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サッカー日本代表帯同ドクター 土肥美智子

久々の書評です。
今回ピックアップしたのはこちらの本です。

サッカー日本代表のチームドクターを務める土肥美智子先生が書かれました。
2019/8/31発売なのでかなり新しいです。

主な内容は3つ(実際の目次通りではありません)。
①チームドクターとしての業務とは?
②現代スポーツ医学とは?
③著者のドクターとしてのキャリアについて

著者が正式に代表チームのドクターに就任したのは、2012年ロンドンオリンピックのなでしこジャパンの時です。その後2015年女子ワールドカップカナダ大会を経て、2016年ハリルホジッチ監督の要請があり、男子チームのドクターに就任しました。
それまでも各大会(プロアマ問わず)ごとにチームに帯同したことはあったようですが、正式な就任は2012年ロンドンオリンピックの時のようです。は

ドクターとしての仕事は多岐にわたります。
大きく分けて2つあります。

1つは直接選手を診察・治療したり、薬を投与したり、選手に対して行う仕事です。

もう1つは煩雑な事務手続きです。
どの選手がどういう治療・診察を受けたのか、薬を投与したのかは選手の所属元チームのドクターに報告することです。
他にもワールドカップのような大きな国際大会前だとこれらを書類で提出をする時もあるようです。
また医薬品についても、海外に遠征する時は、日本では合法な医薬品でもその国では違法だったりする時もあるので、必ず確認します。
海外遠征時に利用できる病院も事前に視察します。
海外に行って、そこで選手が負傷(病気)になった時に初めて病院を探していては遅いのです。

最近のサッカー環境で懸念されている医療問題として脳震盪の問題があります。
試合中、選手は自らの意志に関わらず、ドクターがストップを出せば、プレーを止めなければなりません。
それだけ頭部の接触は危険だということです。
以前長友選手が槙野選手と頭部接触した時もドクターストップをかけ、チームの活動から離脱させたのは、適切な判断だったと記載がありました。


日本におけるスポーツ医学についての意見としては、特に現場レベルではまだまだ至らない点が多いと思います。
特に夏の高校野球なんて特にそうですよね。
こんな殺人的な熱さの中で野球をするなんて、医学的にはあり得ないと思います。
しかも選手達はプロではなく高校生ですよ。う~ん。

スポーツは男性も女性も行います。しかし、スポーツドクターは圧倒的に女性が少ない世界です。なので「日本国内ではパイオニア的な立場」になり、その波にうまく乗れたようです。
巻末には女性のスポーツドクターの存在は当たり前過ぎるようになって欲しいと仰っています。

昨年は医学部を受験する女性の差別的な問題もありました。
こういったところから改善が図られるとまた日本のスポーツレベルも上がると思います。



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