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Perfumeの「ポリリズム」ってどういう意味か知ってる?俺この曲聞いたとき中田ヤスタカって天才だなって思ったよ。

Perfumeブレイクのきっかけとなった『ポリリズム』という曲のタイトル。この意味を知っている人はどのくらいいるのかな。曲を聴いてタイトルを知って、思わず「おっ」と思ったのは、ぼくがドラマーだからってのがある。

この「ポリリズム」って音楽用語なんだよね。

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「ポリリズム」とは”多重リズム”のこと。詳細に説明すると長くなるけど、例えば、4つずつ刻んでいるリズムと3つずつ刻んでいるリズムでは、拍がだんだんズレてくる(というか最初からズレる)。でも、3と4だから12個目の拍でピッタリ合うわけだ。そしてまたズレる。

2と3だと6つ目、5と7だともうむちゃくちゃに感じるが、35個目の拍で合う。これがポリリズム。多角形を意味する「ポリゴン」の「ポリ」でもある。

これとPerfumeの「ポリリズム」がどう関係してて、どう凄いのか。


ヒット曲「ポリリズム」のサビで【繰り返すこのポリリズム♪あの衝動はまるで恋だね】【繰り返すこのポリリズム♪あの反動がうそみたいだね】と何度も「ポリリズム」「繰り返す」という言葉が出てくる。

さっきも説明した通り、ポリリズムとは異なる2つ以上の拍子からなるリズム(正確にはちょっと違うけど)で、ズレては合い、またズレては合いを繰り返していく。

このポリリズムを(多分、恋愛している)2人の心情の変化に例えているのだ。

経験した人ならわかるだろけど、人の気持ちっていつも同じとは限らない。特に恋愛している男女などすれ違いがあって当然。でも、ふとした瞬間にピタッとお互いの気持ちが通じ合う瞬間があって、それがまたたまらない。そしてズレている時でさえ、それは恋愛する上での大切なエッセンスであり、通じあった時の嬉しさ、多幸感を高めてくれるスパイスとなる。

気持ちの「すれ違い」と「合わさった瞬間」。この2つは、音楽のリズムアプローチでも大変よく使われる。ズレてズレてズレて、ピタッと合う。その瞬間にオーディエンスは湧くのだ。

コンポーザーの中田ヤスタカはこの2人の心情の移り変わりを「ポリリズム」に例えたのだ。実際に「ポリリズム」の間奏部分でポリリズムがふんだんに分かりやすいほど使われている(実際に聞いてみて欲しい。4つ打ちの典型的なテクノアレンジからどんどんリズムが変化し、また4つ打ちにピタっと戻る)。

最初に歌を聞いて「話題となっている」と知って、この曲のタイトルを調べた時、ぼくは驚愕した。

しかし、一般の人は「ポリリズム」と聞いてもなんの事か分からない人が殆んどだろう。リスナーが持つ疑問の解決策として、歌詞の最後に「あぁ、プラスチックみたいな恋だ」と締める。これは見事すぎる。

「ポリリズム」の本当の意味を知らない人は「ポリ-リズム」と考えるからだ。

「ポリ」、つまりプラスチックという言葉で、Perfumeが持つテクノポップなイメージを演出しつつ「ポリリズム」という何度も出てくるキーワードに対する疑問を一応納得させている。

直ぐさまコンポーザー、プロデューサーを調べたら、中田ヤスタカの名が挙がってきて、彼のセンスに1人脱帽していた。


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