見出し画像

交通渋滞はなぜ起こる?【第4回ワッティーってなに?】

プノンペンで一番心配なことは?

東南アジアの渋滞の問題は年々深刻化している。特にインドネシア・ジャカルタなどは深刻で、目の鼻先の場所でも数時間がかかってしまうことは日常茶飯事らしい。

プノンペンも例に漏れず、年々交通渋滞が深刻化している都市のひとつだ。
(とはいえ、2021年現在はコロナの影響で交通渋滞はほとんど発生はしていない。)

そして、初めてカンボジアへ来る人は地雷やマラリアなどの、いかにも発展途上国感があるものに不安を感じるかもしれない。しかし、実際プノンペンで住んでいて、一番身近でリアルに恐ろしいのが交通事故だったりする。

そういったプノンペンの交通渋滞や交通事故についてのワッティーのアニメーションを、2016年に国際協力機構(JICA)といっしょに作ることになった。

画像1

この動画を作るにあたって、プノンペンの街を上空から空撮した。2016年当時はまだ少し珍しかったドローンだが、JICA経由で正式な撮影許可も取ルことができた。
初めて業務でドローンを使用した案件だったので、かなり緊張しながら撮影をしたのを覚えている。プノンペンの目抜き通りのモニボンストリートは交通量も多いので、もし墜落しようものなら大事故になってしまっただろう。

名称未設定-2

なぜカンボジアで渋滞が年々増えているのだろうか?

まずデータでわかるのは、プノンペンの人口が爆発的に増えていることだ。そしてそれに伴って、プノンペン市と呼ばれる地区は年々拡張している。それまでは沼地や荒野だったところがプノンペン市と呼ばれ場所が広がっているが、道路などは未整備な地区が多い。早急な道路インフラの整備が必要となっていた。

こういったグラフや地図などのデータを、アニメーションを使ったインフォグラフィックスで、よりわかりやすくすることを意識しながら制作した。

名称未設定-2

そして、それに比例して車の量が増えている。所得増加による車両保有台数の増加しているのもグラフをみても一目瞭然だろう。

プノンペンに初めてきた人が最初に驚くのが、日本の高級車のレクサスの多さだ。原付バイクが多いことは想像できるだろうが、大型の高級車がどこもかしこも走っているので違和感を感じるのではないだろうか。カンボジア人は土地などを売却した利益を、銀行に貯金するのではなく、実用的な高級車を購入して資産として考える傾向にあるのだ。

名称未設定-2

原因は?

そこで、日本の国際協力機構(JICA)はODA技術協力プロジェクトとして、信号機路線バス道路拡張の支援など色々な手を打っている。

しかし、交通渋滞の大きな原因のひとつとして、プノンペン市民の交通マナーの悪さが上がる。

信号無視、逆走、禁止場所でのUターン、違法駐車、ノーヘル。そして三人乗りは当たり前、四人乗り五人すらもある程だ。

実際、実写部分の撮影では、待機時間が必要ないほど簡単に信号無視や逆走シーンを撮影を撮影することができてしまった。(顔を映らないように配慮も対応)

名称未設定-2

違法駐車の種類や、信号での右左折のルールなどをアニメーションで表現した。残念ながら、自動車教習所に行かず車の運転している人が多いのが、今のプノンペンの実情だ。そんな無免許のカンボジアの方々が見ても、わかりやすいように表現方法は工夫していく。

名称未設定-2

渋滞緩和の対応策

プノンペンの各交差点の信号機器、制御システムが統一されていないため、交通量や流れと無関係に信号は表示されていた。JICAの技術協力プロジェクトでは新たに信号機を設置し直して、制御システムが統一するプロジェクトが進められていた。

名称未設定-2

今回のプロジェクトで『信号機設置デザイナー』の方ともお会いする機会があった。パズルのように複雑な都市交通をより効率的にするために、信号の位置を考える職業があるということを初めて知った。こういった、今まで会ったことがない種類の方々と出会えるのも、JICAや非営利団体の方々といっしょに働いて面白い部分だ。

名称未設定-2

そして郊外の拡張工事や、交差点ではなく立体橋を作ることにより、渋滞緩和する施策が色々ととられている。

こうした立体橋はスカイブリッジと呼ばれ、私がプノンペンへ初めて来た9年前には市内に一箇所しかなかった。案内してくれたカンボジア人の方に、誇らしげにスカイブリッジを説明されたのを覚えている。今思えば、プノンペン都市化の象徴だったのだろう。そんなスカイブリッジも、最近ではプノンペン市内では珍しくなくなている。

名称未設定-2

そして、日本政府は路線バスをプノンペン市へ寄贈し、公共バスの運行サービスの改善・促進などの支援も行なっている。(現在はコロナ禍ということもあり、公共バスは停止しており、日本寄贈伸バスは空港から隔離ホテルのシャトルバスとして使われていたりする。)

カンボジアでは電車・バスなどの公共交通機関が全くなかったのだ。

名称未設定-2

この渋滞緩和に向けたワッティー動画は制作後、JICAプノンペン事務所のFacebookページや国営放送の番組で取り上げられ配信された。カンボジアの方々からも、プノンペンの交通マナーの悪さには思うところが多かったらしく、共感の声をたくさん頂くことができた。

啓発動画というと堅苦しくて、つまらない印象ではないだろうか。日本のJICAが作る啓発動画が、日本の文化アニメーションで作るということにより、カンボジアの方々にも受け入れてもらうことができたのではないかと思っている。

そしてこの動画の反響が、JICAカンボジアといっしょに多くの啓発動画を作らせてもらうをきっかけになったのは間違いないだろう。

【Traffic Problem with Watty & Indy/បញ្ហាចរាចរណ៍ជាមួយ Watty និង Indy】 This Video tells us about traffic problem in our...

Posted by JICA Cambodia Office - JICA カンボジア事務所 on Tuesday, October 18, 2016

ちなみに、この動画がワッティーとインディーの掛け合いデビュー作だ。(クメール体操ではワッティーもインディーも喋っていなかった。)

元々の設定では、ワッティーはのんびりした性格で天然、インディーはサッカー好きの活発な性格のはずだった。しかし啓発動画という特性上、ワッティーが先生役、インディーがものを知らないボケ役となり、役割がひっくり返ってしまった。

いつも読んでくれてありがとうございます!! サポートして頂いた金額は、一般社団法人ソーシャルコンパスの活動に使わせて頂きます!もしくは、いっしょに何か面白いことをやりましょう!! 連絡待ってます!