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装丁でたどる!D・カーネギーの『人を動かす』

成人のお祝いや、「新入社員はまずこれを読め」と上司に勧められて手にする人も多い、デール・カーネギーの『人を動かす』。
日本で500万部を突破した本書ですが、その抄訳版を弊社が刊行したのは1937年のこと。

「世代を超えて読み継がれた本」と言われれば、いつの時代も変わらずに同じ内容が書かれているように思われがちですが、人の手に渡るため、本というメディアには様々な工夫が凝らされています。

今回の記事では、弊社が誇るロングセラーの、時代とともに移り変わった装丁をご紹介します。

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①1937年10月30日 日本語抄訳版を刊行

原著のアメリカでの初版が1936年で、本書の刊行が翌年の37年。
かなり早い時期の翻訳ですね。
字体が渋いです。

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今回の記事を書いている最中に見つけた表紙。
奥付には「昭和三十三年五月二十日二十版発行」と記載してあります。


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②1958年11月1日 全訳版初版刊行

全訳版初版は上製本。
中央の「人」という文字は、よく見ると小さな「人」が集まってできています(若干こわいですね)。


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③1982年12月1日 第2版第1刷刊行

原著の大幅改定に対応した版です。
テイストの似ている2つの表紙ですが、上の三角形と四角形が背を向けあっているような表紙は「昭和53年12月20日 第1版第144刷」のもので、下の2人の人間が寄りそっているような表紙は「昭和62年3月10日 第2版第32刷」のもの。

ちなみに第2版の訳者あとがきによると、旧版の完訳版第1刷は、58年の発行以来「二十四年間で百六十九刷を重ねた」とのこと。

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ビジネス書らしい装丁と、文芸や心理学書のような優しい装丁を刊行していた時代も。


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④1999年10月20日 新装版刊行

プレゼントとしても重宝される、シックな上製本が登場。
いま流通している新装版の装丁はこちらですね。
中央の写真はもちろん、カーネギーご本人です。


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⑤シリーズのひろがり

インターネット、SNS時代への対応版。

マンガで手軽にわかりやすく。

「耳で聞く」オーディオCD版カーネギー。

コンパクトな文庫版と、
大阪の手ぬぐい店「にじゆら」さんとのコラボ商品です。

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などなど、一冊の本の80年余りにわたる装丁の変遷、いかがでしたでしょうか。
本の中身だけでなく、本の表紙にも、時代が反映されることがみてとれますね。
(個人的には、③番の80年代の抽象画のような表紙が味わい深いです)。


今年の3月には教育学者の齋藤孝氏による入門書『齋藤孝が読む カーネギー「人を動かす」』も刊行いたしました。
さまざまに形を変えて進化を続ける『人を動かす』シリーズを、今後ともよろしくお願いします。