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自分の歴史を音楽と振り返る(13)2020−22 不登校・ひきこもり経験者として活動する

コロナ禍真っ只中だったこの頃。音楽シーンでは数々のライブが中止・延期になっていた。個人的には家に籠るようになった分、YouTubeで新たな音楽に出会うことができたとも言える。この頃の自分は、LGBTQ×精神疾患の自助会の運営から遠ざかるを得なかった頃で、孤独感を深めていた。しかし、自分の不登校やひきこもりの経験が、ある活動へと自分を導いていく。今回はそれを紹介したい。


不登校・ひきこもり経験者としての活動

この頃、ご縁があって、不登校・ひきこもり専門の相談機関「ヒューマン・スタジオ」を運営される丸山さんと知り合った。不登校やひきこもりの経験がある自分は、丸山さんの活動を伺う中で、他の「支援」機関とは違う何かを感じ、当時の自分がもしこの場にいたら丸山さんに相談したかったなあと直感した。そのことをもっと知りたい、深めたい。そう思った自分は、団体が主催するヒュースタゼミナール(ヒューゼミ)に参加した。そこでは、不登校・ひきこもりの本人の思いや視点をわかりやすい言葉で解説し、相談援助の技法や知識を演習形式で習うというものだった。

以前不登校やひきこもりの経験についてここに書いた。そんな不登校・ひきこもりの1経験者として、ヒューゼミに参加して「あの時の自分のこの思いは、こういうことだったんだ」と感じる瞬間が多くあった。当時の自分がマグマのように抱えていたもの、周りからのプレッシャー、かけて欲しかった言葉、かけられて傷ついた言葉、よくわからないドス黒い感情。そういったことがこの講座の中にはわかりやすい言葉によって散りばめられていた。講座によって、苦しかった当時の自分が浄化していくような、そんな気分になった。

その後、ヒュースタゼミナールでは事務局としてお手伝いをさせていただくことになり、現在に至っている。

LUNA SEA 「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜」「LOVELESS」

さて、音楽の話題だ。この頃にYouTubeをきっかけに改めてハマったのが、1989年に結成したLUNA SEA。自分が知ったのは1994年に発表された「ROSIER」。圧倒的なグルーヴに繊細なサウンドに頭を殴られたような衝撃を受けた。2000年に終幕(活動停止)したが2010年にREBOOT(復活)。そんなLUNA SEAをなぜこのタイミングで取り上げるのかというと、ボーカルRYUICHIの絶え間ない努力がライブに刻まれているのをYouTubeで見たからだ。

RYUICHI2019年に肺癌の手術、2021年頃には声帯にできた静脈瘤の除去手術を受けた。その頃のライブの模様やTV番組で歌っている動画がアップされているが、90年代のCDのイメージとは異なり、後半ただ叫ぶようになっていて、聴いていてとても苦しかった。でも一番辛かったのは本人たちだろう。それでも、ライブやTVでその「生きざま」をそのまま見せつけていた。弱みさえ丸出しで。

それが、2022年頃になって、徐々に声の艶やかさが戻っていったのだ。確かに発声は以前のようではない。しかし、それを逆に活かし、新たな魅力を孕むようになった。そしてバンドはその生き様を共に刻み、刹那さや痛みを飲み込み、それでも前に進むというモンスターバンドに進化したように感じる。

そんなLUNA SEAで個人的にどうしても外せない2曲がある。私の一番好きな曲である「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜」は、RYUICHIの声の伸び、宇宙の星々のようなSUGIZOのギター、退廃的な刹那さを示すINORANのギター、それにうねりを加えるJのベースにずっしりとした真矢のドラミングが高揚感をもたらす。

そして、2023年には以前リリースしたアルバム2枚を今のバンドで再録音して発表した。その中の1曲が「LOVELESS」だ。約30年前(!)にリリースされたこの曲、以前と比べて深みがましているように感じる。見どころはたくさんあるが、SUGIZOの3種ギター(って言うの?)の使い分け、INORANの12弦アコギの響きが特におすすめ。


丸山さんの著書「不登校・ひきこもりが終わるとき」でも、「生きざま」という言葉がとても印象的だった。そして今、LUNA SEAの話を書きながら、偶然にも「生きざま」と表現した。自分にとってなじみが深くなった大切な言葉なんだと実感している。

という感じ。これまで自分の歴史を振り返ってきたが、ようやく今の自分の活動に直結する話になってきた。次回もそんな話をして自分を回顧していきたい。

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