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現状日本でプロゲーマーやチーム運営は成り立っているのか?

プロゲーマーやチーム運営の仕事が他国では既に職業として成り立っているが、『日本で見た場合成り立つのか、実情はどうなんだ』という質問をよくされるので今回はその観点のお話をしよう。

それで食べている人間がいる以上は職業として成り立つというのが僕の持論だ。そういう意味では日本でもesports業界は職として成り立つだろう。
しかし専門職というものは誰でもなれるわけではないし、日本はe-Sports後進国で土壌が出来ていないのも確かだ。

終身雇用が前時代のものとなってしまった現代、AI技術の目覚ましい発展もあり安定した職などもはや皆無だと思っているが、一般的な職と比べるとやはりこの業界でちゃんと食べていける人間はまだまだ少ない。

【プロゲーマー】
業界にも様々な業種があるが、この業界に憧れてる若者の大半がなりたいのはプロゲーマーだろう。
世界では数千万稼いでいるプレイヤーもいる程でゲーム好きからしたら堪らない世界だ。
まだこれ一本で食べれている人は少ないものの、日本でも次々とスポンサードを受けながら活動する選手が増えてきている。

しかし、今まで好き勝手遊んでいたゲームとは違い、プロゲーマーは仕事であり、esportsは興行だ。
ファンやスポンサーが付き、それをもってして活動が成り立つ職業となる。
その点を忘れてはならないし、他にも日本では様々な問題がある。

まず賞金の問題。
日本では賞金付き大会の頻度が低く金額も高くない為、ストリーマー等の別口で稼いでいたり、給料制のチームに所属していない限りは、海外大会にそこそこの頻度で出場し賞金を稼ぐ必要がある。

次に露出面。
ファンやスポンサーが必須と書いたが、それを得る機会が現状では少ない。
日本ではまだメジャーではない為にesportsそのものに注目が集まり、極一部の専門的な取材以外で個人個人にスポットが当たることがあまり無いように思える。
個人でも積極的に配信を行ったり企業にアピールしていく必要があるだろう。
またチームのマネジメントが上手くても世間からは戦績や実績で評価されるので、結局は他業界のプロと同じく成功を自分で勝ち取らなければ食べていけない世界だ。

選手生命が短いと言われる中「現役を引退した後のセカンドキャリアをどうする?」といった問題も日本ではあるので、スポンサードされ諸々の費用を出してもらえる程度の考えでプロになるのは危ういだろう。
今やり込んでいるタイトルが種目から外れてしまった場合の活動も考えておかなければならない。
選手としてではなくコーチやストリーマーとしての道もあるが、自分自身で先を見据えたビジョンを描けていないと成功は難しいだろう。

【チーム経営】
チーム運営は選手の支援だけなのか、イベントオーガナイザーも務めているのかといった違いによっても在り方が変わってくるが、オーナーが巨額の資本を元手に活動していない限り、基本的には何処もスポンサーからの支援ありきだろう。
だがこれも厳しい実情がある。

というのも、誰もが一番に思いつくスポンサーからの出資なのだが、多くの企業は業務提携が難しいというのを理由に物品提供のみに留まることが多いからだ。
出資があった場合でも少額のケースが大半で、それだけでは選手の活動を支えることが出来ない。

チームが国内で負けなしといったのケースなら別だが、現実的に考えるならばグッズ販売をする、ファンイベントなどで集客するといった別ルートでのマネタライズを用意しておく必要がある。

維持費のかかる箱を持たず、専業プロを囲わなければある程度はやっていけだろうが、1年程度での活動停止や給料未払いなどを起こさない為にもチームの方向性とマネタライズはしっかり考えて動くべきだ。

【胸を張って成り立っていると言える世界へ】
この記事は決してネガティブな記事ではない事は理解してもらいたい。
ここ数年メディアが大々的に取り上げているおかげで華やかな世界に見えるかもしれないが、上記で記した通り日本はまだ後進国であり発展途上といった実情がある。
そこを見ぬふりして「日本でも成り立つので興味あるなら参入しておいでよ」とは僕は言えない。

しかし関係者は先進国のような盛り上がりになることを望んで日々頑張っているし、環境も徐々に良くなってきている。
ただのゲーム好きから派生してesportsに興味を持ち、イベントを手伝ってくれる人達も沢山いる。
職業としてこの業界でやっていきたいと思っている人にはしっかりと現実を見据えた上で入ってきて欲しいという話だ。

ちなみに最近のブームに乗っかって商売しようとしてる人達は話していれば見通しの甘さが露骨なので、最低限の基礎知識くらいはつけてから出直してくることをおすすめする。

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