん!シンガポールで参画した、日本企業のグローバル展開を支援する企業では、旅行者向けのWiFiルーターレンタル会社の立ち上げに、日本人向け海外起業イベント「KUROFUNE」や、世界40カ国から多分野の挑戦者を集めたピッチ「ザ・カオスアジア」などの独自イベントの企画運営など、もう思いつくまま、手当り次第!?という感じで、あらゆることにチャレンジしていく。
今、当時のイベント名のごとく、「カオス(混沌)」とした状況の中から、新たに起こした高田さんのイノベーションとは?

日本で買えなかったエナジードリンクを買えるようにした、という単純なことです。
渋谷にいる友人のクリエイターがたまたまこの缶を見せてくれて、パッケージに一目惚れしたんです。「欲しい!買いたい!」と。でもアマゾンでも楽天でも売っていなくて悔しくて…。ルクセンブルクの製造元に問い合わせると、シンガポールかオーストラリアに行けと言われたんです。よく考えたら、僕、シンガポールで会社をやっているじゃないですか(笑)。それなら!って。実際、飲んでみたら本当においしいし、パッケージはかっこいいし。今、僕がやらないと、日本で飲める日は来ないと思ったんです

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味を確かめる前に、パッケージだけで輸入元になろうと決めてしまう高田さん、あまりにも無謀すぎないか…。ただ、新しいことにチャレンジし続け、空気に澱みを作らないことが、運気を上昇させる秘訣と聞いたことがある。この恐ろしいまでのフットワークの良さに、運気も上がらざるを得ない状況を作ってしまうほどのパワーがすごい!

現在、世界で1.4億本売れているエナジードリンク「28 BLACK」の日本での独占販売契約を取り付ける。単純に、世界で楽しまれているおいしいものが日本で飲めないなんて!というだけの理由で、だ。そこからアジア開拓を担っていくという話へトントンと。そうやってクリエイターの友人たちと一緒に始めたのがサイレントエナジー株式会社だ。「なんだか部活みたい」というマスターの一言に、客人も大きく頷いていた。

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一回目にドイツから輸入したのが、2.5トン、400ケースぐらいなので2万本か3万本ですね。これを個人輸入したんです。
輸入の仕組みを全く知らなかったので、車はバンで行っちゃったんですよ。商用バンで行けば乗せられるだろうと思って。ところが、物流って基本はフォークリフトで乗せて終わり!なんですけど、バンだから屋根があるでしょ。フォークリフトのお兄さんに、フォークリフトが入らないぞって言われて。そこから2.5トン分の商品を5、6人の仲間で人力で運び始めるという大運動会になりまして(笑)
400ケースをひたすら運んだのですが、意外に運べるんですよ。そして今度は倉庫がまさかの地下1階!エレベーターとか一切なく、そこからまた2.5トン分を手で運んで倉庫に入れました。結構何とかなるものなんだと、これで自信がつきましたね(笑)

動画で撮影して、早送り再生でもするとウケそうなものだが、「要するに無計画ってことですね」とマスターも笑いながら突っ込んだように、理系の頭脳明晰な人とは思えない思いつきの行動に笑いが起こる。そんなちょっと憎めない高田さんだからなのか、なぜか高田さんの“思いつき”でも助けてくれる仲間が周りにいるのだろう。この日も北海道から「28 BLACK」の看板を背負って走るふたりのプロレーサーが駆け付けていた。

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いよいよスナックかすがいにも、閉店の時間が迫ってきた。
マスター豆彦さんが、ここであらためて参加者に問いかけていく。「あなたにとって元氣ってどんな状態ですか?」と。

「朝パッと目が覚めることです。前の日のストレスを引きずっていないからパッと目が覚める。今日も1日がんばろうって」
「心から楽しいって思いながら働いているとき」
「笑顔で仲間とビールが飲めるときかな」

マイクを渡された参加者が次々答えていく。落合さんと高田さんの話を聞いたあとだったからか、参加者の声色からも元氣が感じられる。

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そして最後に落合さんと高田さんにも。「どうやって自分を元氣にしているんですか?」

落合さん:よく友人や取引先の人から、私と一緒にいると元氣になれる、ありがとうって言われるんですけど、自分ではあまり元氣さって意識していなくて。強いていえば、素直に生きることかな。今は60人ぐらい働く仲間がいて、彼らの人生を守らなければならなくて、年に1回ぐらい猛烈なピンチもあります。でもなんとかなるんです。
とりあえず何でもやってみて、間違っていたらやめればいいし。試着みたいなもんですかね。試着することは意識的にやっていますよ。
高田さん:なんかものすごいシンパシーを感じますね。今日初めてお会いしたとは思えない。やってみたら意外にできちゃうことってあるんですよね。僕もは2.5トン、運んじゃいましたしね。自分を元氣にすることって、結局とりあえずやってみよう!と思うことですかね。

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その躊躇なき行動力が、自分自身を奮い立たせ、元氣につながっていく。しかもさりげなく、楽しそうに、笑いながら。そんなふたりから滲み出る元氣さに、多くの人が惹かれ、集まってくる。

元氣な人と一緒にいると、元氣になれる。氣は間違いなく伝染するものだ。やっぱり誰でも元氣でいたい。朝は元氣に目覚めたいし、元氣でいるからビールもおいしい。元氣でなければ笑顔にもなれない。だから高田さんと落合さんが、どこでどんなことをやったとしても、いつも周りには仲間が集まってくるだろう。そんなおふたりの元氣に誰もが憧れるのだ。この日の落合さんと高田さんとかすがった客人の中で、何かに躊躇していた人がいたなら、きっと今ごろは、一歩を踏み出したに違いない。そう、人生何とかなる!

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ビールをご提供くださった人

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この体験記を書いてくださった人

真下 智子さん|Mrs. Satoko Mashimo
フリー編集者・ライター。同志社大学社会学科新聞学専攻卒業。
食品メーカーの社内報を3年間担当後、東京にて家電やライフスタイル系の業界紙記者を経てフリーランスに。おもに旅行誌をはじめ、ブライダル情報誌、女性誌、さらに企業広報誌で編集、ライティングを担当。Webでは企業のホームページ、採用ページ、ECサイトを担当。
フリーランス歴は24年で、ライター業が中心。これまでに東北、九州、シンガポールに在住経験あり。現地での広報誌の立ち上げにも携わる。ジャンルを問わず、インタビュー記事、ヒアリングに基づいたブランドストーリー制作が得意。温泉シニアソムリエ、温泉入浴指導員、温泉観光実践士の資格有。二児の母。「1日1餡」の無類のあんこ好き。 satchy@sc.dcns.ne.jp


この体験記の写真を撮ってくださった人

野村 優さん NOMY|Mr. Yu Nomura
昭和54年生まれ。岐阜県出身。人物、商品、建築、料理、映像などを撮影するプロカメラマン。大学でグラフィックデザインを学んだのち、レコード製作/販売会社、オンライン音楽配信会社、ECサイト運営会社を経て独立。野村優写真事務所を開設。2014年7月、「さぁ、みんなでカメラ楽しもう!」をテーマに「撮れる。魅せる。伝わる。カメラ講座」開始。岐阜、名古屋、東京、大阪、神戸ほか全国に展開中。
趣味は、ジャズのレコード収集、DJ、ハーブを使った料理、もうすぐ7歳の息子とカメラ散歩。
素敵、かっこいい、面白い。そう思った時がシャッターチャンス。
その気持ちが写真に写り込むように。
https://www.facebook.com/yu.nomura.92







好奇心旺盛な大人たちが、生ビールとグリーン豆をお供に、気になる人の気になる話を聞いて楽しむ社交場、それが「スナックかすがい」です。いっしょに乾杯しましょう!