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共産党は自民党と心中する気なのか

政治資金を不適切に取り扱った疑いが強まった竹山修身氏が市長職を辞したことにともなう堺市長選挙が告示を迎えた。

竹山修身氏は元はといえば、橋下シンパだった。2009年の同市長選で彼は、当時大阪府知事だった橋下徹氏の支援を受け、与野党相乗り(民主、自民、公明、社民)の対立候補を破って当選している。

ところが、2010年橋下氏が「大阪維新の会」を立ち上げ、「大阪都」構想を発表すると竹山氏は反発。都構想で袂を分かった2人は2013年の市長選で激突することとなった。
反都構想を掲げる竹山氏は自ら出馬。前回は敵だった自民党や民主党などが反維新の1点でまとまり、竹山氏を支援した。

対する橋下氏は自身の政治団体から対立候補を擁立し、竹山氏の2選目阻止をねらった。

結果として竹山氏が圧勝し、維新フィーバーは一時的に萎んだ。そして、竹山氏は続く2017年の市長選でも維新候補を破り、3選を果たした。しかし、そんな竹山氏に持ち上がったのが数億円にのぼる政治資金の記載漏れ問題だ。

調査をするたびに、記載漏れの金額が膨れ上がっていく。これに、ただ「忘れていた」という申し訳は通用しない。

しかし、堺市議会で多数を占める自民党などいわゆる反維新勢力は、維新が再三求める辞任要求にまったく応じなかった。

敵対する政治勢力に不祥事を追及されたからといって、真相究明に後ろ向きになる政治が許されていいはずがない。

それでも、自身の疑惑に蓋をしたまま竹山氏は自ら市長職を辞することを決意した。

そんななか行われる堺市長選だが、竹山氏が3選を果たした前回と構図は同じだ。ご存知の通り、1度は否決された都構想の実現に向けてひた走る維新は破竹の勢いで橋下時代の隆盛を取り戻していることもあり、維新陣営の候補が当選する公算が大きい。

混乱をきたしているのは、反維新陣営だ。これまで、都構想の是非を問う住民投票の再実施に反対してきた公明党が、維新陣営から国政選挙での協力関係の破棄をせまられ、「賛成」に転じてしまった。

地方では対立し、国政では協力し合い直接対決を避ける。この状態をみて、維新が公明党と都構想の是非を問う住民投票実施への協力を取り付けるため、揺さぶりをかけることは分かっていたはずだ。それに、公明党が自身の党利党略のために、政治理念を曲げてきたのは1度や2度のことでない。もはや日常茶飯事といえる。

そんな政界きっての風見鶏政党にぶら下がり、反維新、反都構想を掲げている自民党や共産党などは大きく反省しなければならない。

問題はそれだけではない。反維新の急先鋒だった、大阪自民党も維新の勢いに抗えず、都構想是認に舵を切りつつある。

それでも、国政では現自公政権を「戦後最悪の政権」とこき下ろす共産党は、今度の市長選でも出馬する元自民党の候補を支援する方針だ。

独自の候補を擁立しろとまでは言わないが、政治資金を不適切に扱った現職を批判せず、もはや砂上の楼閣となりつつある反維新の旗印にしがみ続けるのは善策とはいえない。

共産党は自身が支援し、当選させた市長が不祥事で辞任に追い込まれたのなら、その事態を真摯に受け止め、今回の市長選では反維新候補の支援を見送るべきだったのではないだろうか。

先に推測を述べさせてもらうと、おそらく今回の市長選で反維新陣営が勝利を勝ち取ることはほぼないと言っていいだろう。

そして、今回の市長選でも維新の勝利を許したならば、今後の共闘そのものの立て直しをせまられるのは必至だ。

党利党略のためなら政治理念をかなぐり捨てる自民党や公明党と手を組むことにどれだけのリスクがともなうのか、特に国政では野党として政権と対峙する立憲民主党や共産党などにはよく考えてもらいたい。

ちなみに、先月の統一地方選挙で大躍進を遂げた「NHKから国民を守る党」の代表を務める立花孝志氏が現職の葛飾区議を辞して、堺市長選に出馬するとのこと。こちらの動きにも注目していきたい。

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