ベスト8

ベスト8の見どころ

今回は10月19日、20日に控えた準々決勝の4試合の見どころを紹介していきます。

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流れとしては、各チームのメンバー編成を含めたチーム紹介と、その試合のキーポイントとなるところを紹介していきます。
あくまで僕目線なのでご了承ください。


■イングランドvsオーストラリア

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〇イングランド

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・なんといっても、キャプテンであるオーウェン・ファレル選手が10番で試合に挑むということ。
今大会は12番で先発する試合が多かったが、SOで出場する意味合いがどこにあるのかとても注目です。今大会はSOを担ってたジョージ・フォード選手を後半から投入して、キャプテンが12番に回るなども考えられるので、エディーHCの采配に注目です。

・15番FBのエリオット・デーリー選手が注目選手に挙げられていますが、僕自身の注目プレーヤーは、9,10番のベン・ヤングス選手とオーウェン・ファレル選手のハーフ団です。
この2人が作り出すテンポからのゲームメイクは注目です。
もう1人、4番LOのマロ・イトジェ選手。
一言で表すとすると、万能型LOだと思います。イングランドではスーパーマロと愛称がつくほどです。献身的にすべてのプレーをこなす彼はイングランドのFWの原動力と言えるでしょう。


〇オーストラリア

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・世界屈指のBKを有するオーストラリアの布陣はとても面白いです。
どちらかというとストラクチャーATが得意なので、スクラム、ラインアウトから始まるセットプレーATはかなり注目です。
注目選手に挙げられているコロイベティ選手もいるように両WTBの決定力がかなりあるので、イングランドとしてはかなり脅威を感じていると思います。

・11番WTBのコロイベティ選手が注目選手に挙げられていますが、僕自身の注目プレーヤーは9番SHのウィル・ゲニア選手です。
今大会一番記憶にあるプレーは、予選プールのフィジー戦です。
この試合はフィジーの猛攻に悩まされる時間帯が多く、そのピンチを救ったのが彼でした。
リザーブで登録されていましたが、後半チームが劣性に追い込まれているときに、ピッチに出てきて、試合をひっくり返したのです。
彼一人でできたことではありませんが、この選手がもつ潜在能力の高さに驚きました。


〇見どころ

・攻撃のオーストラリア、防御のイングランドとなることは明確だと思います。世界的にラグビーの価値観でいうと、北半球はDFをチームとして整備し、ブレイクダウンでプレッシャーをかけ、アンストラクチャーから得点に結び付けていくというチームスタイルが特徴的です。
一方、南半球はATを重視しているイメージがあります。独特な戦術を駆使し、どこからでもトライをねらいにいく姿勢は、観ている者を魅了するラグビーだと感じます。
ということも含めて、この試合は攻撃のオーストラリア、防御のイングランドといえると思います。
・両チームのキッカーの精度の高さは世界トップクラスなので、ペナルティが試合流れを左右する予想。
イングランドとしては、DFで圧力をかけ、ブレイクダウン周辺で反則を誘うこと。オーストラリアとしては、両FLのデイビット・ポーコック選手とマイケル・フーパー選手のノットリリースザボールの反則をいかに狙うことができるかが得点に直結してくると思います。
・個人的な予想としては、ボール保持率が高いチームが勝つのではなく、エリア支配率が高いチームが勝つと思います。
とくに、制する必要があるのが、ハーフラインから敵陣10mです。
この10mの区間を制したチームが勝利を手にします。



■ニュージーランドvsアイルランド

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〇ニュージーランド

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・ニュージーランドといえばラグビーというイメージが日本でも広まったと思います。
前回大会王者として挑む今大会でどのようなプレーが生まれるのかは本当に注目です。

・ニュージーランドの強みとしてはなんといってもアンストラクチャーです。
このアンストラクチャーにおいては世界最強です。
なぜこのラグビーにおいて最も難しいともいえる部分がこれほどまでに強いのかはわかりませんが、このアンストラクチャーから生まれるビッグプレーはいつもラグビー界に衝撃をもたらします。
ラグビー界で最先端を行くチームとも言えるでしょう。

バレット兄弟

・なんといってもこのバレット兄弟は今のニュージーランドの中心選手となってきていると思います。
試合前に行われるハカにも注目です。その試合に対する意気込みを感じることができるのでとても楽しみです。
また、僕としての注目プレーヤーはBack Rowの3人です。アーディー・サベア選手、サム・ケイン選手、キアラン・リード選手、こんなにも連携のとれた3人はいないと思います。
お互いの強みを最大限に活かしあえるチームは世界最強と言えます。
その他、世界屈指のLO注目です。ブロディ・レタリック選手、サム・ホワイトロック選手など名を挙げればきりがありません。
よく考えれば長年世界1位に君臨してきたチームなので各選手が世界トップレベルなのは当たり前のようです。


〇アイルランド

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・アイルランドといえばDFでしょう。これほどまでにDF力の高いチームはなかなか存在しません。
実際予選プールで日本代表に負けてしまいましたが、今大会通じて取られたトライ数は多くないのです。
DFがとても整備されていることが被トライ数が少ない理由です。

・またスクラムは非常に強いことで有名です。
強力なフロントローを兼ね備えるアイルランドの強みの1つでもあります。
ストラクチャーの始まりでもあるセットプレー、特にスクラムで優位にたてるかどうかがこの試合の流れを左右するかもしれません。
日本戦ではこのアイルランドにスクラムではほぼ互角の戦いをし、さらにペナルティを獲得していたので日本のスクラムも強いのだと証明したこともありました。

・僕自身の注目プレーヤーはハーフ団の2人です。コナー・マレー選手と、ジョナサン・セクストン選手です。
現在のアイルランドを支える2人の司令塔が指揮をとる試合運びにはSO目線でも非常に注目度が高いです。


〇見どころ

・1戦目のイングランドvsオーストラリアと同じように、北半球vs南半球のチームとなっています。なので、ATのニュージーランド、DFのアイルランドとなることは容易に想像がつきます。
・この試合の僕自身の注目はボール支配率でも、エリア支配率でもありません。正直このレベルまでくると70%:30%になることはほとんどありません。
支配率で開いたとしても60%:40%ほどです。その状況はひっくり返すことができます。
この試合でのその部分は、ミスボールの獲得率です。
ミスボール(イーブンボール)がどちらのチームに入ったのかです。
ニュージーランドとしては得意のアンストラクチャーに持ち込むことができますし、アイルランドとしてはそこからまた敵陣に入り、得意のDFからプレッシャーをかけ、結果的には3点に結び付けることができます。
アイルランドもアンストラクチャーが不得意なわけではないのでトライも狙いにいけると思います。
最終的にはトライをとったチームが勝つ。
当たり前のことのように感じると思いますが、この試合では非常に大切なことだと思います。
ラグビーには様々な得点方法があります。
よく、接戦の時は2点、3点が勝敗を分けたということがありますが、この試合はその前段階のトライの数が試合の勝敗に直結してくるのではないかと思っています。
得点をさせなければ負けることはないスポーツですが、この試合は両チーム得点をとりあってほしいです。
一瞬でも守りに入った方が負けます。
80分間、リードしていても守ることなく、攻め続けたチームに勝利の女神が微笑むでしょう。



■ウェールズvsフランス

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〇ウェールズ

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・ウェールズがここにきて最高のメンバーをそろえてきたかと感じました。
下馬評で行くと、安全にウェールズが勝ち進むのではとほとんどのファンが思っているということもあるので、そういった意味でもメンバー編成は楽しみでした。ベスト8以上はやはり何が起こるかわからないということを考え、この試合が優勝までの道のりを決めるんだという意気込みがメンバー編成から見受けられます。

・僕自身の注目選手としてはやはりハーフ団の2人です!
SHのガレス・デービス選手と、SOのダン・ビガー選手が操るチームは見ている側を楽しませてくれます。
どんなスーパープレーがとびだすのか注目です。

・11番WTBのジョシュ・アダムス選手は現在日本代表の松島選手に並び5トライを挙げ、トライ王争いをしています。
彼の持ち備えるトライをとる嗅覚は誰にもまねできないと思います。
そういったことを知っているだけで見る面白さが増えますよ。


〇フランス

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・フランスもベストメンバーをそろえてきたという印象を受けました。
死のプールと呼ばれたプールCで確実に勝利を刻んできたフランスは、このベスト8から牙を向く存在になるのではないかと個人的に予想しています。

・シャンパンラグビーの異名を持つフランス代表ですが、予選プールを見る限りあまり持ち味を活かせていないように感じました。
予選プールを勝ち抜くことを最優先した結果なのかもしれませんが、僕としてはボールがみるみるつながり、人がどんどん湧き出てくるフランスのラグビーを見たいなと思っています。
ですが、本来の持ち味があまり発揮できていないと仮定しても、着実にプール戦を勝ち進んできているのでそれだけの実力があるということです。
なので、この試合は新たなフランスのラグビーが観れるのではないかと期待しています。

・注目選手としてはなんといっても10番SOのRomain Ntamack選手です。
なんと20歳なのです。僕自身よりも若い選手がこの世界の場で活躍していることを考えると本当にすごいと思います。
以下のサイトを見ていただければ彼のすごさがわかると思います。
しかもSOというチームにおいて重要なポジションを担うという責任は非常に大きいと思います。
緊張もあると思いますが堂々とプレーをしてほしいです。


〇見どころ

・この試合のキーポイントはボール支配率だと思います。
よりたくさんボールを保持し攻めたチームに勝利の女神は微笑むのではないでしょうか?
特にフランスとしては本来得意とするラグビーをいかに長い時間発揮できるのかが勝敗のカギとなると思います。
・両チーム大胆なラグビーをするので、そのATの根幹を支えるセットプレーが重要になってきます。
どちらのチームもスクラム、ラインアウト共に強力ではないので、力量さは無いと思いますが、どれだけマイボールで開始されるセットプレーを確保できるかは大切になると思います。
・世界ランキングや、下馬評では圧倒的にウェールズ有利だとファンの方々は言っているように見えますが、ベスト8以上になってくれば何が起こるかわからないので、この試合も楽しみです。



■日本vs南アフリカ

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〇日本

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・今大会台風のごとく登場し、大躍進を遂げている日本代表。
もちろん実力がなかったわけではないが、ラグビーワールドカップという舞台で結果を出すことができていないだけです。
前回大会予選プールで3勝するも決勝トーナメントに進むことができませんでした。
勝利という形が結果を残すことができ、さらに南アフリカというラグビー強豪国に勝つなどの躍進によって日本国内をラグビーブームに陥りました。

劣等国

・この数字を見ても、ラグビー界において日本という国が劣等国なのかは一目瞭然だと思います。
ただ、一つ言えることは今の日本代表は歴代最強だという事。
今までの戦績からはこのような数字になっているが4年前の前回大会から考えると、日本代表の実力は世界のどのチームも恐れるものに変化しているでしょう。

・この試合の注目選手はもちろん全員です。
1人の選手では勝つことができないのがこのラグビーというスポーツです。
23人のメンバーだけでなく、監督、コーチ、スタッフ、など今の日本代表に直接的に関わる人はもちろんのこと、今大会が日本で行われていることも偶然ではないので応援してくださる国民の方すべての声援が力になるはずです。本当に、ラグビー日本代表の真価が問われる時だと思います。
このタイミングで南アフリカとの試合になることも4年前から始まったストーリーだと思います。
この試合でもさらに進化を遂げる日本代表が見たいです。

・最後に個人的ですが、直属の先輩としてこの大会に出場されている15番FBの山中選手を応援しています。


〇南アフリカ

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・予選プールでは前回王者のニュージーランドに負けたものの、その他3試合は圧巻の試合を見せてくれた南アフリカ。
世界最高峰ともいえるハーフ団が率いるこのチームは4年前よりはるかに強いと思います。
特にWTBの選手の層の厚さは大会随一。
トライをとる力は対戦相手にしたら強敵です。

・安定したベテラン選手に、活気あふれる若手選手を織り込んだメンバー編成に大会前から注目でした。
ベテラン選手の活躍には、予選プール通してあっぱれといか言いようがありませんでしたが、驚きは若手選手の活躍にあります。
これほどまでにチームに馴染み、大舞台にも関わらず堂々とプレーをし、結果を残しているのはこのチームの強さの秘訣だと感じます。

・また今大会唯一ラインアウトモールを強みといえるのはこのチームだけなのではないでしょうか。
スクラム、DFが強みなチームは多く見受けられ、世界のラグビーのレベルの高さを目の当たりにしましたが、キックオプションではない得点方法をチームの強みとしているのは今大会唯一で南アフリカだと思います。
以前モールについては触れているので興味のある方は見てみてください。

・この試合の注目選手は僕の中では1人しかいません。
14番WTBのCheslin Kolbe選手です。

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彼の何がすごいかは試合を観ていただければ一目でわかっていただけると思います。
もちろんその他注目選手は多数いますが、きりがないので控えます。


〇見どころ

僕の先輩である千葉太一さんがこの試合の見どころをまとめてくださっているので見てみてください。プロップの選手なので、僕とは違った観点からこの試合を考察しているので面白いと思います。

千葉さんの内容と重複するところもありますが、僕視点でのこの試合の見どころを書いていきます。

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この2つの画像からこの試合を分析します。

・注目したいのは南アフリカ得点力と被失点力です。
簡単に言うと、トライをたくさんとることができて、かつ、被トライが少ないということです。
正直最強と数字の面からは言えると思います。
・一方日本代表は、得点力も著しく高いわけでもなければ、著しく得点をとられないチームではないこともわかります。
にもかかわらず、なぜ試合に勝つことができたのでしょうか?
そこにはラグビーというスポーツの競技特性があるとは思います。
扱うボールが楕円なので、それに伴い、試合結果がどちらに転ぶのか予想もつかない方向に転ぶかもしれないという側面です。
予選プールでの4試合、なにで勝ったのかというと準備量でしょう。
その1試合に向けて自分たちがなにをして勝つのかが、どのチームよりも明確だと観ていて感じました。
全試合スタッツというものが出されていますが、数字からはわからない部分で日本代表はそれぞれのチームを上回ってきたのです。
試合運び、内容、すべてにおいて勝つためにはを追い求めていることがわかります。
一戦必勝というとまぐれに聞こえるかもしれませんが、そのくらい目の前の試合にどのチームよりも準備していることが勝因だと思います。
・この試合のキーポイントは間違いなく反則の数です。
反則をしたものが失点のリスクを負います。
どの試合でも同じことですが、この試合ではそれが勝敗を左右します。
日本の反則の場合、南アフリカは3点の選択肢とラインアウトモールの選択肢があります。
南アフリカの反則の場合、日本は不動のキッカーである田村選手が蹴るペナルティゴールを選択することができるのです。
・絶対にロースコアな展開でないと日本代表は勝てない。
南アフリカに4トライ以上取られてしまうとこの試合は勝てません。
得点力があることは周知の事実ですが、その得点力と同レベルで防御力も兼ね備えているのです。
このチームから得点を重ねるのは本当に至難の業です。
予選リーグでも格上相手を破った時の様に、今の日本代表が大差で勝つことは不可能だと思います。
もちろん大差だと嬉しいかもしれませんが、正直意味はありません。
いかに、80分通して相手に痛手を与え続けることができるのか。これにつきます。

このようなツイートをしましたが、南アフリカメンバー編成から感じられることがあります。
前回大会で日本で負けた事実を挽回するには、同じワールドカップという舞台で勝つしかないと思っているはずです。
そのために選んだ23人なのでとても戦略的にも練られたメンバーだと思います。
この試合は15人同士の戦いだけでなく23人含めた総力戦になること間違いなしです。
今大会一番盛り上がる試合だと言い切れます。



■天候の変化

今大会は9月20日から始まったので、早くも1か月経とうとしています。
本当に、日本国内でラグビーブームが巻き起こっているなと感じられることが嬉しく思います。

時間の経過とともに、変わったものといえば天候もかなり変化しました。
先週は大型の台風の影響で数試合中止ということもありました。
この変化において一見悪いことばかりに見えますが、実はそんなこともないのです。

大会開始直後はまだ残暑の中だったので、海外の選手には湿度も高い日本という地でのラグビーはとても大変だったようです。
その証拠に、大会前半の試合の方がハンドリングエラーが多いのです。
普段は気にしないことかもしれませんが、自分自身が普段プレーしている国や地域に依存しているのです。
この1か月で日本に気候に慣れてきたころだとは思います。
それに、日本には四季があるので、夏の暑さもほとんどなくなり寒くなり始めた今の時期は動きやすい気候かもしれません。

なにか動きが悪いなと感じていた選手の本領発揮となるとそれもまた楽しみです!

いつも読んでいただきありがとうございます。 一人でも多くの方に読んでいただき、ラグビーをより楽しんでいただけるようこれから頑張っていきます。 コメントお待ちしています!! よければスキもお願いします。