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クラウド・コレクター読了

いとうみほさんから勧められたという、うたがわきしみさんのつぶやきを読んで『ほうほう。面白そうじゃのう』と思い読みはじめ、あまりの密度にゆっくりと読み進めておりました。
布団でゴロゴロとしながら読める本じゃなかったのですw

この話は著者であるクラフト・エヴィング商會三代目が、初代である祖父の遺した1枚の広告を見つける所から始まります。

雲、賣ります

なんとも奇妙で素敵な響きの広告……私も間違いなく、なんの事だろうと探りはじめると思います。

そして探り始めた三代目は祖父の遺した謎の壜<ビン>と旅行記を見つけるのです。

そこから三代目と読み手である私との旅が始まります。

 

初めは『私のおじいちゃんこんなに素敵なの』と、常に笑顔の三代目ですが、あまりにも密に編み込まれた謎達に、触れるたび読み解くたび言葉少なになっていきます。

それでも必死に初代の背中を追っていた三代目は、第三の手帳を読み解く頃にはついにその背中に追い付くのです。

いえ、追っていたはずの背中に、人物に、ピタリと重なるのです。

共に歩んでいたはずの私はいつしか、三代目と同じだった目線、背中を追う側になっていました。

何も取り零さぬよう、見逃さないよう、キョロキョロとしていた私が、ふと前を見ると、いつの間にかこちらを向いていた三代目が、ぱちり、とウインクしてみせたのです。

私は目をぱちくりとさせた後、そっと苦笑して、知ったふうに「だろうね」と呟いて、栞を外しました。

 

 

読んだ感想にしては本の内容をほぼほぼ語っていないのは、私が説明下手なせいでウッカリ謎の答えを言わないようにするためですw

載れられている写真もとても綺麗で、考えられた色使いに、ページをめくれば本当に旅をしているか、映像を見ているようでした。

もし読んだ方がいたら、三代目にウインクされた時にあなたがなんて言ったのか、語り合えたらなと思います。

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