デザインの散文

コミュニケーションでミスした時にデザイナーとして考えたこと

言葉でのコミュニケーションとクリエティブ制作について。Schoo全体のクリエティブを見るデザイナーとして、コミュニケーションでミスった時に考えたこと。

SchooのPhilosophy / laboratory#105

まずは、会社の哲学の話から。laboratory#105とは、Schooが生まれたアパートの一室#105のように初心を忘れずに実験し続ける思いが込められている。ラボというように、誰よりも学習し、変化し、尊重し、結果としてそれが生み出す原動力になる。とはいえ、大抵のことはシンキングで終わってしまう。ビジョンは明快でもビジュアルに落とし込めてないというのは理想論と言われてお終いだ。そのことに気づけるデザイナーが間に立って、シンキングからメイキングへと、作ることへと先導する必要がある。とは言えアウトプット量に対してデザイナーは常に少ない。だからこそデザイナー以外の人にもデザインプロセスに積極的に参加してもらいクリティカルメイキング(批判的ものづくり)を手引きしたい。

デザイナーの審美眼

デザイナー目は特殊だ。それは建築史、評論家の五十嵐太郎さんの『美しい都市・醜い都市 現代景観論(中公新書ラクレ)』の中でも記されている。

大学の建築学科の一年生に対して美しいと思う建築と醜い建築を探して、写真で撮影するレポートを学生に出した。...(中略)...著者にとって、到底美しいとは思えない建築が美しいものとして数多く挙げられていただけではなく、醜い建築として挙げられたものの方が美しいと思える事例も少なくなかったのだ。(『美しい都市・醜い都市 現代景観論(中公新書ラクレ)』p16,17)

一年生の感性はデザインを学んでいない多くの人に近いものであろう。ちなみに学年が上がると結果が変わることから、学習することによって審美眼が鍛えられることがわかる。つまり、デザイナーである僕らの目は、デザインを学ぶ中でついたフィルターを通して見ていて、学んでいない人には気づくことができない、風景に気づき差別化している。

ネルソングッドマンの『世界制作の方法』によると、世界は「制作」することで生まれ、それはいくつかのヴァージョンを作ることができる。サービスを作ることは、長期的に支持される正しいバージョンを作ることに意味がある。制作することに身近にいるデザイナーこそ、必要に対して正しいヴァージョンを見極める力が必要となる。

コミュニケーションとデザイン

サービスデザインは当然、1人ではできない。体験する人がいて、エンジニア、ディレクター、営業、企画...挙げて行くときりが無いくらいだ。僕は彼らとコミュニケーションを通してSchooを通っている。デザイナーとエンジニアが、企画と仲が悪いとか、よく聞く話で僕自身やらかした経験がある。「不機嫌とは犯罪である」 ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』の一節で、人の気分を損ねることは犯罪であると。また、アランの『幸福論』でも上機嫌である事を道徳論の第一位に置くと記されているし、不機嫌であることは自らに負の連鎖しか起こさないと。思ったことを内に閉じ込めるのは違うけれど、相手を尊重することは大事だし、デザインプロセスに支障が出ることは制作にとっていいことではない。

Airbnbから学ぶ完璧主義の欠点

やらかしてしまった。このような問題に対して先を行くデザイナーの事例から学んでみる。Airbnbの創業者でデザイナー出身のジョー・ケビアは、最上級のクリエィティブを求める完璧主義者であり、行きすぎた結果としてメンバーとコミュニケーションを円滑に行う環境を失い、ミスが報告されない悪循環を生み出してしまった。そこで彼は「80%でいい」という新しいスローガンを取り入れた。そして、余裕が生まれることで積極的にコミュニケーションが行える場所を生み出すことに成功した。立場が違うので、そのまま引用することはできないけれど、他者に対して不機嫌な態度をとることはコミュニケーションを阻害するし、変化の早いスタートアップに置いて致命的だ。デザイナーとして100%のクリエィティブに拘ることに固執して、相手を尊重することを忘れてしまっては、コミュニケーションによって遅延し負の連鎖がクリエィティブから会社の組織、さらには文化を破壊してしまっては本末転倒である。文化を壊すことはクリエィティブであることと反対のことである。そのためにも、何が来ても動ける隙間とか余裕の大切さを感じる。

Schooでの隙間の作り方

サービスすべてのクリエィティブをチェックする」以前書いたテキストにて、Schooのクリエティブをチェックするフローについたが、実は少し名前を変更してチェックからハックに変えた。これは、チェックするという息苦しい業務よりも、ハックというもっと良くするにはアイデアはないか?という行為の方が会社の文化やデザイン行為にあっているのではないかと思い変更した。小さいことだけど、最低ラインを守る場所から、アイデアを加え挑戦できる場所への変化は実践して見ると大きく感じる。という訳で、小さいところでも少し隙間を作ってみてはいかがだろうか?

こちらSchooのアドベントカレンダーの記念すべき1日目より

ここまでスクロールしていただけて嬉しいので、間違いなく嬉しい。