興味あるコンデンサマイクを少し

以前は、プレイヤーの傍ら、簡単な音響オペレターも兼任したことがあります。

今日は成人の日でしたね。当時を振り返ってみますと、10代最後の年にちゃんとしたプロのレコーディングスタジオで、その仕事ぶりを見せて頂く機会がありました。目指していたミュージシャン像は諦めてエンジニアになろうかと思い、無償ではありますが少々のアシスタント経験をさせて頂きました。まだ本格的にベースを弾いていたわけではなく、自分の思う「音楽」を作ろうと模索することに疲れていたかもしれません。そうこうしているうちに、ギターを習っていた方から新しいバンドでのベースを頼まれて、老舗クロコダイルに出演させて頂けたのをきっかけに、ベースなら仕事にできるかもと勘違いして今に至る、というのが超シンプルなバイオです。

高校卒業後、カセットテープを使うTeac社のマルチトラックレコーダー、4chでダビングができるやつを買って、リズムボックスでパターンを組み、カラオケ用レベルの安マイクでアップライトピアノやアコースティックギターや、自身の歌をピンポンしながらダビングして作曲活動をしていました。ピンポンてわかりますかね? 先日話題の「ダイレクトボックス」でwikipediaを検索して頂けると、ビートルズの事例に即して説明されています。

夢といえばトラックを増やすことでしたので、Fostexのオープンリール型、8chのレコーダーに買い換え、スプリングリバーブ、アナログディレイなども揃えながら充実を図ります。集めた機材たちの動作原理、録音作品の制作過程、そんなことを勉強しながら、乏しい音楽的才能、というかスキルの無さ、知見の狭さと格闘する10代でした。

ですから、ほぼ成人のタイミングでレコーディング・エンジニアさんとのご縁ができたのは、相当、私にとって道が開けた気がしたものです。結構通いました。スタジオは、それ自体が夢の世界です。

具体的に何があったのか、思い出すのも大変ですし、いろいろな人達が関わるので今は伏せておきます。20歳を過ぎてから「自分の楽器」としてベースを選んだため、とにかく食べていけるようになろうと必死に試みて、ようやく26歳の終わり頃から演奏の「仕事」に就けるようになったと。遅すぎますね。でも幸せだからいいんです。ベーシストになれましたから。

録音という作業は好きです。子供の頃には、親が持ってたドーナツ盤(トロイダル・ディスクですな、誰も言わないけど)を数枚、自分のトークを挟みながら単純にカセットテープレコーダーの録音ボタンを押しては止めの繰り返しで、自作ラジオ番組を作ったりしました。聞き返せる、というのが、もう魔法なんですね。録音機に魅了されていました。

ベースの履歴とは別に、時代が大きく飛んでPCベースの録音環境が、一般ユーザーに浸透し始めた頃、むろんベースの腕を上げるためにも活用しましたが、再び多重録音的なことを始めます。10代の頃は、マイクの性能差ということに気付けないでいましたが、ダイナミックマイクでもShure社のにするだけで段違いに音が良くなることを知り、スタジオに出入りしたことで、またその上?を行くコンデンサーマイクというものの存在を知ります。

ノイマン、AKGは到底買えませんでしたが、まだ創設間もない頃の、ちょっと怪しい千葉のSound Houseという店で、オーストラリアのRode社のマイクが紹介されると、これなら買えると、奮発したのに変わりありませんが、NT2という機種を買いました。ソニーなどから手に入りやすい「エレクトレット・コンデンサーマイク」というのが出ておりましたが、ここにきて本格的なやつを初めて手にします。

これを稼働させるために48Vを供給できるマイクプリアンプが必要とあって、とりあえずART社のTUBE MPというのを買って、そのコンビで録音をしてみると音が素晴らしい。アコースティックギターが、初めてレコード/CDで聴ける、その音に近づきました。

それらは今もまだ持っています。冒頭に書きました通り、2000年代以降、お引き受けする仕事に、PA込みで、というのが時折混ざるようになり、バンドの一員としてプレイはするのですが、そのバンド演奏を可能とする機材一式を準備し、設営から本番中のオペレートまで兼任する機会ができました。予算が少ない場合のやりくりですね。バンド側で全て請け負うというやり方。

仕事というか、自分が中心となってライブを行う際に、当時Protoolsの002とノートパソコンを持参して、マルチでの録音を度々行っていました。CPU能力もまだまだ低かったので8トラックくらいでの収録ですが、自宅でそれをミックスするのが楽しく、エフェクトのプラグインも使い倒して、色々と勉強になりました。

そんなこんなでマイクの数も増え(大半はダイナミックですが)、録り音での比較からどのマイクがどんなだか、多少なりともわかってきました。えーと、前置きで2000文字です。独り語りなんで、喋りすぎます。すみません。

私のつまらぬバックグラウンドなど置いといて。

友人が、この自粛期間のおこもり作業でレコーディングをやっており、相談に乗っている間に、NT2使ってみたらと貸し出してみました。マイク、いろいろ買ったのは事実ですが、収録とはいえ主にステージで使っていましたので、そう大した物はありません。ラージダイアフラムの、見た目的に本格派なのはいまだNT2一本だったし、あれから20数年経つ今も良いと言われている物なので、今聞いてどう感じるか興味がありました。

彼とのやり取りがきっかけで、昨年の終わり頃からコンデンサーマイクの比較動画を、そりゃもう嫌というほど見まくって、久しぶりに自分でも何か1本手に入れてやろうと調べていました。えーと、順序で言うとパワーアンプに狂い始める少し前ですかね。多少重なってますが。

NT2でサクソフォンを録音した音は聴かせて頂いて、かなり良かったですし、彼も文句はないと言ってくれました。彼にお勧めのマイクはどれか?と尋ねられて、自分が実際使っていないのを前提に、自分が欲しいものはこんなです、と数本を挙げました。今日はそれを紹介して終わりたいと思います。

Rode NT2A … NT2で満足されたのであれば、後継でも大丈夫でしょう 4万円台で安いです。NT2あるので自分では買いませんが…。

Aston Spirit … 英国の新興メーカーで、4万円台半ばと安いです。Youtubeで色々聴きましたが、私はブラインドテストでも当てられました。ブリティッシュテイスト、デヴィッド・ボウイのサウンドを思い起こさせます。個性的ですが格好いい音だと思いました。下位のOriginよりもはっきり良いです。

Neumann TLM103 … ノイマンで手の届く範囲だとこれかなと。と言っても約11万ですので高価。102はボーカル専用なので楽器録るならこっち。

Audio Technica AT4047/SV … オーディオテクニカUSAが公式Youtubeチャンネルで様々な録音のマイキング方法を紹介していて大変参考になります。バリトンサックスの事例でこれを使用しており、他の様々な楽器でもこのマイクはいいなと思いました。オーテクでは一番好きな音がします。8万円以下で買えます。

という4機種に落ち着きました。スモールダイアフラムもアコギやドラムのオーバーヘッドによく使っていました。RodeのNT5(マッチドペア)、M-audio PulsarII(マッチドペア)を所有しています。エムオは廃番ですがNT5が5万円くらいで買えます。マッチドペアなのでステレオ録音がちゃんとでき、かつ2本をそれぞれ使うことも可能で、いい選択ではないかと思います。というわけで

Rod NT5 … もう持っているので自分は買いませんが、お勧めです。でも1本でいいならNT2Aの方が上ですので、番外ということで。

コンデンサーマイクのインピーダンス変換はFETが主流ですが、ここに挙げた中で、私自身オーテク(のうんと高いのは対象外)で一番好きな音がしたこの子だけトランス内蔵です。ノイマンの型番TLMはトランスレスを意味しますから、そういう訳でイチ押し、自分が買うならAT4047/SV一択となります。とりあえずトランス入ってるもの買っとけ!というのが2021年、座右の銘となります。ちゃんちゃん

追記:リボンマイクではありますがsE electronics / Voodoo VR1は気になっていました。ギターアンプの前に立てて使いたい、その場合SM57よりいいんじゃないか、という想定です。35000円くらい。まぁでも無責任に挙げただけです。関心を持ったことがあるというだけ。失礼しました。




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