各バレル長に加速シリンダーを用いた際の初速の変動についての実験

また非常にめんどくさい実験をやってみました。
結果は非常に面白いことがわかったのでやってよかったです。

前々からインナーバレルの長さを変える初速がどう変わるかと、
加速シリンダーを採用したら出力がどう変わるかと、
VSR系特有のエアダンパーに関する実験と
ホップ量が変わると初速がどう変化するのかを知りたかったんですよねー―

それらを全部まとめて実験してみました。

(インナーバレルの内径や、ピストン重量も変えて見たかったんですけど、それはまた今度、、)

この記事はカスタム上級者向けです。
申し訳ないですが、初心者が見てもあまり参考にならないと思います。
後半は有料記事としてますが、内容が難しいと思うので購入はお勧めしません。
結果は無料で見れるので安心してください。

カスタム初心者はオンラインサロンに来ていただいて、
雑談でもしながら学んでいって下さい。

それでは本編に入る前にもう一つ
このような実験をすると必ず入るちゃちゃがあるので先に言っておくと

1 毎回同じセッティングにできるのか?
できないと思います。
一応なるべく正しく数値を取るために毎回慣らしの試し打ちをしてます。
バレル変更前に、組み合わせを最初に戻して数値がくるってないか、不具合が出ていないかを確認してから次に進んでます。
誤差があろうと、傾向はつかめるので十分だと考えてます。

2 初速オーバーしてるだろ
してます。
実験中のオーバーですので致し方ないと考えてます。

3 オーバーする組み合わせを公表して真似する人が出たらどうするんだ?
多様なカスタムパーツが出回っている中、オーバーしないように組むのは個人の責任と考えてます。この実験はオーバーさせずにカスタムをしようとする人の手助けになると思います。

それでは行きます。

実験に使用する個体
SSG-10 A1(VSR系)

作りがよく、数値が安定しやすい
且、頑丈で繰り返しの分解にも問題なく耐えれそうだから

初期データ 初速78~80m/s程度(0.28g)
※以後のデータはすべて0.28gを使った数値です。

変更するデータ
インナーバレル 430(ノーマル),350,300,250,200,150,100mm
加速シリンダー 0(ノーマル)、+15,+25,+35,+45,+55,+65mm
エアブレイクピン 無し、10mm、20mm
ホップ量 最弱(0.25g適正程度)、5クリック(0.28g適正程度)10クリック(0.4g適正程度)

7×7×3×3の441通りの組み合わせをすべて初速を測ります。
で、測った結果がこれです


いかがだったでしょうか
バネ固定、ピストンウエイト固定
※厳密にはエアブレイクピン10㎜が0.6g、20㎜が1gあるのでちょっと重くなる。

つまりコッキングされたときのエネルギーを固定としたまま、
他の要素を変えると初速が上がったり、下がったりしますね


最速は92m/sと初期の初速から10m/s以上も速くなります。
誤差もあるでしょうし、他の組み合わせでも同じような初速が出るものもあったので、パワーをより効率よく伝えるとこれくらいの初速になるのかなと推測したりします。

バレル長が430mmと長い物から始めたんですが、この結果で見ると600㎜位の物も欲しかったなと思います。

さて、この結果を受けていろいろと考察できることがあります。
まずはホップ量と初速の関係についてみていきます。

グラフで見ると、縦に3段並んでいる組み合わせについてです。

ほとんどの領域で初速は
弱<中>強となっています。

この傾向はバレルが短いほどより数値に差が出る傾向にあるようです。

右の方にいき、加速区間が長い時と、20mmピンの組み合わせの時は
弱>中>強となります。

これらからわかることは、
ホップをかけたときの方が初速の立ち上がりは早い。
ホップをかけるとパワーロスをする。

なので、エアー十分が余っている状態
ショートバレルでよくあるホップをかけた方が初速が速くなる現象はこれです。
チャンバーにわずかに長くとどまることで、チャンバーから出た瞬間の圧力が高くなり、初期に加速が速くなります。

パワーがギリギリとか、エアを使い切ると
ホップをかける時にロスが少ない弱ホップの方がエアーが残っているので
最後まで加速して追い抜くようです。

VSRの中でもバレルの長いプロスナと短いGスぺの特徴そのままですね。
ピン無し、弱ホップ、中ホップにおける初速変動はこれでほぼ説明ができます。

ちなみに、SSG10は6.01のタイトバレルが入っているのでエア効率は最高レベルです。

SSG10はシリンダーの内径が22㎜、ストロークが85mmなので
容量は32294.9mm^3(立法ミリリットル)≒32.3㏄
インナーバレルは内径6㎜、長さが430㎜として
12151.8㎜^3≒12.2㏄

約3倍のシリンダー容量を持っていたわけですが、
この組み合わせではエア不足になることなく、バレルの最後までBB弾は加速されています。

加速が減速に転じているのは、加速シリンダー65mmを使った時ですが、
バレル長300㎜位を境に減速し始めています。

この時シリンダー容量は20mm分で7.6㏄
バレルは300㎜で8.5㏄ですので
バレルの容量の方が多くなります。

これについては加速区間の長い加速シリンダーなので
加速区間が終わり圧縮が始まるときには多少多めに空気を取り込んでしまうのかもしれませんね
横穴からの排気が間に合わないのだと推測します。

加速シリンダー55㎜も容量的にはバレル長430㎜より容量が小さくなりますが、最後まで加速しています。
そして90m/s以上の初速を記録します。


ピンあり、強ホップの条件下ではまた考え方が変わってくると考えてます。

ピンあり+強ホップの解説は複雑すぎますので、興味がある方はサロンに来てください。

それぞれをバラバラに考えて
ピン無し強ホップに関して
基本的に初速が下がります。
加速区間35mmまではろくに撃ちだせません。
(35mmでもギリギリで初速もばらける)

強ホップはBB弾を強く保持するので、
その分撃ちだすときに強く圧力をかける必要があります。

強バネを使うか、加速シリンダーでピストンの運動エネルギーを高くしてから空気を圧縮させることで強い圧力をかけることができます。
今回は後者

なので、本来は初速の立ち上がりから速くなるはずです。
実際に立ち上がりの瞬間は速く、バレル長100mm地点においては強ホップが最速を記録します。
しかし、すぐに中、弱ホップに追い抜かれます。

これはなぜか?
エアロスがある。これも一つだとは思いますが、
これだけでは説明できない点が出てきます。

思うに、理由は、後追いエアーの不足です。

チャンバーから出た後もBB弾を加速させるにはシリンダーから空気を送り続ける必要があります。
しかし一旦BB弾をチャンバーから押し出す際に圧力が高くなるので
ピストンも押し戻される力が働き、前進が遅くなってしまうと思います。
なので追加でシリンダーから出てくる空気が進んでるBB弾に追いつけないのではないでしょうか

仮に、初期加速0~50mmくらいと、追加速50~430mmで考えると、

初期加速はチャンバーを出た瞬間の圧力(ピストンの運動エネルギーや、バネの力によるもの)なので加速シリンダーによってより加速したピストンが100㎜におる初速に影響してそうです。

その後、追加速はというと
シリンダーの有効容量+ホップ量によるロスだけでは説明できない点が出てきます。
例えばピーク付近の加速が緩やかな範囲が長いとか
加速度が落ちるのが速いのに、加速は長いとか

これはエア不足ではなく、
エアの吐出量不足、つまりピストンが遅くなってしまったが故の現象だと説明がすっきりします。

実際、0.4g以上のbb弾に合わせてカスタムをすると
空撃ちの打撃音はすごいのに、実撃ちは打撃音が小さくなります。
これはピストンが減速してるにほかなりません。


では、次にピンの話をします。
エアダンパーピンはスナイパーライフルのカスタムには欠かせないパーツです。
これをうまく使わないと大幅なパワーロスになりかねません

気にしなくてもいい組み合わせもあります。
シリンダー容量>>>バレル容量の時です。

ピンの効果としては、ピンがシリンダーヘッドに入った瞬間からエアの放出がほぼ止まり、シリンダー内に空気を残すことでピストンにブレーキをかけます。
つまり、その分バレル側に送り込まれる空気が減ります。
厳密にはピンの隙間から空気は出るので通常より遅れてバレル側へと送られます。

なので、容量バランス次第では後追いエアが減るので、バレル内加速が弱くなります。

なので、ピンが長いと、後追いエアがゆっくり出るので
加速もせず、減速もせずみたいな現象が見られますね

気を付けるべきは、ピンがシリンダーヘッドに刺さったときの空気を遮るので、ピストンが前進しきる直前の空気が圧縮された状態で作動するというところです。

特に加速シリンダーと併用する場合は中ホップ、強ホップの方がシリンダー内の圧力は高くなるのでピンの長さ以上にエアロスを考慮する必要があります。

と、ここまで書きましたが
基本的な考察はこれくらいで十分だと思います。

最初は有料記事にしようと思ったんですが、やめました。
この先を文章で書くのは私には難しすぎます。
その辺は来週あたり実験室の方でライブ配信にて解説しようと思います。

チャンネル登録をしといてください。

カスタムは楽しいので、いろいろ試してやってみてください。
質問とかはサロンの方にお願いします。

https://lounge.dmm.com/detail/5423/index/


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