デザインの散文_005

着飾らないで京都を歩く

四条の小さなバーを出て、朝日の下の鴨川上る。

とりあえずで京都の目的地を決めている人はご一読ください。私は小中高(6年)と社会人で2年と計8年ほど京都に住んでいました。東京在住でたまに京都に帰ります。いつも必ず行く場所と買うお菓子があるので、派手さはありませんがはんなりご紹介します。

プロローグ
1. 建築家に愛される借景が残る円通寺
2. 世界遺産下鴨神社のお茶&お菓子
3. 鴨川

建築を学んだ身として、京都に行くと陰翳礼讃(谷崎潤一郎)の最後の一文にあるような文藝の中だけで生きている陰翳の風景に出会えるのではないかとわくわくします。

 いつも京都の玄関口の原弘司設計のエロい京都駅で感動して、野暮ったい京都タワーを見て安堵します。その眼下に広がるのは人。清水寺や金閣寺といった観光地はどこも人。陰翳礼讃している間はありません。お寺でも庭園でも人が通れる場所は決まっている。飛石のリズムが変わり、立ち止まるべき場所で止まることは許されません。京都にそれなりに住むと、観光客が少ない場所の知見が溜まって行きます。交通が不便な所も多いですが、平安神宮の裏の庭園など意外と人の少ないB級スポットが多数存在しています。

1. 建築家に愛される借景が残る円通寺

借景はご存知でしょうか?借景とは名前の通り、敷地の外にある風景を借りて表現されている庭園のことを指します。その何が珍しいかと言うと、京都でも借景はいくつかありました、しかし、都市開発の影響を受けて多くの借景が失われてしまいました。なぜなら、遠景の景色を止めるような建物が建てられしまっては簡単に失われてしまいます。

紹介する円通寺では、その風景が今も生きている貴重な庭園です。比叡山が綺麗に見え、庭の作りから建物の柱や軒まで全て計算に入れて手入れされているので意見の価値があり楽しむことができます。四季によって雰囲気も変わるので、いつ行っても新しい発見があります。また、途中流れる和尚の解説BGMが良い声でクセになります。場所ですが、駅から離れていてバスかタクシーが一般的ですが、余裕があれば幽霊の出る深泥池があったりと面白いので歩くことをおすすめします。

2. 世界遺産下鴨神社のお茶&お菓子

東京来るまでは、すぐ近くに住んでいて通勤する時に中を通って通っていました。下鴨神社の中にある糺の森は街中なのに、人の手が入っていない原生林です。そのためか他の観光地のようにお土産屋さんがほとんどなく実は京都内でも静かな場所の1つです。境内に唯一ある茶店「さるや宝泉」ここの黒豆茶と黒豆のしぼり豆が好きで、いつも買って帰ります。陰翳礼讃では暗闇で食べる羊羹を褒め称えています。私は羊羹が苦手なのでしぼり豆で陰翳を楽しむことにしています。(下鴨はみたらし団子が有名です。)京都の老舗和菓子店「あずき処 宝泉堂」こちらは新幹線京都駅にもあります。
アニメのように下鴨では運が良ければたぬきにも出会えます。(経験談)

3. 鴨川

鴨川と言えば四条通りから三条通りにかけてのエリアが有名です。カップルが横に並ぶあの場所ですね。そこは置いといて川を北上して見てください、上半身裸のおじさん、楽器の練習をする音大生、サッカーの教室などなど、生活感が溢れています。着飾っていない京都に出会える良いスポットです。上から食べ物を狙うトンビにさえ気をつけてさえ入ればですが。

私にとって京都は芸術家を始め泥臭く活動してきた背景からも、人間臭い街だと思っています。変な飲み屋やバーもたくさんあります。観光地なんて無視して自分の価値感を持って彷徨うと何かに化かされるかもしれません。

Schooアドベントカレンダーより


ここまでスクロールしていただけて嬉しいので、間違いなく嬉しい。