今回は、人気お菓子メーカーの株式会社明治が展開した、SNS時代に相応しいバレンタインの新しい楽しみ方を提案するプロモーションに焦点を当て、私たち独自の視点で解説します。「バレンタインをさまざまな人々がもっと自由に楽しむこと」という願いから誕生した、あらゆる「推し」への愛情を表現する施策の背景に迫ります！

【Z世代の声を生かした「推し」への多様な愛情表現】

このプロモーションでは、Z世代の率直な意見を取り入れて企画されました。企画の裏側に迫る座談会を通じて明らかにされたように、すべての人が多様な愛情表現でバレンタインを楽しめるようなプロモーションを検討。そこで生まれたのが「好きを、推しに。#推しチョコバレンタイン」というプロモーションです。

推し活の対象は、アイドルやアニメキャラクターに限らず、家族、友人、ペット、場所、趣味など生活全般に及びます。広がりを持つ「推し」への愛情表現は、時代のニーズとSNSならではの表現に見事にマッチしていたといえるでしょう。プロモーションサイトでは、「リアル推し」「有名人・二次元推し」「エクストリーム推し」というカテゴリを設け、それぞれの愛情表現方法を図鑑のように紹介。「私のことだ！」といった共感を呼ぶだけでなく、新しい発見や気づきを提供する、創造性に富んだ多方向でのコミュニケーションを実現した見せ方となっています。

【多面的な話題作り！あらゆるSNSで施策を展開】

プロモーションサイトの他に、バレンタインシーズンを盛り上げるため、TikTokでは投稿キャンペーンが展開されました。さらに、Instagramや他のソーシャルメディアプラットフォームでは、目を引く仕掛けで注目を集めました。

特にInstagramでは、大工さんとのコラボレーションが話題に。本気でチョコレートでコロッセオを制作したリール動画は、大反響を呼び、86.5万件のいいね、4000件以上のコメント、そして驚異的な2371万回の再生を達成しました。クリエイターと共に価値を創造するこのような施策は、Instagramのクリエイティブな世界観にぴったり合っています。

Xでは、バレンタインに向けた熱量を高めるアプローチとして、フォロー＆リポストを通じたチーム対抗キャンペーンを実施していました。人気商品をテーマにした3つのチームが競い合う形式でキャンペーンを展開。最終的に、各チームの投稿は数万に及ぶリポストといいねを集め、大きな盛り上がりを見せました。チーム対抗戦であったため、参加者の競争心を刺激し、それぞれの商品ファンのエンゲージメントをさらに高める機会となったと考えられます。

さらに、明治の公式ホームページで公開された「超巨大アポロ」のレシピが注目を集め、Xで急速に拡散しました。ツッコミどころ溢れるレシピだったことで、様々なWebメディアに取り上げられ話題となりました。公式SNSでは直接の投稿は確認できませんでしたが、プロモーションサイトでは超巨大アポロに関する言及があり、今回のプロモーション活動の一環であったことが推測されます。

今回の「#推しチョコバレンタイン」プロモーションは、TikTok、Instagram、X、そして公式サイト上のレシピといった、幅広い媒体を利用して、それぞれの媒体特性に合わせた施策を多角的に展開しました。これらは、バレンタインというイベントを新しい方法で楽しむきっかけを提供しより多くの認知を得るために、現代のSNS時代において理想的なプロモーションであったのではないでしょうか。生活者が日常的に触れるSNSで目にしたうえで、店頭などで「明治のチョコ」を目にすることにより、「バレンタインといえば明治のチョコ」「チョコといえば明治」といった印象を強く印象づけることができたのではないかと考えられます。

各SNS媒体の特性を活かしたプロモーションを展開するうえでも非常に参考になる事例です。この事例をヒントに、自社の場合にどのようなアプローチが効果的か、過去の施策を振り返りつつ、今後の戦略についてディスカッションする機会を社内で設けてみてはいかがでしょうか。

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