野党“共倒”時代 #2:野党共闘というしがらみが増税議論を停滞させる

野党第一党の立憲民主党(代表:枝野幸男)は、6月24日参院選に向けた公約を発表。最低賃金の引き上げ、同性パートナーシップ制度の拡大、法人税や金融所得税に累進制を導入するなど格差是正の立場に立った政策を掲げた。

立憲民主党の参院選特設サイト

◇後退する増税議論 背景に増税推進の連合

しかし、肝心の消費増税に対しては少し腰が引けている。公約では消費税の10%引き上げを「凍結する」という表現にとどめている。

要するに、10%への引き上げには反対するものの、税率の引き下げや消費税の段階的廃止には後ろ向きであるということだ。

今年10月に実施される増税は、安倍政権内では既定路線となっている向きが強まっているが、それでも増税凍結というカードは切れる状態にある。

増税凍結のカードを切られれば、政権との差別化はできなくなり安定政権を求める国民の支持は現政権に集まるだろう。

裏を返せば、減税または消費税の段階的な廃止を掲げれば、無党派層の投票動向に大きな変化をもたらすことができるかもしれない。

増税先延ばしはともかく、消費税の20%への引き上げ、法人税の減税を訴える経団連と持ちつ持たれつの関係にある自民党が減税ましてや消費税の廃止など口に出すことはできない。

だが、立憲民主党も同様に、消費増税を訴える日本労働組合総連合会(通称:連合)を支持母体としており、安易に減税論に走ることはできないのだ。

もちろん、自民党とは違い立憲民主党内には減税や消費税廃止論を掲げる候補はいるが、党幹部を中心とする主流派はもっぱら「増税凍結」である。

党内以外でのしがらみがなく、長年消費税廃止を党是としてきた共産党も「野党共闘」というしがらみのなかに取り込まれ、明らかにトーンダウンしている。

6月30日におこなわれたネット党首討論会で連合との関係性について問われた共産・志位和夫委員長は、「連合のみなさんとの協力関係をぜひ強めていきたいと願っております。」と意気込んだ。

一方の連合は、結成30年を迎えた今年4月、「共産党を排除する」方針を宣言。共産党の野党共闘への肩入れが“片思い”であることを示す事実だ。

◇「消費税なんていらないんですよ」既存野党と一線画すれいわ

そんななか、与党とは対峙しながらも「野党共闘」のしがらみからあえて外れて減税や消費税廃止を訴える勢力が存在する。

山本太郎参院議員を代表とするれいわ新選組だ。

彼らは、他の野党が野党共闘という空虚な足し算戦法に集いつつある姿勢を批判。かかげる政策は、最低賃金の大幅な引き上げなど、おおむね立憲民主党と近しいものだが、一際目を引くのが、「新規国債の発行によるデフレからの脱却」である。

演説する山本太郎=2019年6月19日新宿駅西口にて

物価と賃金が下がり、世の中にお金が回らなくなるデフレ不況を脱するためには賃金を上げ、内需(国内消費)を拡大させなければならない。

そこで、れいわ新撰組は最低賃金を引き上げると同時に赤字国債を発行して金回りをよくして、物価上昇率2%(インフレターゲット)にまで持って行くことでデフレを脱却するという“応急処置“を提案する。

◇組織力持たぬ新興野党 はらむ危うさ

れいわは野党共闘のしがらみによって薄れつつある消費税廃止を真正面から訴えかけていることもあり、着実に支持を伸ばしている。

ただ、野党共闘を完全否定して孤軍奮闘するのは得策とは思えない。

問題なのは、野党共闘のために犠牲にされている政策があるということで、消費税廃止の1点で結集できる野党共闘ならば、一強多弱の政況を打開することができるかもしれない。

それに、いくら支持が集まったとしても政治の世界では常に多勢に無勢だ。

今後、全国に支持基盤を持つ立憲民主党や共産党の組織力や資金力も必要となってくるだろう。

その時に、政党としてのスタンスを曲げず既存野党に切り込めるか。

対立を煽るやり方ではいつまでも新旧対決の構図は変わらない。

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