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器用貧乏の備忘録

書いては消して、を繰り返して逃げてた自分の備忘録
地元から上京してもうすぐ4年目
なんとなく今自分の言葉と向き合うべきだと思ったので
綴りました。

好きなように、読んでもらえると嬉しいです。

私が小学校5年生の頃両親の仲の悪さがピークに達していた。
真夜中にお皿が割れる音
部屋から出てこない母
話を聞いてくれない父
泣いてる妹
何も知らない弟

何で私がいちばん上に生まれてしまったんだろうと思うことがすごく多かった
だけど私がこの家を守らなきゃいけないとずっと思ってた。

ダンスの習い事に行く妹
サッカーの練習に行く弟

好きなことをしてる2人がいつも羨ましかった。
妹の発表会を見に行く時
弟の大会を見に行く時
劣等感に毎度襲われた。

母の口癖は「お金無いから」
気付けばどこに行ってもお金のことばっかり気にして
小学生の頃は何となく楽しかった記憶になってるけど
実際のところは思い出したくもない。

サッカーだって、ダンスだってやってみたかった。
だけど母の嘘で作られた笑顔を見る方がもっと嫌だったから
習い事やりたいなんて言えず
気づいた時には妹と弟を応援するかっこいいお姉ちゃんになってた。

高校2年生の時に父が家を出た
家から逃げたという言い方が正しいのかもしれない。
真夜中だった
もちろん警察もたくさん来てた。

ああ、私の人生ここで終わりか

そう思ってしまった。

長女として何もできなかった
この家を守ることができなかった
いちばん大切にしたいと思ってたものが壊れた

元々友達が少ないタイプだったので
学校をよくサボったりしてたのが
父が家を出たことをきっかけに拍車をかけた
学校に行くと全く息ができなかったから。
それだったら自分の部屋で少しの酸素を求めてたかった。

今でも思い出す
家族がまだ家族だった頃

5人で行った遊園地
金曜日のカレーライス
母が父からもらった誕生日プレゼント
休日のリビングに入る陽の光
父の下手くそな笑い方も
母の不器用さも

楽しかった

大好きだった

大切だった

一番大切にしたかったものが壊れて

一番大切にしたかったものを守れなくて

一番大切にしたかったものを壊してしまって

誰も信じることができなくなった
自分のことを自分でギリギリのラインで生かすことで精一杯だった

東京で挑戦したいことがあったから
一人で物件を借りることができる20歳になるまでお金を貯めた。
朝6時からコンビニで働き
そのままの足でラーメン屋で夕方まで働き
次の日は朝から夜までお弁当屋で働き
適当に学校に行って適当に過ごして
放課後ラーメン屋で働く
そんな高校三年生でした。


母のことを信じられなかったので
コミュニケーションを怠るようになると
家に帰っても自分のご飯は用意されておらず
洗濯物も自分の分だけしてもらえなくなった。

リビングから聞こえてくるテレビの音とわざとらしい笑い声
何度頭の中で殺したことだろう。

邦ロックを聴くようになり始めたのもちょうどこの頃
目には眼を
音には嗚を
私が大切にしてる「備忘録」という言葉も
大好きなバンドの曲のタイトルに使われている。
なんの曲かは秘密、分かる人には分かっちゃうかな。

20歳になって
滋賀の実家から逃げるように自分の力で東京に引っ越しした。

誰も頼れなかったから
頼ってもいいかなって思う人がいなかったから
頼るのが怖かったから
一人でやるしかなかった。



22歳の今
以前よりは母と話せるようになったし
父ともそれなりの距離感を保ててる。

数ヶ月前母と会った時に
「この家はあんたがいないとダメなんよ」
「あんたは何でも一人でできてすごいな」

ああ、うん。
そうじゃない。

気づいたらこの家の長女になっていて
気づいたら一人でできるフリしていて

ただそれだけで。

母に本当の気持ちはまだ話せそうにないみたい。

先日尊敬してる人が
「器用貧乏」
という言葉を教えてくれた。

寂しさ隠して必死に生きてきて
なんかそれなりにできてしまうことが多くて
独りで大丈夫なフリして

このどうしようもない自分に名前が欲しかった。

きよう-びんぼう【器用貧乏】

なまじ器用であるために、あちこちに手を出し、どれも中途半端となって大成しないこと。また、器用なために他人から便利がられてこき使われ、自分ではいっこうに大成しないこと。

三省堂 新明解四字熟語辞典

辞書で綴られてる事と
その方が話していた内容は少し違うけど

「僕も器用貧乏で、気付けば独りになってる事が多い」
「だからこそ今そばにいる人たちを大切にしたい」

確かそんな内容だったはず
違ったらごめんなさい。

尊敬している大好きな人の口から語られた器用貧乏のお話
自分に新しい名前をつけてもらったみたいですごく救われた。

来年の4月で東京生活も4年目に入る
長女であるという呪縛から自分を許すことはまだできないし
独りが嫌なくせに自ら独りになろうとしてしまう時もある。

だけど、
東京に出てきて世界が変わった
自分の部屋で少しの酸素を求めていた頃とは違う
色々な人の連絡先が携帯に詰まってる
色々な人の携帯に私の連絡先が入っている
単純かもしれないけどこの事がすごく嬉しい。

こんなにも嬉しい現実があるんだから
もっと人と関わることを楽しみたい。
もっと人の胸に飛び込みたい。
もっと人を好きになりたい。
もっと人に素直になりたい。

もっと自分に正直になりたい。

いつか大切な人ができて結婚するときは

1日限定でいいから〝家族〟集まれるといいな。

あの時長女として何もできなかった自分を許す方法は
今のところこの方法しか思いつかない。

いつか、叶いますように。
うん、いつかね。








部屋で独り毎晩泣いてた私へ

東京いいところだよ。
夜星はあまり見えないけど
人の暖かさに触れられるアツい場所だよ。
あんたみたいに寂しさ殺して戦ってる人がたくさんいる場所だよ。
間違ってないから飛び込みな。

独りで枕を濡らしてるあなたの気持ちを
少しでも軽くすることができたら嬉しいです。

もっと言えば
私の言葉であなたを救うことができますように。


器用貧乏な私のお話でした。


またね










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