液晶タブレットと保護フィルムとぼく

その昔、僕はソフマップの片隅に座り、店員の説明を聞きながら、『身の丈に合わないなぁ』と思いながらも液晶タブレットを購入した。2011年の頃である。

当時、震災の影響で液晶の部品が製造できず、手元に届くまで長いこと待ったことをよく覚えている。

Cintiq 21UX。当時は現行品のCintiq pro 24と同じくらいした。お値段25万円くらいだったか。お金を茶封筒に入れてドキドキしながら店員に渡した。
店員の『こんなヤツが液タブぅ?マジ?へぇ~~~~~~…』という心の声が聞こえた。

ドキドキしながら購入手続きを勧めていくと店員さんは
「ご一緒に保護フィルムは購入されますか?」とポテト勧めるみたいに聞いてきた。


ほほほほ保護フィルム???


云十万円を支払っている感覚にすべてを支配されていたので全く考えていなかった。
何も考えていない俺の脳みそは一番頭を使わない返答をする。


「保護フィルムってナンデスカ?」

「液晶に直接ペンが触れるとどうしても傷がついてしまうので、画面にフィルムを貼っておいたほうが絶対良いですよ!」


素敵だ…店員さんは僕に対して「いや、少し考えればわかるやろ…」なんて馬鹿にしなかった。心の中で勝手に悪者にしていた自分を恥じた。

なるほど~~~~~~ 買います!
そう言って買ったのが

でした。これは現行品なので当時のものとは若干違うだろうけど、たしかエレコムの保護フィルムだった気がする。

当時の保護フィルムといえば、タッチパネルやペンで直接画面を触ることを考慮してないものが多く、吸着率があまりよろしくなかった。
そのせいで液タブで絵を描いていると、どうしても利き手側のフィルムの端っこが腕に当たり、次第にめくり上がって、最終的にはチクチクとフィルムのめくれた端っこが腕に刺さってイライラした。

あとは液タブが21.5インチだからといって、21.5インチ用のフィルムを購入しても、画面全体を覆えなくて大きいものに購入し直す羽目になったこともある。

とは言っても、一度保護フィルムを上手く貼れたらそうそう張り替える必要がない。使っていくうちに保護フィルムの存在は僕らの頭から抜け落ち、そのありがたみすら無に帰す。フィルムは今日も僕らの液タブの画面を守っていくれているというのに。

貼り替えるときは液晶タブレット自体を買い換えるときくらい。当時買った21UXはぶっ壊れたので今は

を使っています。

そんなこんなで7年間くらい液タブで絵を描いていたわけです。
しかし、今回そのフィルムが力尽きようとしているわけです。

具体的にはこういう感じ

もはや傷というより『領域』になっている。
これに気づいたとき、『オゾン層の破壊の写真と似ているな…』という非常に分かりづらい例えが浮かびました。

似てない?

これはいけないと思いました。
保護フィルム、貼り替えなきゃ。
オゾン層も頑張って。

スマホとタブレットの普及の影響なのか、今ではいろんな用途に対応した保護フィルムが売られていました。時代の流れすごーい。

まあせっかく絵を描いてるんだし、このペーパーライクのフィルムにしようかなということでamazonでポチる。

このときの選択を非常に後悔している。

描き味良好! しかし…

家にエレコムのペーパーライク保護フィルムが届いたのでさっそく貼り替えた。
なんだかんだ貼るのも上手くなってきたので、気泡も入らずいい感じだ。

早速描いてみる。なるほど、表面をざらつかせる事によって紙に近い描き味になっているんだな。光沢は若干写り込んでしまうな…まあアンチグレアといってもこの程度なら許容範囲だろう。

ペーパーライクを謳っているだけあり、描き味が結構良い。
抵抗感が欲しくてフェルト芯を使っていた人には合うのではないか。

しばらく描いていると、ペン先が引っかかることに気づく。

めちゃくちゃに芯が削れる。描いてから3時間くらいの芯だよ。通常芯。
嘘だろ…って思うくらい削れる。
Like a 大根おろし。ヤスリにでもかけてんのか。

結果、芯1本では一日ももたない。
ペーパーライクではない保護シートの場合、1ヶ月くらい死ぬほど描いてもこうはならない。

これは由々しき事態である。

理由は、このWacomの純正の芯、わりと高いのである。

2018年10月5日現在、27%offということもあって791円ということだが、一本あたり158円、一日に消費し続けることになる。
通常芯でこの速さで削れていくので、ハードフェルトなんて秒でなくなるだろう。試してみたら、僕の場合半日持ちませんでした。

通常芯の場合、計算上は一日に158円、一年で57,670円の出費になる。
そう考えると恐ろしくなってきた。安い液タブなら買えちゃうじゃん。

俺はこの保護フィルムに別れを告げることにした。
描き味のみにステータスを全振りしたかのような代物は俺には使えねぇ。
ペーパーライクには気をつけろ。

やはり元の鞘に収まるのがいいのか…?
否、男は冒険しなきゃ。
まだ見ぬ保護フィルムが俺を待ってる。

というわけでこちらを購入。ClearView…?聞いたことのないメーカーだ。
エレコムの保護フィルムと比べ、値段は張るものの、ノンフィラーという加工がされているのが特徴。

ノンフィラーって何??

ノンフィラーアンチグレアフィルム特徴1.塗膜表面の凹凸のみで光を散乱する為、一般的なフィラータイプアンチグレアよりもディスプレイ表面のギラツキが少なく、画像が鮮明に見えます。2.ペン入力タブレット等の表層材に使用すると適度な抵抗がありペンが滑らず、紙と同じ様な描き心地が得られます。3.スタイラスペンによる繰返しの摺動でもAG面が削れたり、傷が付く事が有りません。4.表面に微細な凹凸がある為、平滑なガラス等に貼り付く事により生じるニュートンリングが発生しませんので、スマートフォンなどのアフター製品(保護フィルム)に適しています。

つまりは、塗膜部分になにかを貼り加えて反射を抑えるよりも、凸凹を使って上手く光を拡散させるから発色が従来のものよりも良くなるぜ、ということらしい。

なるほど、ええやん。と思ったそこの貴方。特徴の2番めに注目してほしい。

2.ペン入力タブレット等の表層材に使用すると適度な抵抗がありペンが滑らず、紙と同じ様な描き心地が得られます。

紙と同じような描き心地…?

紙は…ペーパー… 同じような… Like…

つまり、ペーパー…ライク…?

その瞬間、僕の心拍数は180を超え、腰を折りたたみ、丸く蹲るしかなかった。
なぜならこのnoteのこの行を書いているこの瞬間、『ノンフィラー加工ってどんな加工なんだろう?アンチグレアよりも良いって書いてあったしなぁー』と考え、調べ始めて気づいたのだから。

や、やばい…すぐに注文をキャンセルしないと…

すでに発送されてんじゃん。

その瞬間、僕の心拍数は300を超え、腰を折りたたみ、丸く蹲るしかなかった。ヤダぁ…。

もうあーだこうだ言ってもしょうがないので、おとなしく到着を待ちました。

とどいたぜ。
amazonには書いてなかったけど、硬度2H。
よくある保護フィルムは硬度3Hが多いので少々劣る。

早速貼っていく。
しかし、このClearViewのフィルム。エレコムのフィルムと比べると、めちゃくちゃ貼りづらい。

エレコムは保護フィルムの吸着面がわかりやすいように青いシートが貼ってある。画面側を保護するように青くなっているのでわかりやすい。
さらにここから引っ張るとキレイにはがせますよ~という目印にテープが挟まれており、それを指で摘んで持ち上げれば青いシートは簡単に取れる。
さすがは天下のエレコム。長年の経験が生きている。

一方でこちらのClearView。保護フィルムの吸着面に透明なシートが張ってあるだけ。
それにシートを剥がしやすくなるような工夫は一切されていない。
貼ってる間、どっちが本命の保護フィルムなのか、保護フィルムを保護しているシートなのか混乱した。

ホコリが吸着面の間に入れば即、気泡が生まれるこの大事なときに、この迷いは命取りになる。実際どちらが吸着面なのか格闘している間にホコリが入り、グロスで拭き取ることを繰り返した。この貼るときの面倒くさい感じ…懐かしい。

なんとか貼ることに成功。
手触り感はほぼ液晶画面と変わらない。つるつるである。
先の懸念は杞憂に終わった。これならペン先が異常に削れることもなさそうだ。
特筆すべきは画面がくっきりすること。ペーパーライク処理が施されていると、どうしても画面が白く、ぼやけたような印象がある。
気になるほどでもないのだけど、こちらのClearViewは文字がはっきりと見え、発色が良い印象だ。

実際にペンを使ってみると、抵抗感はほぼ無い。
一日使ってみても、ペン先が削れたということも見てとれなかった。
エレコムのペーパーライクも描き味はものすごく気に入ってるんだけどね。
どうしたって削れるのが早すぎるのだ。

ディスプレイ表面のギラツキは多少ある。が、これはその他のフィルムのアンチグレアと対して差はない。十分性能を発揮している。

総合評価。良いです。
他の追随を許さないほどのズバ抜けた何かはないものの、製品としての不満は何も無いです。
強いて言えば貼りにくいことと値段が他社製品と比べて高いことくらいか。まあこれらは製品自体の良し悪しではないからね…。

硬度が2Hということなので耐久性という意味では少し不安が残るものの、1週間ほど使っても、『買ってよかった』と思える製品だった。



なかなか試す機会がなかった保護フィルムだったが、今回で納得のできるものがわかった。反射防止ノンフィラータイプ。覚えたぞ。

というわけで長々書いてみたが、同じ悩みを持っている人がいたら参考にしてほしい次第。以上でーす。

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soguma

辛うじて、人である意識はある。

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