2018年を写真で振り返る #2018bestshot
はらちゃん(@Idenxtity0911)からトスをもらったので、年末は間に合わなかったけど年始にあらためて写真で2018年を振り返ってみる。はらちゃんの振り返りはこちら▼
この一年は公私ともに写真をたくさん撮ったので、どれがBestshotかいまいち分からないし選べないけど、なんとなく思い出に残っているものを気まぐれにチョイスしました。
1月
パッチワークで有名な美瑛の丘は、夏に観光客で賑わう。
その喧噪が嘘だったかのように、冬はずっと遠くまで人が見当たらない。
その様子は、まるで雪の「砂漠」みたいだ。
星の王子様は、砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつかくしているからだと言った。このごくシンプルな雪景色のなかにも、いくつかの気配が隠れているのかもしれないと思うと、景色がまた違って見える。
2月
釧路湿原を展望台から眺めていると、遠くにエゾシカの親子が見えた。
この写真の下の方にも、ちいさく写り込んでいる。
たぶんこの景色は、はるかずっと昔から続いてきたものだ。
変わらない土地へ行くことは、この変化の大きい世の中において、過去へと旅することにもなるのかもしれない。星野道夫さんの「悠久の時を旅する」という言葉を思い出して、そんなことを考えた。
3月
ドローンを使った俯瞰写真も入れてみよう。
これは当別の森に樹液を採りにいって、みんなで散策したときの写真だ。
よく見ると、右の方に6匹のアリンコみたいな点々がある。これが僕たちだ。
雪はだいぶ溶けてきていて、歩ける場所も限られてきた。
RPGさながら、一列になって森をクエストするのもまた楽しい。
4月
絹張家のアイドル、おとは。
写真利用の許可はこんど会ったときに取る。笑
変顔からキメ顔まで、こんなに写真映えする子はいるんだろうかってくらい、いろんな表情をしてくれる。おとはの写真集があったらほしい。
気づけば雪がとけて、ずわっと緑が映えてきた。
カラフルな風ぐるまが、あたらしい春の風を感じさせてくれる。
5月
自分のこれからに必要な気がして、
フルサイズのミラーレスカメラを手に入れた。
はじめて買ったレンズは、カールツァイスのオールドレンズ。
流行りのオールドレンズ遊び。行き過ぎたテクノロジーと古き良きものを組み合わせることで、ひとの感性に合うバランスを取れるようになるのかもしれない。
こうしたハイブリッドの考えは、ますます重要になると確信している。
6月
旭川の里山部という森で、「カシ」というアイヌ式の小屋をつくった。
フリーの木こりふたりと、Seisyu Laboのふたりで。
何も分からないながら、実践を通してアイヌの精神に近づこうという遊び。
続縄文時代で引き継がれてきたカシと、最新式のトリリウムハンモックの組み合わせは、これもまたハイブリッドのひとつだ。
この小屋で焚いた火は、アペフチ(火の神)となり他にはない揺らぎ方をする。
火を囲みながら辺りは暗くなっていき、僕らはたしかに同じ時間の流れを感じた。
7月
僕が住んでいるところは、標高が高いこともあって星が綺麗だ。
周りにある光は、道路のわずかな街灯だけ。
ジャングルジムの枠で天の川を切り取ってみたり。
この夏、風の流れる音が聞こえる静寂に囲まれて、
空気の澄んだ夜がくるたびに幾度も星を見上げた。
8月
南富良野の夏は、涼しくて騒がしい。
昨年から、ラフティングガイドとその撮影の仕事を始めた。
とはいえ、まだまだ半人前だし試行錯誤の途中。こうやって岩場の蔭から舟がくるのを待っている間に、川の鳥や魚や人なんかが「あっ、どうも」と言ってすれ違う。
北海道の夏はあっという間に終わる。
その短い季節を、ここにいる誰もが謳歌しようとしている。
9月
秋になって、あちこちで葉が落ちはじめた。
生命が騒がしく溢れる季節が終わり、木々は少し長い眠りにつく。
誰もが寂しさを感じる中、おじさんは落ち葉を集めてハートをつくった。
それは訪れる人々の体温を少しだけ上げて、やがて風に揺られて土に還る。
来年もまた巡り巡って、おじさんにハートをつくってほしいな。
10月
秋も深まってくると、いよいよ猟期に入る。
いつも仲良くしてくれるハイじいは、シーズンの始めに獲った鹿をみんなに振る舞ってくれた。
きちんと血抜きされたシカ肉は、マグロの赤身のようで美味しい。
アボカドと醤油にあえて漬け丼にしたり、お寿司にしたり。もちろん、ステーキもレアで食べれば最高だ。(食べ過ぎに注意)
夕暮れどき、仕事が終わった人たちが遊びにきては帰っていく。
たまには時計の時間ではなく、自然の時間で過ごすのもいいなと感じた。
11月
初雪が降ると、世界はいっぺんにモノトーンへと変わる。
パウダースノーに大はしゃぎするひと、
除雪の苦労を思って膝から崩れ落ちるひと、
雪に対する気持ちは、人それぞれだ。
写真に写っているのは、雪見だいふくに見えるけど、
名古屋工業大学の研究チームがつくった「インスタントハウス」
僕は帰るたびにいつもこの謎の建築物を見ているけれど、
想定されていないはずのこの雪国に、妙にマッチしているのが面白い。
12月
美瑛まで撮影しにいった帰りだった。
クリスマスツリーの木だの白樺並木だの青い池など、
ひとしきりアテンドして撮り歩いた後、帰りの運転中にふと目にとまったので、わざわざ引き返して電話ボックスを撮影した。
携帯電話が普及し、いまはあんまり見なくなった電話ボックス。
いつか電話ボックス自体が、観光名所になったりするんだろうか。
まるでオンステージのように佇む姿が、孤独と哀愁というスポットライトを浴びて、美瑛のきれいな景色よりもずっと印象に残っている。
エピローグ
SNSではたくさんの人が一年の振り返りを書いていたけれど、僕にとってこの一年は、本当にいろんなことがありすぎて振り返ることも億劫なくらいだ。
そして2019年は、きっとそれ以上に騒がしい未来が待っていると思う。時間は、未来から過去に流れている。過去を振り返ること以上に、未来からやってくるものに注意を払ってシャッターチャンスを待ってみたいと思う。
あまりにもカンタンにたくさんの写真が撮れる時代だから、ひとつひとつにキチンと向き合う機会って意外とないものだ。
こうして振り返る機会をくれたはらちゃん、ありがとう。
思い出のアルバムは、まだまだ続きます。