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うちのギター

私はベーシストで、ギターを弾くのは、ただ好きだからです。ギターの本数だけ異なる音色があり、つい色々欲しくなって数が増え、さらに手を入れて弄くりまわして散財するのも、そろそろ終わりにしようと考えています。

アンプはCarrのImparaを大切に使っていました。古き良きフェンダーアンプのテイストを、深い愛情を注いでリメイクしたような現代アンプに、とても満足していましたが、まだゴールとは思っていません。というのも全く個人的な趣味性故に6L6に魂を持って行かれるほど魅力を感じてはいなかったからです。

本当はCarrならばEL84を加えたTelstarが一番好みでしたし、Matchlessを出たマーク・サンプソンの"Sampson"アンプの実機を見つけたときには、その音に鷲づかみにされましたが、これもEL84を使用していました。頑張って買える値段でしたが、大きく重く、しかも小さめな音が出せなかったので諦めました。今探してもとうてい見つかりません(価格上昇は2倍どころではないし)。

アンプを売って、お金に換える。またギターも1本残して他は処分しよう。と計画的に進めてきて、例えばMarchioneを一生の宝と思って所有していましたが、まずそこから終活に向けて手放すこととします。先日Carrが売れ、売却予定品としてはラス1だったGretschも売れ、手許にはBossaのJay Gradon signatureのみが残っており、所定の予算を厳密に守りながらセミアコを1本、アンプを1台探していました。EL84系のアンプでGretschを鳴らすのは夢のひとつでもあったけれどタイミング的に合いませんでした。

ギターの方から話すと、国産Ibanezをずっとターゲットにしていて、セミアコ型のフルアコ(AM2000)が14万くらいで出たときに買っておけばよかったのにスルーしてアウト。その後ほとんど見たことがありません。AS1000という80年代のモデルも買い損ねました。ヤマハでも一部採用しているバーチをトップ材に使って、なかなか歯切れの良い鳴りでした。バーチはトーンウッドだからもっと使えば良いのにって思います。

そんな昨年秋に歌伴でご一緒したギタリストが、タイムリーにIbanezのセミアコを持ってきていたので声を掛けるとLee Ritenour signatureのLR10でした。弾かせてもらうと弾き易いし、出音も素晴らしかった。曰く、PUはダンカンに載せ替えた(オリジナルが駄目になって)ということで、本家335よりも「ずっと」気に入っていると話してくれました。14万円で買ったそうです。

以来、ずっとLR10をウォッチしていて、機会が有れば実機を見てきましたが、いかんせんバインディングが崩壊しているものが多く、20万円弱を払うのに抵抗ある個体ばかりでした。今年に入って、PUとペグ、ブリッジを交換し、オリジナル度が低いという理由で格安で出ていた1本を見つけ、弾かせてもらうと手に馴染み、バインディングが奇跡的にキープしている個体で、その場で購入しました。PUはダンカンのアルニコ2プロをネック側、JBをブリッジ側にセットし、シリーズ/シングル/パラレル(両PU同時に変化)のミニスイッチを追加してあります。

アルニコ2プロをシリーズHBで鳴らした音は最高、と思うのですが、ブリッジ側がいただけません。たぶんシングルにタップしたときの音を重視されたんだろうと想像できますが、スイッチでシングルにすると両方ともシングルコイルになって、テレキャスターっぽさは「有り」なんだけど、ネック側の出力不足でバランスが悪いです。というような不満が現在地。PUの話は改めて詳しく書きます。

で、アンプ不在だと、うちでギタリストの方とデュオでリハーサルするのに支障があり(ベースアンプで代用利くものがいくらでもあるにせよ)一応1台、Carrの後継となるものを入れておこうと、これも機材選びに余念がありませんでした。

以下のような条件を設けます。EL84を2本。リバーブ内蔵(デジタルも可)、12インチスピーカー。またコンボに限らずヘッドでもいいです。スピーカーは家にごろごろ転がっていますから。

たぶん、本当に好きな音がするのはmesa/boogieなんで、数ヶ月チェックしていましたが、最安でも7万くらい。先に厳密な予算と申しましたが、ギターとアンプで、今回の出費は18万弱。ギターは先に決まりましたから、アンプは本体4万円と見積もっています。それに税金と送料が乗っかって使い切る感じ。

メサは無理で、VoxがAC15の中国製が買えそうですがそそられません。私が目を付けていたのはHughes&Kettner、Engl、Kochでした。ヒューケトは欲しい機種があり、本当に良い音でしたが音量を下げられませんでした。エングルはコンボだと10インチスピーカーの組み合わせとなり、ヘッドだとリバーブがなかったりと、なかなかぴったりきません。コッチ(日本は正規代理店がコッホと決めましたが本国の人達がコッチと発音しています)には魅力たっぷりの機種がひしめいており、正直どれでもいいし、トランジスタアンプのジュピターでも、ご縁があるならそれで良かったです。

なかなか踏ん切りが付かないまま時が流れる中、最近の軽音支援などで学校を訪れるとMarshallがあって、悪くないなと初めて思いました。一緒にやるギタリストがMarshallを鳴らすと気狂いみたいな音を出すので大嫌いでしたが、別に普通に良い音が出るアンプと知ったわけです。

Marshallの4203、これプリはトランジスタですが、だからこそ安いし、音色は上々です。チューブプリにトランジスタパワーよりも好き。オールチューブならばDSL201ということになります。実際、このような候補を試奏する機会は持てませんでしたが、安いなら試さずともYoutube動画でいいや、ということで視野を広げて、もう少しマイナーな存在も見ていきます。

BognarやEgnatorなども見つつ、廉価と見做されるCrateやLaneyなども拾っていくと、他にLine6のDT25なども出てきたり。これのプリ部はもちろんDSPによるシミュレーターです。そうこうしているうちEL34でもいいのでは、と思えてきました。84でもうるさすぎるヒューケトだけど、上手くデザインされていれば34でも家で弾けるかも。4本でなければたぶん大丈夫。6V6は自身に不可と戒めます(84もですがブレイクアップが早いので)。

まぁ双頭が6L6とEL34ならば、34の方へ進むというのが、私の道かもしれません。Marshallの選択肢も広がるし、と見ていくとTranorにぶつかりました。カナダの老舗で、ベースアンプで知っていました。日本エレクトロハーモニクスが一時、正規輸入していた製品が少し市場に出回っています。

結局私が選んだのはTranorのYCV50Bというモデルです。オークションで3万円以下で落札できました(4万円で入札しました)。EL34を2本使い、アキュトロニクスのフルサイズのスプリングリバーブを備えた12インチコンボアンプです。有賀教平さんの動画が決め手となりました。

届いた品は、梱包の状態でタバコ臭がひどく、音を出すとすーっと消失したりして不安定(1時間ばかりで安定しました)。把手はちぎれそう、と状態はCランクかそれ以下でしょう。録音に使うのは恐いかも。いや、酷い匂いですよ。家中がヤニ臭い。商品説明にひと言書いてくれれば良いのにね。でも喫煙家は気付かないのでしょう。まぁ、かつてのライブハウスの匂いですね、仕方ない。アルコールで拭いたり外へ出しておいたりしましょうか(今はファブリーズで凌いでいます)。

そんなわけで扉絵のような2本のギターと1台のアンプがこの部屋に入り、これが全てですが、とくにLR10のネックPUをTranorのクリーンチャンネルで鳴らした音が、永遠に弾き続けられるくらいにお気に入りなので、それが予算内で得られたことにまずは満足です。散財したくないと宣ったばかりですが、LRのピックアップは交換しますので、その話を続けます。では


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