傍聴記録4 就活中の東京6大学4年生の大麻裁判

※プライバシー保護の観点から氏名や住所などはすべて変更しております。

千葉地裁
2017年4月17日(月) xxx号法廷 11:00-11:30
日暮貴志
平成29年(わ)第xxx号 大麻取締法違反 新件
裁判官:上野正俊 書記官:小泉良子 検察官:蓮見かおる 
弁護人:久保田力丸

裁判官「それでは開廷します。では被告人は証言台の前に来て、こちらを向いて立ってください。では、まず名前などの確認をします。お名前を言ってください。」

被告人
「日暮貴志です。」
裁判官「生年月日はいつですか?」
被告人「平成7年8月19日です。」
裁判官「住所はどこですか?」
被告人「千葉県千葉市美浜区高瀬38-10です。」
裁判官「本籍は同じで良いですか?」
被告人「はい。」
裁判官「職業…、まあ職業は大学生ということで良いですかね?」
被告人「はい。」

裁判官「はい。それでは、あなたに対しては、今年の3月8日に、大麻取締法違反の件で起訴がありましたので、今日はその件について審理をします。」
被告人「はい。」
裁判官「まずは検察官が、あなたに、お送りしてある起訴状に書いてある公訴事実というのを読み上げるので、そこでよく聞いていてください。では検察官お願いします。」

検察官「はい。公訴事実。被告人は、みだりに平成28年12月21日、千葉県千葉市中央区古町2丁目16番4号、駐車場に駐車中の自動車内において、大麻である乾燥植物片約0.409グラムを所持したものである。罪名および罰条、大麻取締法違反、同法24条の2第1項。以上です。」

裁判官「はい。では、これから、この件について審理をします。審理を始めるにあたって、あなたは被告人という、訴えられている立場なので、被告人の権利について説明しておきます。被告人には黙秘権といって、まあ要は、言いたくないことは、言わなくて良い、という権利があります。審理の中で、色々質問をされることがありますけれども、その質問全てに対して、黙って、答えないでいるということも出来るし、一部の質問には答えて、一部の質問には答えないということも出来ます。もちろん全部の質問に答えることも出来ます。質問に答えないということをもって、裁判で不利益に取り扱われるということはありません。ただし、あなたが喋った内容については、あなたの有利にも不利にも、裁判の証拠として使われる場合があるので、話す時は、そのことをわかったうえで話すようにしてください。」

被告人
「はい。」

裁判官
「ではさっそく最初の質問をしますけれども、検察官が読み上げた、公訴事実、12月21日に駐車場に駐車中の自動車の中で、大麻を持っていたという事実ですけれども、その事実について、その通り間違いないのか、どこか違うところがあるのか、どうですか?」

被告人「間違いありません。」
裁判官「その通り間違いないと。では、弁護人のご意見は、いかがですか?」
弁護人「はい。被告人と同様です。公訴事実を認めます。」
裁判官「はい。では、これから証拠を調べる手続きをするので、元に座っていたところに戻って、座っていてください。では、検察官、まず冒頭陳述をお願いします。」

検察官
「はい。それでは検察官が証拠によって証明しようとする事実を述べます。まず被告人の身上経歴等です。被告人は大学生で、現在在学中であります。被告人に婚姻歴はなく、住居地にて家族と同居しております。被告人には、占有物離脱横領の前歴1回がこざいます。次に犯行に至る経緯及び犯行状況等です。犯行状況につきましては、公訴事実に記載のとおりです。被告人は自ら入手した本件大麻を自宅で使用し、その後、友人2名を誘って、中央区内の駐車場に駐車した自動車内で大麻を使用していたところ、警察官の職務質問を受け、本件が発覚しました。本件大麻は、被告人が入手した大麻のうち、被告人及び、被告人の友人らが使用した残部であります。その他情状等についても立証いたします。以上の事実を証明する為、証拠等関係カード記載の取り調べの請求いたします。以上です。」

裁判官「それでは、検察官が請求の書証とブツについて、弁護人ご意見いかがですか?」
弁護人「書証は甲乙ともに同意します。証拠物の取り調べに異議はございません。」
裁判官「はい。それでは甲号証1、4、6から11まで、乙1から5までは同意書証として採用。甲5については、関連性を認めて採用。それでは検察官まず甲号証の要旨をお願いします。」

検察官「はい。ではまず甲号証の書証の要旨を述べます。甲1号証2号証は、平成28年12月21日付の本件大麻の任意提出書、および調書です。甲3号証は、その大麻、乾燥植物片の鑑定嘱託書で、甲4号証は、その鑑定結果となっています。被告人から任意提出を受けた乾燥植物片が大麻と認められ、重量0.409グラムであったということが明らかとなっております。甲5号証は、その鑑定残量です。後で被告人に示します。甲6号証は、本件大麻の写真撮影報告書です。その形状等を明らかにするものであります。また被告人から任意提出を受けた、空き缶やライターの写真も貼付されております。甲7号証は、本件大麻を発見した時の状況を明らかにする写真撮影報告書です。自動車の後部座席のところで、被告人が本件大麻やライターを示して、写真撮影を実施しているものです。甲8号証は、被告人らを職務質問した状況に関する捜査報告書です。職務質問を実施した警察官によるものでして、その状況については概ね冒頭陳述で述べたとおりです。警ら中の警察官が、中央区に所在する店、サードストリートというお店の駐車場に立ち寄り警戒を実施したところ、被告人らが乗車した普通乗用自動車が駐車している状況を確認し、同車両はエンジンがかかっていない状態であるにもかかわらず、車内にいる男が数名で何かをしている様子であったことから、不審と認め、職務質問を開始したものであります。被告人の他に2名の同世代の男性が乗車しており、了解を得た上で、運転席や車内を確認したところ、被告人の友人が警ら中の警察官に寄りかかるように倒れたり、小刻みに身体が震え出すなどの異変が起きたこと、車内から、お香を焚いたような匂いがあったことから、薬物使用の蓋然性を認め、職務質問を継続したところ、本件大麻を使用していて、本件大麻が存在することが発覚したというふうになっております。甲9号証は、被告人と自動車内で、一緒に大麻を吸っていた君島の供述調書です。被告人と大麻を使用した経緯等について供述をしています。その方らの供述によりますと、犯行前日の12月20日の夜から高校時代の友達と飲み会をしていて、その供述人は車で来ていた為、被告人と、もう1名、あとで甲10号証の供述者である本多という人物ですけれども、君島が被告人らを自宅に送り届けようとしていたところ、被告人から、面白いものがあるからやってみないか?と言われ、どういった感じになるの?と聞いたら、ハイになれる、ご飯が美味しくなる。などという話があり、3人で一緒に使おうということになって、大麻を使用したというふうに供述をしております。甲10号証および11号証は、もう1人の被告人の友人の君島さんの供述調書です。本件大麻を使用していた状況等について供述をしています。この君島供述によりますと、被告人は、犯行日の1年ないし、2年前から、大麻をやったら何でも面白い気持ちになれる。食べ物が美味しく感じる等という話をしていて、この犯行前日に被告人は、今日ウチにあるよ。とLINEをもらった時点で、被告人が大麻を持っているというふうに感じたこと。そして興味があったので、供に使用したことなどを供述しております。甲号証は以上です。ブツである大麻を示します。」

裁判官「被告人は、もう1回、証言台の前のところに立ってください。今から押収された大麻を示すのでね。」

検察官「これ12月21日に、あなたが警察に任意提出したもので間違いないですか?」
被告人「はい。」
検察官「これは、あなたのものですか?」
被告人「はい。」
検察官「これ今後必要ですか?」
被告人「必要ではありません。」
検察官「はい。以上です。」

裁判官「では、被告人は元の席に戻って座ってください。では検察官お願いします。」

検察官「では続きまして乙号証です。乙1号証は、被告人の身上経歴に関する供述調書です。内容につきましては、冒頭陳述で述べたとおりであります。乙2号証および3号証は、被告人が本件犯行に至る経緯及び犯行状況等について供述している供述調書です。まず乙2号証ですけれども、被告人が大学3年生の夏頃に、映画で白い粉を鼻から吸う場面を観て、薬物をやったらどんなふうになるのかなと思い始めたこと。そして知人を介して、誰かが大麻をやっているという話を耳にすることがあったこと。それで大麻を手に入れてから、知り合いの先輩から大麻のやり方を聞いて、缶を潰して、潰したところに大麻を置き、置いた大麻を炙って、炙って出た煙を、缶の飲み口のところから吸うという方法を教えてもらって、そのような方法で使用をしたことなど供述しております。乙3号証、大麻を使用した状況等について供述しているものであります。被告人は、甲9号証の供述人、君島に、家に送ってもらっている途中に、大麻をやらないか?という話をして、一度被告人の家に立ち寄ってもらってから、被告人が家で持っていた大麻と、その大麻を使用した時に使った空き缶を持って車に戻り、その後3人で大麻を使用したなどと供述しています。乙4号証は、被告人の戸籍謄本。乙5号証は、被告人の犯歴照会結果報告書です。犯歴につきましては、冒頭陳述で述べたとおりです。」

裁判官「はい。では引き続き、弁護人側の立証ですが、書証と情状証人ですかね?」

弁護人
「はい。証拠等関係カード記載のとおり、弁1号証と、情状証人として、母親の日暮亜衣の申請をいたします。」

裁判官
「はい。それでは検察官のご意見はいかがでしょうか?」

検察官
「書証につきましては同意いたします。人証につきましてはしかるべく。」

裁判官
「はい。では弁1同意書証として採用、証人も採用します。それと弁1についてのポイントを少し説明していただけるのであれば(小笑)。」

弁護人
「弁1号証はですね、ホームページでございまして、横浜市衛生研究所のホームページでございます。大麻の害悪などについて、詳しい説明等が記載されておりますので、弁護人が、被告人が拘留中に差入れて、大麻の害悪について学習するように、差入れたものであります。」

裁判官「はい。では提出の方お願いします。では情状証人ですかね、お母さんは証言台のところまで来てください。まず名前等を確認します。お名前をおっしゃってください。」

証人「日暮亜衣です。」

裁判官
「生年月日、お仕事、住所については、さきほど書いていただいたカードのとおり、ということでよろしいですか?」

証人
「はい。」

裁判官
「では、これから、この事件の証人として、お話をお伺いします。まずは嘘をつかないという約束の宣誓をしてもらいますので、宣誓書を声に出して読んでいただけますか?」

証人
「良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。日暮亜衣。」

裁判官
「今約束していただいたことの意味ですけれども、これから色々と質問をされますけども、その質問されたことに対しては、記憶のまま、そのとおりに答えていただく。そういうことになります。もし嘘がありますと、まあ大丈夫だと思いますけれども、あなたが自身が偽証罪ということで、刑事処罰に処せられる恐れがありますので、注意して話すようにしてください。」

証人
「はい。」

裁判官
「はい。では、そこにお座りください。質問はまず弁護士の先生からあります。その後必要があれば検察官、裁判官からも質問をします。お答えになる時はですね、正面を向いて答えるようにしてください。では弁護人お願いします。」

弁護人「それでは弁護人からお尋ねします。現在は貴志君と一緒に住んでいますね?」
証人「はい。」
弁護人「貴志君の性格は、どのような性格ですか?」
証人「明るくて社交的です。」
弁護人「家庭の中では、どのような感じですか?」
証人「普通の日常会話をする程度です。」
弁護人「親子としては、普通に会話が出来ている状態だということですか?」
証人「はい。」
弁護人「貴志君の友達関係は、どの程度知っていますか?」
証人「高校までは、よく友達が遊びに来ていたので、名前も顔もわかるんですけれども、大学になったら、家から遠くなってしまったのもあったので、名前は知っている、という位です。」
弁護人「貴志君の友達で、あなたが知っている友達で、問題のある、または犯罪を犯すような友達というのは、いますか?」
証人「いません。」
弁護人「高校の友達で、そういう人はいますか?」
証人「いません。」
弁護人「大学の友達はどうですか?」
証人「わかりません。」
弁護人「今回の事件の時に、職務質問された時に、一緒にいた本多君というのは知っている人ですか?」
証人「はい。」
弁護人「どういう関係の友達ですか?」
証人「高校の時に、毎朝一緒に学校に行っていた友達です。」
弁護人「どのようなタイプの子でしたか?」
証人「真面目で、まあ、真面目な子です。」
弁護人「もう1人一緒にいた、君島君という人は、あなたは知っていますか?」
証人「知りません。」
弁護人「貴志君は今自宅に戻っているようですけれども、大学生時代に、家を出て他で住んでいたことはありますか?」
証人「はい。」
弁護人「まず1回目はいつですか?」
証人「20歳の頃です。」
弁護人「今大学4年生ですね?」
証人「はい。」
弁護人「2年生の時に、どれ位の期間ですか?」
証人「半年位だったと思います。」
弁護人「どこで、何をしていたんですか?」
証人「東京の一軒家のシェアハウスで、友達と住んでいました。」
弁護人「それから半年位戻って、その後また、家を一旦出て、住んでいたことがあるんですか?」
証人「はい。それも同じく友達とシェアハウスで住んでいました。」
弁護人「場所はどこですか?」
証人「都内の同じ場所です。」
弁護人「やはりお友達と同じようにシェアしていたんですか?」
証人「はい。」
弁護人「大学は家から通える距離ですか?」
証人「頑張れば通えると思います。」
弁護人「なぜ本人は、その時、友人と家を借りてシェアをしたんでしょうか?」
証人「通学が大変だということと、アルバイトで帰りが遅くなるので借りていました。」
弁護人「アルバイトは、どこで何をしていたんですか?」
証人「新宿で居酒屋でアルバイトをしていました。」
弁護人「居酒屋の店員ですか?」
証人「はい。」
弁護人「大学の方は真面目に通っていたんですか?」
証人「はい。」
弁護人「それはどうしてわかるんですか?」
証人「成績表が送られてくるので、3年までの単位は、しっかり取れていました。」
弁護人「シェアした家から、自宅に戻ったのは、いつでしょうか?」
証人「昨年の12月です。」
弁護人「12月のいつ頃ですか?」
証人「12月いっぱいで引き払って、1月から自宅に住む予定でした。」
弁護人「とすると、今回問題となった事件の12月21日というのは、ちょうど家に戻る前のことですか?」
証人「そうです。荷物を運んだりしていた時期でした。」
弁護人「行ったり来たりしていた時期ということですかね?」
証人「はい。」
弁護人「現在は、あなたと一緒に住んでいるんですよね?」
証人「はい。」
弁護人「お父さんも一緒に住んでいるんですよね?」
証人「はい。」
弁護人「今回の事件の前に、貴志君から、大麻のことを聞いたりしたことはありましたか?」
証人「ありません。」
弁護人「貴志君が、何か大麻に関係するもの持っているのを見たりとか、そういうことはありませんか?」
証人「ありません。」
弁護人「何か行動で不審なところとか、おかしいなと思ったことはありませんか?」
証人「ないです。」
弁護人「今回12月21日に職務質問で大麻が発見されて、その日、逮捕される前に自宅に戻っているんですが、職務質問で大麻が発見されてしまったということは、12月21日以降に聞いていたんでしょうか?」
証人「はい。」
弁護人「どのように聞いたんですか?」
証人「12月21日から3日か4日後くらいに、そのようなものを持っている時に警察に見つかって捕まってしまったということを聞きました。」
弁護人「何を持っていたと言っていましたか?」
証人「大麻のような物を持っていたけどわからないと言っていました。」
弁護人「大麻を持っていたとはハッキリ言わなかったんですか?」
証人「はい。ようなものと言っていました。」
弁護人「その時、大麻を吸っていたという話は聞いていましたか?」
証人「いえ、聞いていないです。」
弁護人「警察からそのことについて、お宅の方に、お父さんやお母さんのほうに何か連絡はありましたか?」
証人「ないです。」
弁護人「そうしますと。そのあと警察との関係では、いきなり逮捕されたということですかね?」
証人「そうです。」
弁護人「警察が来たのは何月何日ですか?」
証人「2月18日です。」
弁護人「どのようなかたちで、来ましたか?」
証人「朝6時位に、警察の方が見えて、家宅捜索をされて、そのまま連行されていきました。」
弁護人「家宅捜索で、何か大麻の関連するものは見つかりましたか?」
証人「見つかりませんでした。」
弁護人「あなたは、そこで、貴志君が大麻取締法違反で逮捕されて、どう思いましたか?」
証人「まさかこんなことになってしまうなんて思ってもいなかったのでビックリしました。」
弁護人「警察の留置場には面会に行きましたか?」
証人「はい。」
弁護人「何回行きましたか?」
証人「5回位です。」
弁護人「貴志君は留置場での面会の時に何と言っていましたか?」
証人「友達に迷惑をかけて申し訳なかったと言っていました。」
弁護人「今回裁判所で保釈を許可してもらって、家に戻ってから、親子で話し合いはしましたか?」
証人「はい。」
弁護人「どんなことを話し合いましたか?」
証人「これから真面目にキチンとやっていかなければならないということを話しました。」
弁護人「保釈中の本人の反省ぶりは、お母さんから見てどうでしたか?」
証人「就職活動を一生懸命やっていて、すごく反省している様子です。」
弁護人「逮捕された時が就職活動のピークな時期だったわけですね?」
証人「はい。」
弁護人「あなたから見て、貴志君が、今回の大麻取締法違反の罪を犯した原因は、本人のどういう点に問題があったと思いますか?」
証人「考え方が浅はかだったの思います。」
弁護人「他に何か本人の生活態度等で、影響したところがあるとかはどう思いますか?」
証人「…。」
弁護人「環境で何か問題があったんじゃないかと思ったことはありましたか?」
証人「居酒屋でのアルバイトが原因だったのかなと思ったこともあります。」
弁護人「居酒屋で働いた時などに、問題のある人と知り合ったのかもしれないと思ったということですかね?」
証人「はい。」
弁護人「今回、逮捕勾留されて、現在裁判になっていますが、貴志君は、自分のやったことの重大性というのは自覚出来てそうですか?」
証人「はい。友達に迷惑かけてしまって、就職活動も出来なかったことで、本当に反省していると思っています。」
弁護人「今後、あなたとしては、貴志君に、どういうことを考えていってほしいですか?」
証人「人に迷惑をかけずに真面目に生活していってほしいと思っています。」
弁護人「お父さんは、貴志君にどのように言っていましたか?」
証人「これからは、きちんとした生活をやっていくようにと言っていました。」
弁護人「今後、このような罪を犯したりして失敗しないように、両親で監督を続けられますか?」
証人「はい。」
弁護人「以上です。」

裁判官「検察官からは?」
検察官「特にありません。」
裁判官「それでは、これで終わりますので、元いた席に戻っていただいて大丈夫です。続いて被告人質問をおこないます。被告人は証言台の前の椅子に座ってください。」
被告人「はい。」
裁判官「では、今度は、あなたから話を聞いていきますね。同じように弁護士さんから質問があって、必要があれば検察官、裁判官から質問をします。」
被告人「はい。」
裁判官「はい。では、弁護人お願いします。」

弁護人「弁護人からお尋ねします。前を向いて大きな声で答えください。」
被告人「はい。」
弁護人「現在はどこの大学の、何学部何学科の何年生ですか?」
被告人「▲▲大学の文学部、社会学科の4年生です。」
弁護人「社会学部というのは、どのようなことを勉強するところですか?」
被告人「世の中全般のことについて勉強する学部で、いくつかの分野から成り立っています。」
弁護人「あなたは、何を専攻しているんですか?」
被告人「メディア関係の授業を専攻しています。」
弁護人「そこでは、何を学ぶべきところなんですか?」
被告人「抽象的に言うと、コミュニケーション能力を学んでいます。」
弁護人「あなたと、大麻との関わりについて、お尋ねします。大麻と最初に関わりを持ったのは、いつですか?」
被告人「大学3年生の夏です。」
弁護人「ということは平成28年の夏頃ということですかね?」
被告人「はい。」
弁護人「その頃どのようなことがありましたか?」
被告人「友人の高峰ゆうさく君という方から、誘われました。」
弁護人「高峰は高っていう字に峰で、ゆうさくって字はわかりましか?」
被告人「わかりません。」
弁護人「高峰ゆうさく君っていう人は、どういう人ですか?」
被告人「大学の友人です。」
弁護人「大学のどういう関係の人?」
被告人「サークルが一緒で、アルバイトも一緒です。」
弁護人「学年は?」
被告人「学年は1個下で、歳は3個上です。」
弁護人「同じ新宿の居酒屋でアルバイトしていたということですか?」
被告人「はい。」
弁護人「居酒屋の名前は?」
被告人「蛍というお店です。」
弁護人「蛍という字を書いて、ほたると読むんですかね?」
被告人「はい。」
弁護人「サークルも一緒?」
被告人「サークルも一緒です。」
弁護人「どのようなサークルですか?」
被告人「三角ベースサークルです。」
弁護人「高峰ゆうさく君から、どのようにして誘われたんですか?」
被告人「大麻があるからやらない?と誘われました。」
弁護人「いつ誘われました?」
被告人「アルバイト中に誘われました。」
弁護人「大麻を吸ったらどうなるかとか、高峰君は何て言っていましたか?」
被告人「頭がボーっとして、ご飯が美味しくなるよというふうに言われました。」
弁護人「高峰君の誘いに乗って、大麻を吸いましたか?」
被告人「はい。」
弁護人「誘われてからどのくらい後ですか?」
被告人「大体1週間後くらいです。」
弁護人「吸った時は、高峰君と君だけですか?」
被告人「いや、もう1人いました。」
弁護人「誰がいたんです?」
被告人「杉山いさお君という大学の友達がいました。」
弁護人「杉山は、調書に書いてある、杉に山に、いさおはどういう字を書くんですか?」
被告人「漢字はわからないです。」
弁護人「杉山いさお君は、どんな人ですか?」
被告人「大学とアルバイトが同じ人です。」
弁護人「現在は?」
被告人「現在は、大学を辞めて、今は服飾学校に通っています。」
弁護人「3人で吸ったということで良いんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「どこで吸いましたか?」
被告人「高峰君の家です。」
弁護人「どのような大麻でしたか?」
被告人「タバコみたいな大麻でした。」
弁護人「巻いてあったということで良いですか?」
被告人「はい。」
弁護人「高峰君に誘われて吸ったのは何回ですか?」
被告人「1回です。」
弁護人「その時の1回だけ?」
被告人「はい。」
弁護人「大麻を吸った話、また大麻関係の話を、誰かに話しましたか?」
被告人「はい。本多君に話しました。」
弁護人「本多君との関係は、どのような関係ですか?」
被告人「中学高校の友達です。」
弁護人「何で本多君に話したんですか?」
被告人「本多君だったら、やるかなと思って誘いました。」
弁護人「本多君っていうと真面目な人なんじゃないの?」
被告人「そうです。でもノリが良いといいますか。そういう人でした。」
弁護人「どのように話したんです?」
被告人「頭がボーっとして、飯が美味くなる大麻があるけどやる?と声をかけました。」
弁護人「そうじゃなくてね、その吸った話をして、今回本多君と吸った時じゃなくて、その頃どういう話をしたの?と聞いているんです。」
被告人「大麻を吸ったら、頭がボーっとして、ご飯が美味しくなるよ。っていうふうに言いました。」
弁護人「はい。今回の事件のことについて、お尋ねしますけれども、今回吸った大麻、持っていた大麻は、警察や検察庁では、拾ったと述べていましたよね?」
被告人「はい。」
弁護人「その話は嘘ですか?本当ですか?」
被告人「本当です。」
弁護人「拾ったことは間違いないんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「拾った時期はいつですか?」
被告人「去年の8月頃です。」
弁護人「今回の事件の1週間くらい前って言ったのは嘘だったんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「どこで拾ったんですか?」
被告人「新宿の東口のOLD DAYS前です。」
弁護人「拾った場所は、本当のことを言ったんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「その時、誰か一緒にいましたか?」
被告人「杉山いさお君がいました。」
弁護人「杉山君は、君が大麻らしきものを拾ったのは見ているんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「うかつに知らないと言ったのは嘘だったのね?」
被告人「はい。」
弁護人「杉山君の反応はどうでしたか?」
被告人「すごく驚いていました。」
弁護人「その大麻はどうしましたか?」
被告人「拾って持って帰りました。」
弁護人「その大麻を今回の事件の前に吸ったことはありましたか?」
被告人「はい。」
弁護人「いつ頃吸ったんです?」
被告人「拾ってから1週間後位に、2人で吸いました。」
弁護人「杉山君と2人で吸ったということですか?」
被告人「はい。」
弁護人「当時は、杉山君と一緒に住んでいたということなんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「先程のシェアして住んでいたというのは杉山君ですか?」
被告人「そうです。」
弁護人「その時は、どのような方法で吸いましたか?」
被告人「缶で吸いました。」
弁護人「拾ってすぐ大麻ってわかったんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「缶で吸う方法はどうして知ったんですか?」
被告人「高峰君に教えてもらいました。」
弁護人「その時、大麻は何回吸ったんですか?」
被告人「1回です。」
弁護人「大麻の大きさはどれ位ですか?先程、検察官に見せられたものと比べてどうでしたか?」
被告人「あれの2倍無いくらいです。」
弁護人「その時、吸った大麻の残りはどうしたんですか?」
被告人「その後、シェアハウスしている家に置いておきました。」
弁護人「その後どうしましたか?」
被告人「その後、月日が経って、今回の12月の事件の時に見つけました。」
弁護人「その後は結局そうすると、大麻はどこに置いていたんですか?」
被告人「私のナップザックの中に入っていました。」
弁護人「今回吸った大麻は、その残りということで良いですか?」
被告人「はい。」
弁護人「これまで、高峰君や杉山君と、前に大麻を吸ったことがあるという話はしていませんね?」
被告人「はい。」
弁護人「何で正直に話さなかったんですか?」
被告人「その2人に迷惑がかかるかなと思って、話せませんでした。」
弁護人「今回裁判になって話すようになったのは、どういう理由ですか?」
被告人「弁護士の方と話して、話した方が2人の為になるのかなと思って、話すことにしました。」
弁護人「今回自分が捕まって、裁判になっているということについては、高峰君や杉山君には話したり連絡取ったりはしていませんか?」
被告人「していません。」
弁護人「そうすると、連絡取っていないとして、高峰君は、その後、大麻のことで何か言ってきたことはありますか?」
被告人「彼女に大麻がバレたみたいで、もう絶対にやらないと言っていました。」
弁護人「それは、今回の事件の前、12月21日の前に聞いたんですか?」
被告人「はい。そうです。」
弁護人「蛍で働いていたのは、いつ頃ですか?」
被告人「去年の11月頃までです。」
弁護人「今回の12月21日の件について聞きますが、この日に大麻を吸う為に持っていた、そのキッカケは何だったんですか?」
被告人「飲み会に行って、そのまま取りに行きました。」
弁護人「飲み会は、どのうような飲み会でしたか?」
被告人「高校の時の友達との飲み会です。」
弁護人「何でその時に吸うことになってしまったんですか?」
被告人「その前日に、私が、そのナップザックの中から、その時に拾った大麻を見つけて、それで、本多君のことを、その後LINEで誘って、やることになりました。」
弁護人「ナップザックの中に大麻が入っていたんですね?」
被告人「はい。」
弁護人「そのことは覚えていたんですか?」
被告人「いや、覚えていなかったです。」
弁護人「忘れ去られちゃっていたの?」
被告人「そうですね。」
弁護人「なぜ20日に偶然見つけたんです?」
被告人「たまたまナップザックを使おうと思っていた時に、その中を見たら、たまたま発見したという感じです。」
弁護人「はい。それで、20日に本多君にLINEをしたんですかね?」
被告人「はい。」
弁護人「何故、今回本多君を誘ったんですか?」
被告人「先程も言ったように、ノリが良く、少し興味があったので、本多君を誘いました。」
弁護人「君島君を誘った理由は?」
被告人「君島君が車でみんなのことを送り届けてくれて、最後に私と本多君と君島君の3人になったので、そこで誘いました。」
弁護人「友達を誘うことに、当時は罪悪感はなかったんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「何故、罪悪感がなかったんですか?」
被告人「その、大麻に関して軽率な考えでいたので、罪悪感はありませんでした。」
弁護人「大麻を今回使って、警察に発見された空き缶がありましたね?」
被告人「はい。」
弁護人「その空き缶は、どういう空き缶でしたか?」
被告人「お酒の缶チューハイの空き缶でした。」
弁護人「大麻を吸えるように、凹ましたり穴を開けたりしていましたね?」
被告人「はい。」
弁護人「その加工はいつやりましたか?」
被告人「その前日です。」
弁護人「どこでやりましたか?」
被告人「家です。実家で。」
弁護人「缶チューハイはどこにあったんですか?」
被告人「実家の台所にありました。」
弁護人「大麻を吸った状況は…、質問変えます。まずサードストリートに行ったのは、どうしてですか?駐車場に行った理由は。」
被告人「人通りが少なかったので、そこが良いかなと思って、そこに停めました。」
弁護人「大麻を吸った状況は、どのような状況で吸いましたか?」
被告人「私がまず最初に缶の部分にある大麻を炙って、周りにどんどん回すという感じです。」
弁護人「3人で回して飲むようなかたちで吸ったということですか?」
被告人「はい。」
弁護人「吸っている最中に警察官が来て、発見されてしまったんですか?」
被告人「はい。」
弁護人「今回の件では、当日は、警察の人は、大麻かどうか何か言っていましたか?」
被告人「多分大麻だというふうに言っていました。」
弁護人「簡易検査をしたけれども、確定的ではないけれども多分大麻だろうということだったんですね?」
被告人「はい。」
弁護人「その場では逮捕されなかったんですね?」
被告人「はい。」
弁護人「その後、家に帰ってから、君島君に何かLINEで伝えましたか?」
被告人「はい。」
弁護人「どのようなことを伝えたんです?」
被告人「両親に、拾って、それを持っていただけで捕まったというふうに嘘をつくというLINEをしました。」
弁護人「どこが嘘なんです?」
被告人「持っていただけで捕まったということで、吸ってもいないし、ただ持っていたのに捕まったんだというところが嘘です。」
弁護人「大麻とわかっていたことについては、どうなんですか?」
被告人「大麻とは、わかっていないというふうに、親には伝えました。」
弁護人「はい。何故その点を嘘ついたんですか?」
被告人「そうですね。現実から逃げていました。」
弁護人「当時は、大麻について、どのようなモノだと考えていたんですか?」
被告人「そうですね。頭がボーっとして、ハイになって、ご飯が美味しいので、まあ、良いものと考えていました。」
弁護人「法律で禁止されていること自体は知っていたんでしょ?」
被告人「はい。」
弁護人「所持が禁止されていることも?」
被告人「はい。」
弁護人「使用は禁止されていないということは知っていたんですか?」
被告人「はい。知っていました。」
弁護人「実際に大麻を吸った感じは、どのような感じでしたか?」
被告人「言われた通り、頭がボーっとして、ご飯が美味しくなりました。」
弁護人「問題になるような反応はありましたか?」
被告人「次の日学校がある日とか、ダラけてしまって、休むこともありました。」
弁護人「今回警察に拘留中に、弁護士から、横浜市衛生研究所のホームページを差入れてもらいましたね?」
被告人「はい。」
弁護人「大麻の害悪について勉強しろと言われましたね?」
被告人「はい。」
弁護人「読みましたか?」
被告人「はい。」
弁護人「どのような害悪があるか言ってください。」
被告人「まず、人間として腐っていくというのと、記憶、学習、問題解決能力、知覚能力の低下、あと、うつ病だったり、躁病だったり、攻撃的な行為だったり、幻覚や妄想が見えてしまうという害悪があります。」
弁護人「依存性はあるかないかについては、どのように書いてありましたか?」
被告人「あるというふうに書いてありました。」
弁護人「現在はわかっているんですね?」
被告人「はい。」
弁護人「今回、逮捕勾留されたことで、裁判にもなりましたけども、どう思いましたか?」
被告人「様々な人に迷惑をかけてしまったと思っています。」
弁護人「一番迷惑をかけてしまったのは誰ですか?」
被告人「今回私が誘って、迷惑をかけてしまった2人の友達です。」
弁護人「君島君、本多君も、共同所持ということで逮捕拘留されちゃったんですね?」
被告人「はい。」
弁護人「その2人が、どのような処分になったかどうかは聞いていますか?」
被告人「いえ。聞いていません。」
弁護人「保釈の条件で接触できなかったということですね?」
被告人「はい。」
弁護人「今回逮捕勾留されて裁判になったことは、あなたにとって、どのような経験でしたか?」
被告人「そうですね、就職活動の真っ只中だったので、私の人生を棒に振ってしまったなという感じです。」
弁護人「就職活動の影響はどの程度あったんですか?」
被告人「受けていたところの6割7割は、もう受けれなくなってしまって、受けれたのは4社5社位です。」
弁護人「内定は取れましたか?」
被告人「いえ、まだ取れていません。」
弁護人「このあとの就職活動の見通しはどうなんですか?」
被告人「二次募集をいま受けている最中です。」
弁護人「就職はどのようなところに就きたいんですか?」
被告人「金融業界で働きたいです。」
弁護人「今後、同じような罪を犯さない為に、どうすればいいと考えていますか?」
被告人「ひとつは、何か生きがいや、やりがいを生み出すことが大事だと思っています。」
弁護人「法律を破ったことについては、今どういうふうに思っていますか?」
被告人「本当に情けなく思っています。」
弁護人「問題を色々起こしてから、あれこれウソをついてきたということについては、どう思っていますか?」
被告人「それこそ、自分に逃げていたとしか言いようがありません。」
弁護人「薬物については、今どういうふうに考えています?」
被告人「もう絶対にやりません。」
弁護人「親に対しては、今どういうふうに思っていますか?」
被告人「申し訳ない気持ちでいっぱいです。」
弁護人「以上です。」

裁判官「それでは検察官。」

検察官「少しだけ。まず最初に、その高峰君に誘われた時に、違法だからやらないとか、そういう考えは浮かばなかったんですか?」
被告人「そうですね。はい。」
検察官「けっきょく今回、警察に職務質問を受けるまで、大麻を大体でいいですけど、何回くらい使いました?」
被告人「捕まった時のを含めて2回です。」
検察官「最初に高峰君に使わせてもらってから、そのあとは、自分で大麻を手に入れたっていうことなんですか?」
被告人「高峰君からもらったのと、その後は、杉山君と拾ったやつです。」
検察官「その、まあ、ちょっと、あなたからの話を前提とするとね、昨年の8月頃に、新宿の東口のコンビニの近くかなんかで拾ったっていう話なんですけど、拾った時に、それは何だと思って拾っているんですか?」
被告人「大麻だと思って拾っています。」
検察官「実際に使ってみて、以前大麻と言われて使ったものと同じような使用感はありましたか?」
被告人「はい。」
検察官「でも大麻だとわかっていて、捨てずに置いていたのは何故ですか?」
被告人「ナップザックの中に入れていたのを忘れていました。」
検察官「ただ、やらずに忘れていたってことなんですか?」
被告人「はい。」
検察官「これ、あなたも認めているということで、有罪になりますけど、それで、前科がつくわけだけれども、あなたの大学のこととか、就職とか、そういったことに支障はないんですか?」
被告人「大学は行けています。」
検察官「有罪の判決を受けても、退学になったりはしないですか?」
被告人「はい。」
検察官「わかりました。それでは、就活に関しては、まだ続けているということですかね?」
被告人「はい。」
検察官「以上です。」

裁判官「裁判所からも少し聞きますけれども、大麻をコンビニの前で拾ったっていう話が、まあ、正直、嘘だっていう根拠の虚偽はないですけども、

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