AIAIAI TMA-2 Studio Wireless+ その3

イントロ

TMA-2シリーズはスピーカーユニットとヘッドパッド、ヘアバンド、ケーブルに各種用意があって、これらを組み合わせたモジュラーシステムのヘッドフォンシステムです。私が購入したスタジオ・ワイヤレス・プラスは、メーカーの組んだキットとなっており、1パッケージで提供され、バラで買うよりもコスパのいい商品です。

サウンドハウス税込売価38500円にクーポン利用で実売36575円、ポイント付加1096となり実質35479円は良い買い物でした。

バラで買うとなると
S05MKII:detailed(スピーカーユニット)11800円
E08:アルカンターラ・オーバーイヤーパッド6020円
H10:ワイヤレス+ヘッドバンド15800円
X01:トランスミッター7580円
C02:1.5mカールコード2980円
A01:ポーチ3480円
の合計47660円になります。
H10とX01はバンドル品がありまして、それならば15880円安くなり46080円となります(いずれもポイントを勘案せず)。その辺りを計算して購入に踏み切りました。

不満

先日書いたとおり、ワイアードのヘッドフォンとして使用した際の音質に不満があります。元々はそのようなパッシブ駆動の製品を出してきた会社ですから、あれが本気のスタジオユース狙いとは想像しがたいのです。

ということは、電源やDACやパワーアンプを仕込んだヘッドバンドに、パッシブ利用時の弊害が潜んでいると推測できます。従ってシンプルなヘッドバンドにケーブル接続で、このスピーカーユニットがどういう鳴りなのかが気になるところです。販売中のH01:Slimが、ラインナップ中最安の6980円ですからポイント獲得がなりましたら狙ってみようかと思いつつ、他の可能性も探ってみましょう。

ディテイルドと銘うたれ、かつ2世代目に進化したことを示すS05mk2なのですが、ローが太いところが気になっており、ハイが弱い印象があります。人の声に温かみがあり、長時間でも疲れない利点があるもののボーカルが前に出てきません。現状、メーカーサイトにはS02:punchy、S05:detailed、S10:wireless/detailedの3品目しか存在せず、他はいずれも製造中止となっている模様です。

スピーカーユニットのラインナップ

サウンドハウスではS02、S03、S04、S05、S05mk2が在庫されており、S10の扱いは無く、S01が製造中止の上、品切れとなっています。これが基本で、以降が材質や筐体などに相違を加えた派生モデルと見えますが、評価が芳しくなかったか、材料の入手性が悪化したためか、現行品は3種に絞られてしまいました。詳しくは後述します。それでも在庫品がまだ残っている状況ですから、色々試して、自分の好みにマッチさせるのは、散財覚悟なら不可能ではありません。

基準となったS01:neutralに興味があるのですが、パンチーなS02は、これ以上低音を必要としないので不可。ウォームなS03は、今もウォームなんで被るかなと思いますし、ヴァイブラントなS04は候補ですが13800円とそこそこします。S05は旧モデルとマーク2の両者共存しておりますが、現mk2を所有しつつ旧機種も持つ、というのは抵抗があります。

しかし実はS01を9k程で入手できるルートがあるので、気分次第で行くかもしれません。私の目論見としては、ワイヤレスはAV用ですのでS01で組み直し、S05mk2をワイアードで音楽制作に利用するという方針を建てたいところですが、いかがなものでしょう。結局もう1本買うのと同じで、これぞ思うつぼの沼ですね。

19800円の3モデル

ちなみにサウンドハウスで買えるコンプリート品は、S01を含む"All-Round"が「お取寄せ」表示で最安の17800円。とは言え本家で製造中止ですから今でも入手可能かどうか。在庫を見ていくと、S04を含む"Comfort"、S05mk2を含む"StudioXE"、S10採用の"MoveXE"が19800円。

Comfortを買ってみるのは目的に適うかもしれません。他の2機種は意味がありません。

少し脱線しますが、AIAIAIのワイヤレスは各種ありまして、私のワイヤレス・プラスに関しては独自のトランスミッターと組み合わせて使う遅延最小、ロスレス方式のものを除くと、従来はBluetooth5.0を利用していました。その際、スピーカーユニットにレシーバー、デコーダー、アンプ、電源を内蔵するもの(S10)と、ヘッドバンド側(H06)に搭載して従来のスピーカーユニットと組み合わせるものが併存しています。

以後紹介するコンプリート品は、ワイヤレスモデルに関してはS10かH06のどちらかを組み合わせて構成しています。これも後述します。

恐らくは、ワイヤードのAIAIAI製品を利用中で、カスタマイズによってワイヤレス化を望む場合に、後からヘッドバンドの方で実現する方法と、初めてのAIAIAIをワイヤレスで検討する向きのためにS10を中心としたビルドの道を用意したのだと思います。多様な手段があり、この辺りはぱっと見には複雑。

その他のモデル

サウンドハウスの在庫品を更に見ていくと21800円の"DJ"がパンチーなS02を採用、25800円の"Move"は先の"MoveXE"に対し、パッドとバンド違いでBTのS10。同価格の"Studio"は私のWireless+からヘッドバンドとトランスミッターを除いたパッシブモデル(ワイヤード)。

この機種には多くレビューが寄せられていて、概ね高評価、文脈的にも同意できる方向です。ただし、私が聞いているW+のパッシブ駆動と同じ音なのかは疑わしいです。私は、この製品を聴いてみたいと思っていますが、だからと言って購入してまではバカバカしい、ここがモジュラーシステムの利点で、ヘッドバンドH04だけ買えば済みます。

ヘッドバンドH04は上記のS04と組む"Comfort"パッケージに含まれており、既に所有するワイヤレス・プラスと組み合わせれば、事実上"Studio"を再現することと、S05以外のスピーカーユニットを試すことを同時に実現します。S01とH01を合計すれば、品代で15620円。価格差は小さくありませんが検討できる範囲にはあります。しかしS04単体で13800円ですからお買い得とも言えますね。なにしろコンフォートヘッドバンドH04が単品で15400円します。もう一度言う。単品で!

コラボレーション・モデル

他の機種も見ていきましょう。以下はコラボモデルです。26800円でカラーズ・エディションというのがあります。これがS04ヴァイブラント使用ですが、ヘッドバンドにH06というマイク内蔵のBTバンドを組み合わせたワイヤレスになります。

ややこしいのですが、H10がワイヤレス・プラスとBTの両対応、H06がそれ以前のワイヤレス特化のヘッドバンドです。単品で21600円表示ですがH10とトランスミッター(X01)とのバンドルが同価格なので、今からこのアップグレードはナンセンスな気がします。一方、音声品質と遅延を気にしない人が最初から「カラーズ」を買うのは全然ありです。ファッション要素優先ということになるかな。"Move"シリーズは2品目ありますが、それらはスピーカー側にワイヤレス機能を仕込んで40時間、カラーズはヘッドバンド内蔵型で20時間。電池の保ちが違うので懸案事項ですね。

現行ユニットの3種とは

本家サイトの文言を見るとS10はS05と同じ構成のスピーカーのようです。ついでに言うとS02はポートで低域を強化したエンクロージャー・チューンと解釈でき、つまりは、もはやスピーカーユニットは単一になってしまっているということ。仕方ないけれど寂しいですね。

音にも影響するコラボモデル

29800円と高価になってきましたが"Ninjya Tune"コラボモデルが存在します。これは「カラーズ」がロゴチューンなのに対し、スピーカーユニットをS83としてS05の素材を変えて採用しています。アナログ・レコード盤の再利用というコンセプトで、もう一つの特徴はオンイヤーとオーバーイヤーの2タイプのヘッドパッドが同梱されていることでしょう。共にこの機種のためのカスタムでE81、E82という品番を与えられ、ブランド・ロゴ入りでもあります。その分が価格に乗っているのですね。音は向上したのでしょうか。こちらもヘッドバンド内蔵BT利用のワイヤレスです。

30000円以上

最後に"HD Wireless"というモデルが存在します。私が検討した時42800円と最上位でしたが、今は値引きされ37800円に変更されています。ワイヤレスプラスをBT機能のみにした、と言っていいでしょう。つまりは旧モデルです。スピーカーユニットはmk2ではないS05と表示されています。700円上乗せすればロスレスで遅延ほぼ無しにできますし、機能だけでしたら11000円安い「カラーズ」がほぼ相当しますので、今となっては選択する理由がありません。併売でこの価格差は、ちょっとした案件であり、注意喚起したいところです。

まとめ

ワイヤレスプラスはトランスミッターを介して、目指す音質が達成され、再現性の高い、モニター用として十分成立する実力が認められます。しかし不満もあり、端的に言えば、ボーカルが前に出てこない、という音場感です。それが力強い低域のせいなのか、穏やかな高域のせいなのかわかりません。私の耳は高齢化のために12.5kHz程度までしか聴き取れず、そのせいで寂しい音に感じるとするならば、その帯域を多少補うチューニングが必要です。といったところで、ニュートラルなS01かヴァイブラントなS04に興味があり、それが正解かわかりませんが、バラで買うもよし、S04を搭載したセットものにするもよし、サウンドハウスのポイントが付与された時期に、いずれか試してみたいと思っています。


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