中学生の時、小遣い稼ぎで新聞配達をしていました。

その小遣いで買ったラジカセでエアチェックして（その頃はラジオを録音することをそう言っていた）、お気に入りの曲は何度も繰り返し聞いていた。そのお気に入りの曲のひとつにプリンスの曲があった。

静かなピアノメロディに乗せて語るような歌声と情熱むき出しの声が交じる曲。歌詞も知らないのにラブソングだと思いこんで、恋愛未経験で童貞の中学生が「恋愛とはそれほど狂おしく切なくなるものなのか」「生きるって素晴らしい」と未体験ゾーンを妄想する仮想現実世界な曲だった。意味もわからないくせに少し大人を体験した気になって目頭を熱くして何度も聴いた。早朝に目覚めたベッドの中でその曲を聞いてから配達に出かけた。

その曲はパープルレイン、だと思いこんだまま中学卒業した後、どうやら違うと気がついた。メジャーヒットのどれでもなく、何年探しても同じ曲が見つからず「好きな曲の曲名が判らない」という小さな悔しさを持ち続けた。

あれから40年近く経って、もはやどんな曲だったか忘れかかっていた先日、たまたま出会った動画がこれ。………　この曲があの曲かもしれない。
曲の美しさや聴いて切なくなる感覚に何だか覚えがある…　きっとこれだ。

間違いない。これだ。

当然収録盤を探します。なぜかインストゥルメンタルばかりだったけど、とうとう見つけました。この28曲目、God ("Purple Rain" 7" B-Side) です。

リリースは沢山あるのに歌付Godの収録盤は全然無い。その理由は判わからないけど、全然見つからなかった理由が解わかって胸のつかえが取れました。

しかし、ずいぶんマセた中学生だったんだな（笑）