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今からでも遅くない!総合商社就活で活きる勉強法

就職活動売り手市場と言われる昨今でも、総合商社を希望する学生は先細ることなく、熾烈な競争を繰り広げています。東大をはじめとする旧帝大や早慶をはじめとする有名私立大学、そして海外組等、その出身でなければ文字を見ただけでも不安になりそうな猛者がたくさんいることでしょう。

総合商社に必要な真の学力

でも安心してください。商社のビジネスにおいて、試験で測られる学力が直接的に求められるのは、中学までの内容でほぼほぼカバーされます。私は事業投資やトレード業務に関わってきましたが、特殊なケースを除けば、これ以上の知識が求められたことはありません。その中でも特に重要なのが、国語、次に数学、そしてある程度の英語です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

数学

数学は、小学校で習う四則演算に、中学で触れる負の数や小数・分数を加えたの一般的な算術ができれば、他記事でも紹介した様にMBAで習う様な企業価値算出までできてしまいます。もちろんその事業モデルの前提となるビジネスについては、商社に勤めてから学ぶ必要がありますが、入社時点では必要ありません。

稀にリスク分析のモデルを新規で作るような仕事をする可能性はあります。その場合、微積分や統計・確率等の頭が痛くなりそうな内容がついて回りますが、同期入社100人いて、その前後含めてもその仕事をしていたのは私だけだったので、ほぼ必要ないでしょう。誰しも高校数学である程度はかじっているでしょうから、そうなったら諦めて入社してから勉強しなおせばいいと思います。少なくとも、入社時点でその能力を試されることはないと考えていいでしょう。

英語

英語もあって損はありませんが、シンガポール・アメリカと海外を渡り歩いた私からすると、世界を股にかける総合商社の印象とは裏腹に、英語を流暢に話せる人はごく僅かです。

それでもやっていけるのは、商売の基本が「売り手良し、買い手良し、世間良し、三方よし」であるため、我々が対面する海外顧客や仕入れ先も、こちらを理解しようと努めるからです。したがって、高校で学ぶ英語を中途半端に話すより、中学までの範囲を自信を持って話せることの方が、むしろビジネスには役立ちます。アメリカの子供は2、3歳から両親や友達と英語でコミュニケーションをとるわけですから、どんな教わり方をしたにせよ、我々がちゅがく3年間で学ぶ英語は、ちゃんと話せば大概のことは意思疎通できます。

国語(≒日本語力)

実はこれがめちゃくちゃ大事です。どんな会社もそうですが、口頭・文章をつかって指導・指示、報連相をするわけなので、多くの社員の母国語となる日本語が鍵です。

ここを曖昧にしてしまったり、おろそかにしてもいいと思ってしまうような人材は、総合商社で生き延びるのは特に難しいでしょう。なぜなら、商社ほど長い歴史や事業規模になると、過去の偉業や過ちの歴史は文書で伝承されます。指示もメールや電話会議で全世界に発信されるので、誰もが同じ理解をできる文章を書き(発言し)、他のみんなと同じ解釈ができる日本語力が必要です(一発でそう理解できなくても、違和感や曖昧さに自ら気づき確認する力も含めます)。したがって教科としての国語の得て不得手というより、いわゆる日本語力です。

よく混同されるのが、「コミュニケーション能力」という言葉で、社交性やユーモアを含むいわゆる「コミュ力」を連想されそうですが、それ以上に誤解のない会話をする力が必要です。今は想像できないかもしれませんが、思っている以上に、会社に入るとこの誤解を招く発言や皆さんのする誤解を先輩から指摘されることでしょう。

余談ですが、以前面接官をしていた際、私の質問内容を理解できたか不安だったため、しっかりと聞き返して確認してきた学生がいました。この学生は学生時代にインターンを経験したため、既にこの誤解の洗礼を受けてきたのでしょう。私の質問が曖昧であったことは反省しましたが、この学生の働く姿が想像でき、とても好印象を持ったのを覚えています。

理科・社会

理科や社会をゼロでやっていけるわけではありませんが、大学入試の様な重箱の隅を突いた歴史的知識は求められません。また、化学品を扱う部署の人間でさえ、実際に高度な化学の知識を必要としません(むしろこの業界は人間味がすごいので、人間力が大切だったりします)。

なぜ大卒要件があるのか?

ではなぜ大卒が要件となっているのかという疑問が湧いてくるでしょう。先の議論が正しければ、中・高卒だって商社で働く十分な学力を持っているはずです。

この点については歴史を含め様々な理由があると思います。推測に過ぎませんが、採用していた経験からすると、中学までの内容で知識としての学力は十分ですが、自分の好き嫌いや権利義務に関わらず、自主的に学び、生き延びる(単位をとってちゃんと卒業する)真の学習能力を大卒要件を使って線引きをしているのだと思います。

結論

総合商社への就活に関しては、ご自身の学歴を誇ったり嘆いたりする必要はなく、むしろ「算数が苦手だ」「人との誤解が多い」等の苦手を含め、自分をきちんと向き合うことが今できる最高の準備だと私は考えています。

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