もしかしたらあなたと同じかもしれないし、全然違うかもしれない。私が落とし込んだ「染、色」の話を聞いてください。

⚠︎ネタバレあります

⚠︎「染、色」未了の方は見逃し配信を見てから読んでいただき、そのあともう一度見てもらうのが一番良いと思います。

舞台「染、色」
見逃し配信　〜7/11(日)23:59まで
https://online.johnnys-net.jp/s/jno/page/senshoku

・舞台

とにかく洒落ている。グラフィックアート、音楽、振り付け、美術、そして脚本。とてもお洒落な作品を観たというのが初見の感想。

・脚本

平凡な主人公の青春群像劇だと思っていた、途中までは。物語が不穏な空気を醸し出すのが中盤、さらにひっくり返される終盤。これは少なくとも二度観たくなる演劇だと思った。実際にリチャビバちぇ晶哉は2回観に来ていた。

・深馬と真未

新しいものが描けない深馬と伸び伸びと描く真未。

「真未は絵を描くのをやめようと思ったこと、ないの？」
「ないね。深馬は歩くのやめられる？」

この二人、実はひとり。
そう思って観てみるとたくさんのヒントが散りばめられていた。

「君、名前は何ていうの？」
「真未。」
「真未か。」
「君は？」
「深馬。」
「深馬、真未。ま行だらけだね。」

みうま　と　まみ。

二人とも右利き。
真未はあまり微笑まない子だけど、グラフィティーを描いてくときにたまたま深馬と真未の笑顔がシンクロする瞬間があってドキッとした。

「ねえ、指が6本あるとしたら何て名前だと思う？」

軽妙なやり取りをし合う天才の会話。これもひとりの中で行われてるならその早さにも納得する。

孫指とかだめだからね。それが家族かどうかなんて分からないから。
スピ指。不採用。第六感とかけたんだけど。霊感を指に委ねないで。
二股指。不採用。可哀想。
犯人はお前だ指。それは人差し指の仕事じゃん。
アスファルトから咲くたんぽぽ指。中指をそう呼ぶべきだね。
卑猥な大根指。
曲がったモヒカン指。
先生の「で！」っていう口癖指。
スターバックスの緑茶指。
知らない人の第二ボタン指。
シメのラーメン指。
その後のバニラアイス指。
次の日の胸焼け指。
三日酔いの迎酒指。
大喜利させんなよ。
うち、来る？

(これ覚えるの得意だったフォロワーさんと韓国料理屋で「いらねー（笑）」ってなったの楽しかったね)

深馬が意識を失ったりいなくなったら出てくる(はけたところから出てくる)真未もヒント。
瀬戸山さんの演出だからって連れて行った物書きの友人は恐竜のシーンで気付いてた。さすがに早い（笑）
この友人が「二重人格(解離性同一性障害)で異性か」って漏らして、トリックとして使うには納得いかないって感じなのかなと私は受け取った。

この疑問を解決してくれたのがフォロワーさんが山羊と蛇から連想したキーワード「キマイラ」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%A9

キマイラは娘。

このWiki読んでいろいろなことが染、色と重なった。
・山羊に深馬(シンバ、ライオン)が蛇を描き足す
・春夏冬(あきなし)は深馬がこだわってた秋の桜を思わざるを得ない
・「恋愛における相手への強い衝動」「速やかな恋の成就」「失望や悔恨」どれも戯曲の中にある
・「理解できない夢」と結論づけてしまっても良いんだという安堵

そして震えたのが、
・染色から染、色になるまで、染色体の連想が一度はあったに違いないということ
・キメラとは1人が2セットのDNAを持つ稀な遺伝子現象。子宮の中で二卵性双生児が融合する(not一卵性)
・ポリダクトリーの意味は多肢症、指の多い人。寄生性双生児の連想。(原作ではHANDS)

ここでシゲアキやっぱり天才だなとなる。何度観劇されても何度掘り起こされても耐えうる作品を作っている。

ここから私の3度目の観劇。物語を紐解きたくてシーンの流れを意識して観るようになる。

「理解できない感覚が気持ちいいだけ。酔っ払ってるんだよ。」

考えて上記の状態になっては、これはさすがに先入観すぎる…とキッパリ諦めたり、そうやって染、色のことをずっと考えている期間が、染まっていくってこととも重なっていった。

→続く

舞台「染、色」
2021/5/29〜6/20 東京グローブ座
6/24〜6/30 梅芸シアタードラマシティ
全35公演
主演：正門良規
出演：三浦透子、松島庄汰、小日向星一、黒崎レイナ、岡田義徳
脚本：加藤シゲアキ
演出：瀬戸山美咲
配信　7/9(金)19:00〜
見逃し配信　〜7/11(日)23:59まで
https://online.johnnys-net.jp/s/jno/page/senshoku