講義ノート②『男と女の文化史』Week3:男とを滅ぼす女(ドイツ文学の女性像)(gacco)

・ローレライ。岩山の上に座っていて、美貌と歌声で男を惑わせ、船でライン川を降りてくる男を座礁させる絶世の美女。ハインリヒ・ハイネ(ドイツ人)の詩の中に出てきて、歌にもなっている。

・ホメロスの『オデュッセイア』に出てくる歌の力で人を幻惑するセイレーンが出てくるが、姿は鳥のようなもの。しかし、ハインリヒ・ハイネの『ローレライ』のローレライは歌の力と美貌を兼ね備えている、岩山に住まう伝説の魔女である。

・エルンストによると、ゲーテの詩『トゥーレの王』に、ローレライの山に声をかけると小人が未来を予言してくれる、という部分がある。しかし、ローレライの山にいるのが”女”だとされたのは近現代になってからであり、ハイネの詩の中にある「…というローレライの話は昔話だ」というのは正しくはない。

・クレーメンス・ブレンターノが初めて、ローレライを小人ではなく美女だと描いた。ローレライは男を惑わす(=魔女である)罪で魔女裁判にかけられるが、あまりの美しさに裁判官まで彼女に魅了されている。しかし、ハイネが魔女として描いたのに対し、ブレンターノは彼女を、一人の男を最期まで愛した人間の女として描いている。

・ブレンターノはこの「最期まで一人の男を愛する美女」という設定を、『ニーベルンゲンの歌』から得たのではないかと思われる。『ニーベルンゲンの歌』主人公の美女クリエムヒルトは、自分の夫を殺された復讐をするために、フン族の王と再婚し、結果家族と自分の命を奪うことになる。

・ミンネ=ドイツ語で「愛」。しかし、文学におけるミンネは、騎士が既婚の女性を愛することで自身を高めていくという意味合いがあった。これは頭の中で女性を理想化していくものともいえる。

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