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仏の経済紙レ・ゼコーが日本人母親の子供連れ去り離婚を取り上げた件

フランスの経済新聞レ・ゼコー(Les Echos)が興味深い記事を書いています。

Au Japon, à la recherche des enfants perdus
(日本で行方不明になった我が子を探して)
https://www.lesechos.fr/monde/asie-pacifique/au-japon-a-la-recherche-des-enfants-perdus-1032034

日本は先進国中では比較的子供の人権に対して後進的な国だと思います。
たとえばアメリカでは虐待の通報があればSWAT部隊が家庭に介入し、加害者である親(当然母親でも)を拘束、逮捕します。抵抗すれば最悪射殺も辞さない姿勢で突入するところがいかにもアメリカらしいのですが、それくらい子供の人権にうるさい国です。
もっとナーバスな例を挙げると、アメリカでは(州によりますが)子供と大人が一緒のベッドで寝ることを性的虐待防止の観点から良しとしていない地域もあります。
映画などで小さな子供が自室を与えられそこで一人で寝ているのにはこういった部分に配慮がなされているからでもあります。
日本は教育や生活上の安全性こそ「大人が必要としているから」子供にも便宜上保障されている状態ですが(先に挙げたアメリカでは「大人が自衛しうる」という理由で生活上の安全の保障が低水準です)、家庭内暴力の割合や離婚後の子供の看護親、非看護親間の行き来などでは先進国中ではまだまだ低く、特に子供の保護について国内ですら議論が巻き起こるような深刻な状態であろうと思われます。
参考までにユニセフと国立社会保障・人口問題研究所が共同で作成している「先進国における子どもの幸福度」のリンクを貼っておきます。
(PDF注意)
https://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc11ja.pdf
一見日本に子供の幸福度は高いように見えますが、『おわりに』には以下のように書かれています。
〝理想を言えば、こうした測定・比較には、次のような指標を取り入れていくこ
とも必要だろう。
▶育児の質
▶幼児教育の量ではなく質
▶子どもの精神・情緒の健康
▶家庭内暴力の経験(被害者あるいは目撃者として)
▶子どもへの虐待とネグレクトの広がり
▶子ども特有の環境(安全で監督されずに遊べる機会など)の質と安全性
(以下略)“

つまり研究者の間でも上にある▶の6項目に対して着目不十分であることが理解されている状態ということが伺えますね。


レ・ゼコーの記事に戻ります。
記事中では日本の親が連れ去り帰国をすることを「合法的な誘拐(enlèvements légaux)」とはっきりと明言しています。
これはハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)という国際的な取り決めに基づくものですが、それ以前に、海外では子供を連れ去り隠す行為は誘拐として認められ、犯罪となります。
元親の"子ども連れ去り"合法国は日本だけ 日本は「ハーグ条約義務不履行国」(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/26291
離婚時に連れ去りをすると海外では逮捕されます。犯罪ですからね。
繰り返しますが、日本では法的には問題視されていない(個人間では極めて問題視されている)連れ去り離婚ですが、海外では誘拐で、犯罪です。
日本における国際的な子の連れ去り(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%AD%90%E3%81%AE%E9%80%A3%E3%82%8C%E5%8E%BB%E3%82%8A
記事では「日本人の妻が子供を連れ去り、のちに『金銭的交渉をしたい』と言った」と書かれており、これは子供を人質にした誘拐であるとほのめかしています。
「他人の同意なしに片親が子供を拉致することは子供に対する暴力ですが、日本では違法ではありません」ともあります。「日本では子供は人ではなく家の所有物だからだ」と書かれています。

他にも日本では子供を拉致した親が「相手方はDV加害者である」と言うだけで勝利確定であると、日本の連れ去り→DV被害者表明という勝利方程式についても触れられています。

フランスだけでなく、世界中で日本の司法に関する明らかな違法行為への指摘があります。
これは国内で連れ去りが容認されていることに起因していることは言うまでもありません。

なぜ日本の司法(特に家庭裁判所)は子の連れ去りの違法性に言及しないのか。
これは自分たちの間違いを認めてしまうと、少し前~現在継続中の離婚事案のやり直しが発生してしまうからです。
日本の家庭裁判所における離婚事案というのは性別によって極めて不均衡な判決や決定が下される現状があります(得に親権において)。これは男女不平等の観点を裁判所が認めず是正しないことが原因ですが、長年にわたる自分たちの違法性があるとも取れるような決定を裁判所では既に認知していながらも、これを認めてしまうことで自分たちのやってきた仕事がやり直しになってしまうという状況を回避するために、裁判所は方針を変更しません。

この是正には大きな力が必要でしょう。
特に離婚の事案については子の連れ去りに代表されるような子供の人権を無視するかのような犯罪行為を是としていることについて、気づいた人々(特に男性)が大きな声を上げる必要があると思っています。

フランスの経済紙がはっきりと「誘拐」と書いたことについて、日本国民は重く受け止めるべきだと思いました。

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