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インパルスの舞わし方

1998年、
サッカーW杯のフランス大会があった。
その前あたりに、私はイタリア旅行を計画していて、地図を眺めながら思った。
~事前合宿はスイスらしい。
…行けるんじゃね?~
(本大会を観るまでの熱量は無い。)

20年以上前の事なので(…遠い目……)
詳細は覚えていないが、“イタリアと近いから、
ついでに寄ってみるか”とは言え
ニヨンまで列車で5時間以上かけて行った気がする。
(そしてスイスは物価が高くて、“滞在する所”ではなかった。)
一応写真を探してみたが、、メモ帳も見つけたが、、、 記憶は繋がらず。
(何より恐ろしいのは、この、
整理されていない写真の大量放置。
… 見なかった事にしよう。)

当時、日本ではサッカーが物凄く盛り上がっていた。
そんな代表選手の面々は(ニヨン時点)
キングカズ・ゴン中山・名波・井原・城・
キーパー川口・小野伸二・岡ちゃん(監督)……
そして、
この時日本一注目されていた男、
“性格は良くなさそうだけど天才”中田英寿。
(すみませんん〜)
… 実を言うと 
私はこの人を見てみたかったのだ。

5/28(木)、練習場へ到着すると
意外にも一般人は 私1人だ。
、、アラ?? …キャピキャピ女子が10人くらいは居るものだと思っていたが、、、
目立つ私。
と、日経(だったか?)の記者と名乗る人が近づいてきた。
「“サポーター”第1号ですね☆」
、、え。いや、、
そこまで興味ないんです… ゴメンナサイ
いや、しかし! 
この人の “ネタを探そうとする姿勢” に応えてあげたい気もする。。
「誰かのファンで、 わざわざ?」
  ……
-----  早くも合宿初日に、サポーター第1号として日本から駆けつけた奈良県の並鬼左世子さん(△才)はこう話す。
「中田さんの大ファンで、仕事を辞めて来ちゃいました。この後も、彼が勝ち続けるかぎり滞在する予定です。」-----

帰国後、
当該日の紙面に違う人のインタビュー記事が載っている事を確認する私の身体には、
手がちゃんと付いていた。
『嘘はいけない。
しかし、他者を喜ばせる為ならば、多少話を盛っても 罪にはならないのではないか。』
私は
その衝動《インパルス》に
屈しなかったのだ。
真実の口よ、 
ああ  幾度だってこの手を突っ込んでやる。
私の人生に 
嘘偽りは無い。

   

   ぎゃあ ッ  。


















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