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水道事業、民営化へ いったい何が問題なのか

安倍晋三先生はお水が大好きです。
ただし、蛇口をひねれば出てくる真水ではなく怪しい宗教法人が販売していた「神の水」です。

実は、自分の祖父も晩年ガンに効くという怪しい水を友人から譲渡され、亡くなる前日に意識が朦朧とするなかで「あの水を(病院の)冷蔵庫からすべて取り出しておいて」と言ってようやくその水がただの水だったことに気付いたほど、水は人を惑わすのです。(祖父の生誕地である熊本県の水質は全国トップクラスなのでその水を飲んでいた方がよかったのではないかと思います)

さて本題に入りますが、これまで全国の各自治体が担っていた水道事業を民営化できる法案が先日、政府与党の賛成多数で可決成立しました。

あえて政府与党の賛成多数と書いたのは、野党議員が反対したことを示すためです。

野党議員など、みんな安倍さんがキライだから安倍さんのやろうとすることには全て反対するのは当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、人間ですから一部の野党議員は安倍憎しでなんでも反対する人もいることでしょう。

しかし、実際には毎年政府与党が国会に提出する法案の約7割は与野党全会一致で成立しています。

これは、与野党で意見の相違がない法案の成立を報じても大したニュースバリューにならないので、必然的に与党vs野党の構図となる法案ばかりがクローズアップされるからです。

では、水道事業の民営化のどこが問題なのか。

水道事業民営化の問題点
・営利優先に走るあまり、安全面が軽視されるリスクがある
・海外の企業に買収されるリスク。
・なんらかの理由で水道事業を担う企業が倒産すれば、水道は止まってしまう。
・水道料金の値上がり。(民営化した国のほとんどが値上  がりした。)
・1度民営化すると、再公営化するのに莫大な違約金と年月を要する。

これらの問題が発生するのはなぜかという説明をするのは面倒くさいので端折ることをご了承ください。

ただ、水道事業を担う企業の倒産リスクについてはこんな反論をよく聞きます。
「水道事業を担う企業には国が多額の補助金を出して潰れないようにすればいい」と。

なるほど、それだったら最初から民営化などせずに、安定した水道技術を営利無視で提供できる自治体に任せておけばいい話です。
わざわざ儲けてやろうとして失敗した企業をなぜ私たちの税金で助けてやらなきゃいけないんでしょうか。

それから、自民党が意地でも民営化したいのは、水道事業を担う企業に多額の補助金を支出することでその企業からの献金や選挙における組織票を獲得できるからです。

公的サービスであればそんな需要は見込めません。
自民党にとっては選挙に勝ってたんまり金をもらえればそれでいいのです。

この国の選挙に行った有権者(約54%)のうち4割が選んだ政党なんだから、こんなふざけ散らかしたことを考えるはずがないと思われるかもわかりませんが、多くの自民党支持者は驚くほどなにも考えずに投票しているのでそんなこと知る由もありません。

なんなら、いっぺんそこら辺の自民党支持者に支持する理由を聞いてみてはどうでしょう。

おそらくほとんどの人が
「野党は反対ばかりで信用できない」、「安倍さん以外任せられる人がいないから消去法で」と答えると思います。

先に示した通り、野党は反対ばかりではないですし、安倍さんの代わりなんていくらでもいます。

いかにこの国の有権者がなにも考えていないかがわかると思います。それに、自民党には選挙になったらお得意先の企業や団体、公明党の創価学会を総動員して票を入れさせる組織票なる自動集票システムがあるので、意思を持って投票する有権者の信頼を多少失ったところで大したことはありません。

自民党が55年体制以降、そのほとんどを政権の座に与ってきた理由はまさにこの自動集票システムにあって、まともなことをやってきたからではありません。 

最後に、民営化すればこのようなことが起きてしまうのだという実例を載せておきます。
一昨日の記事でかなりタイムリーです。

「新たな料金負担しなければ水停止」 雫石、業者通知で混乱(岩手日報2018年12月9日)

雫石町長山岩手山の住宅やペンションなど35軒に水道を供給するイーテックジャパン(仙台市青葉区)が、住民に新たな料金負担をしなければ水を供給しないと通知し、地域が混乱している。同社は経営悪化を理由に、井戸水をくみ上げるポンプの電気料金負担を住民に求める。生活に不可欠な水の危機に住民は困惑。国会では自治体の民間委託を可能にする改正水道法が成立したが、民間業者の対応が波紋を広げる。

 同社は8日、同町長山岩手山の現地管理事務所で説明会を開催。非公開で住民約20人が参加した。

 参加した住民によると、同社の担当者は▽経営悪化で東北電力に支払う水源ポンプの電気料金9、10月分を滞納中で住民に負担を求める▽支払わなければ17日に水道供給を停止▽今後も水道料に電気料を上乗せする-などを説明した。

 同社の担当は岩手日報社の取材に対し「応じられない」としている。

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