カーター_キック

50:22の試験的ルールの考察②

今回は前回の続きで実際に50:22の試験的ルールが及ぼす影響について書いていきます。

前回の内容を見ていない方は是非先に見てみてください。


World RugbyのHPに記載されている中で下記の内容が50:22の試験的ルールの内容になります。

50:22 kick proposal. If the team in possession kicks the ball from inside their own half indirectly into touch inside their opponents’ 22 or from inside their own 22 into their opponents’ half, they will throw in to the resultant lineout
Rationale: To create space by forcing players to drop back out of the defensive line in order to prevent their opponents from kicking for touch
Recommendation: To approve for closed trials.

50:22キックの提案。ボールを保持しているチームが、自陣から敵陣22m以内、あるいは、自陣22m以内から敵陣へ、直接ではなく蹴りだした場合、マイボールのラインアウトで試合を再開する。
根拠:タッチに蹴らせることを防ぐために、ディフェンスラインから相手の選手の後退を強制させてスペースを作る。
提案:試験的導入を承認する。

まず、上記にあるようにこのルール改正には2パターンあります。
1.自陣から敵陣22m以内
2.自陣22m以内から敵陣

の2つです。1の方は皆さんのイメージにもあるとは思いますが、2の方は僕の中では衝撃的でした。
このルールを見たときに一番はキックの重要性が高まるなと思いました。

仮にこのルールが採用されたときに起こり得る可能性を考えました。


①DFシステムの変化

特にBK3の陣形が大きく変わる可能性があります。エリアに関係はしてきますが、常に左右の後ろを守る人間が必要になってきてしまいます。

一つ目の図は従来のパターンにあった3人で裏のスペースを守るシステムです。このシステムの良いところは、後ろのスペースを3人で共有して守ることです。WTBを両方前のDFラインに上がることが可能なので最大で14人(SH含め)で守ることができます。欠点でいうと3人で1列目の外側のスペースと裏のスペースを抑えないといけないので、運動量が求められます。裏のスペースを守ることを優先するよりも、1列目の人数を増やすことが目的としているシステムです。

ですが、このルールが適用された際には、後ろのスペースを何よりも優先して考える必要があると思います。
そこで僕なりに考えたシステムが以下です。

最初に考えたことは裏の人数です。絶対に両サイド一人ずつほしいので、裏の人間はほとんど動くことのないポジショニングをする人を配置します。配置するポジションは比較的キック処理に慣れているSOとFBの選手が望ましいのではというところです。
こうすることで、確実に後ろのスペースを消すことができるので前にいる人間は後ろスペースを気にすることなくDFすることができるようになります。欠点は後ろが万全なのに比べて、前の人数が少なくなってしまうということです。


②キックの重要度up

今までラグビー界でキックを蹴ることのできる選手はあまり多くはいませんでした。キックスキルの必要性がまだまだ認識されていませんでした。特に、BK3の選手でキックを蹴ることのできない選手は多くいると思います。どのタイミングでこのルールが適用されるのかはわかりませんが、一番の変化としてBK3(特にWTB)の選手に必要なスキルとしてキックスキル、キック処理能力が必要不可欠になってくると予想できます。
また、SOがキックをする回数が増えることも容易に予想がつきますが、先ほど紹介したDFシステムだとSOからのキックに対応することのできる人間は必ずいるので、あまり有効的なキックを行うことはできません。
では、どうすればよいのでしょうか?答えはCTBやFBからのキックになります。SOからパスを受けることにより、相手のDFを動かすことができます。SOが持っている時点ではWTBは上がってきませんが、パスをすると前に上がっているケースがあります。その際、入れ違いになるようにキックを選択できると大幅なチャンスに繋がります。

いずれにせよ、キックというオプションの価値が高まることは確実に言えます。その中でも、コントロールが一番重要視されるでしょう。自陣にいても、遠くに飛ばせばよいのではなく、直接ではなく蹴りだすことができれば、一度手放したボールがマイボールラインアウトで再開できるのでキックの考え方が大きく変わります。


③ラインアウトの精度

キックの回数が増える事が予想されます。それに伴いラインアウトの回数が増えることになります。ラインアウトが増えることのメリットは、scrumよりも安定したボールをBKに供給することができるということ。また、相手の分析が難しいこと。対応策が多くあることがあげられます。ですので、ATがかなり自分たちの意図するATをすることができます。
では、デメリットはこの逆です。分析が難しいこと、相手の好きなようにATをされてしまうことです。なので、ラインアウトでの駆け引きがとても重要になります。多くのチームではATの練習は多く行うと思いますが、今回は逆でDFがキーポイントになってきます。
相手を分析し、その分析通りにいかない時にも対応できるよう、今まで以上の練習をする必要があると思います。
また、ラインアウトモールはとても有効的な手段になり、得点源になります。これによってモールDFの重要性も顕著になるかもしれません。


④scrumが重要視されなくなる?

これは簡単に考えることができます。試合中にラインアウトが増えるため、練習としてはそちらにより多くの時間を割く必要があるため起こりうることです。また、徐々にscrumのルール変更があります。傾向としてはスクラムに時間をかけずなるべくインプレー時間を増やそうという流れなので、レフリーの方もスクラムにかける時間は削減しようとするかもしれません。
なので、練習の中でもscrumは重要視されなくなるのでは?と感じました。ですが、打って変わってどのチームの練習がおろそかになる可能性があるscrumをチームの強みとすることは一つの戦術だと思います。ラインアウトは一時的にも工夫することができますが、scrumは時間をかけ練習をした集大成が実力なので簡単に強くなることや誤魔化しはきかないので強みにはなり得ます。


キックという手段がもつ可能性を最大限に活かすことができるルールにはなってきますが、根本的にラグビーの考え方が変わる可能性があるので、導入にはかなりの試験と考察を行う必要があると思います。


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岸岡智樹/Kishioka Tomoki

枚方RS/蹉跎中学/仰星高校/早稲田大学/Rugby Player
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