デザインの散文_008

デザイナーとしてのコンセプト

“らしさ”の複合体を作る ー

 手紙だと154mm x 107mm、Twitterだと140文字、その枠の中に何を込めるか試行錯誤する。言いたいことを全て書き出したところで、その中に“らしさ”が無ければ無数にある商品の中で薄れ何もなかったことになる。資本主義とはそもそも、貨幣によって商品を等価値に変換していった。それはつまり多くの商品の中に埋もれていくこと、それに対抗するためにはメッセージを届ける相手に名前と“らしさ”を伝え無名の商品から固有名へと変化させていく必要性がある。

 最初の話に戻ると、相手に思いを伝えたい。その相手はびっしりと書かれた手紙に心動かされるだろうか、いや相手の性格を考えると選び抜いた1つのメッセージが良いはずだ。それは、手紙ではなくTwitterの方が向いているかもしれない。伝えるための選択枠が無数にあったとしても、ビジョンとサービスにある“らしさ”が伝わる方法を模索、選択することが私のデザイナーとしての仕事だ。

美術家 / デザイナー  
1989年生まれの宮崎県出身。Schooデザイナー、芸術写真の実践の場「Plot」主宰。主な展示は『無限スクロールの終わる夜に』(2018/KOBE819GALLERY)、『死から不死へ』(2015/KOBE819GALLERY)。

ここまでスクロールしていただけて嬉しいので、間違いなく嬉しい。