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路上生活者受け入れ拒否の件からマジョリティの視点を探る

12日、台風19号が東京都に上陸した。私は、秋田にいたので、状況は分からなかったが、甚大な被害を及ぼしたことだけは分かりました。そんな中、あるニュースが議論を醸しています。ホームレス状態にある二人が、自主避難所である区立忍岡小学校に避難をしようとした際に、「住所が無い」という発言をしたため、区民以外の者は利用対象者ではないとの理由で、避難所の利用を拒否したそう。

このニュースを耳にした際、「路上生活者の人間としての尊厳は守られないのだろうか」とか、「避難をしなければならない状況で、なぜ避難を拒否できたのだろうか」とか、様々な想いを巡らせました。しかし、この1件は、差別・偏見が生産されるプロセスを浮き彫りにしました。それを浮き彫りにしたのは、このニュースに対するコメントたち。

「受け入れるべきだと思うが、実際自分も一緒の避難所にいたら、正直嫌だなと思っちゃう気がする」

「他の方とは別スペースを作るとか、そういう対応ができたのであれば、そういうふうにすべきだったんじゃないかなと思う」

「人間なので、助けてあげたいという気持ちはあるが、子どもがいると、どうしても衛生面が気になってしまう。そこの問題をクリアすれば、同じ空間でもいいかな。」

これらは、某テレビ番組の街頭インタビューにて、一般の方々がしたコメントです。これらのコメントから、主に2つの差別が起こる理由を考えました。「嫌だの理由を突き詰めない(突き詰める事ができない)ことの恐ろしさ」と「自分(と自分と"同じ"人間)の権利が優先されるべきという主張の恐ろしさ」です。

嫌だの理由を突き詰めないことの恐ろしさ

なぜ嫌なのか。その理由をつきつめない結果、その先に待っているのは、差別、偏見、そして憎悪の連鎖です。「避難所にいたら、正直嫌だなと思っちゃう気がする。」と聞いたときに、その理由が全く述べられていない。「ホームレス状態」というレッテル?臭い?衛生?怖いから?怖いにしても何故怖いのか?実際に関わったことがないから?ならば、関われば良い。本当に、「嫌だ」という感情に行き着くまでに十分な回数の「なぜ?」を自分に問えば良い。それを、社会全体が避けることで起きるのが、差別・偏見・憎悪の歴史です。今でも、「黒人は汚そう」とか、「ゲイはなんとなく気持ち悪い」とかいう意見を聞くことがあるが、「なぜ汚いと思うのか?」「なぜ気持ち悪いと思うのか?」と考えたことがあるかと聞くと、大半の答えは、Noです。自分が、ある一定の人に対して「嫌だ」と思い始めたときに、「何故だろう?」と問うことから始めて欲しい。

自分(と自分と"同じ"人間)の権利が優先されるべきという主張

3つのコメントに共通する考えは、「自分と自分と同じ人の権利が優先されるべき」という無意識的な思考だと思います。つまり、今回の件であれば、「住所を持っている私達」と「路上生活者」に無意識的に分類し、「住所を持っている私達」の権利が優先されるべきと考えていることが分かります。

人間って、すぐにこういう考えに陥りやすいと思うんです。特に自分がマジョリティの立場に立っているとき、「自分が今得ている権利を少しでも失いたくない」という気持ちが働いてしまう。権利のあるものが、権利の無いものに手を差し伸べないと、世の中は変わらない。

そもそもホームレス状態に陥った自分が悪いという自己責任論

上記の2つのコメントとは別に、このような論理を展開する人もいました。この種類の主張をしている人がもし読者にいれば、一旦立ち止まって考えてみて欲しいです。自分がホームレス状態にならなかった要因は無かったのか。全ての人に、自分が持っている能力・機会があるのか。あなたは、もしかしたら、社会のヒエラルキーの上位層にいて、その中で懸命に闘ってきて、今の地位を築いていたのかもしれない。あなたは、もしかしたら、社会の下位層にいたが、死ぬほどの努力をして成功したという自負があるのかもしれない。でも、考えてほしいのは、「闘える、努力を出来る環境に全員がいるのか」ということ。そもそも、精神面や身体面に問題を抱えていて、闘いたいが、闘えない人も大勢いるだろう。あなたとは違う人間関係を持った人や、あなたとは違う視野を持った人が大勢いる。そこを踏まえて、もう一度、「ホームレス状態になったのは自己責任」と胸を張って主張できますか。

お互いが歩み寄れる社会になるために

台東区の避難所の受け入れ拒否の件は、「住所を持つ者」と「持たざる者」という2つの分断を顕にしました。お互いが、一歩ずつ歩み寄らないと社会は変わっていかない。私が今回例に挙げたコメントをした人々は、もしかしたら今までホームレス状態の人々と関わった人が無いかもしれない。ずっとマジョリティのポジションに居て、本当に何も考えずに発言をしたのかもしれない。私もある点ではマジョリティであり、ある点ではマイノリティであるから、見えない視点が存在することは、理解できる。今まで、その視野が無かったからこそ、マジョリティからも変えていかなくちゃ。マジョリティからも、世の中を優しくしていきたい。

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お久しぶりです。ほんっとうに久しぶりの投稿になりました。インターンや授業で忙しい〜という言い訳をもとに全く書いていませんでしたが、再開します。Tome館長様、画像を使用させて頂きました。ありがとうございます。

皆さんは、台風19号、ご無事でしたでしょうか。また、亡くなられた方、そして、そのご遺族の方、ご冥福をお祈り致します。未だに、台風の被害に苦しんでいる地域もあります。私も、なんとか力になりたい。微力ですがこちらに、台風19号の被災地への支援募金のURLをいくつか貼っておきます。

Save the Children (子ども達への緊急支援にご協力ください)

Yahoo!基金 (令和元年台風19号緊急災害支援募金)

日本赤十字社 (令和元年台風第19号災害義援金)






あっ、あの、、、今買いたい本、、が、、、対話についての、、、本で、、、5冊ぐらいあって、、、1冊1000円以上して、、、買えない、、、ので、、、ご支援頂けたら、、、泣きます、、、