ただ、何者かになりたくて。その4

 何者なのか知りたい。僕は一体誰なのか。そんな素朴な疑問から社会学の扉を開いた。社会学は、個人的な問題を社会的な問題に置き換えて、個人間に連帯をもたらす学問だと思っている。自分事だと思っていた問題は、実はみんなの問題で、みんなの問題だからこそ、団結して、正面からぶつかることができるのだ。
 その考え方、学問観に僕は心の底から叫びたくなるような衝撃を覚えたものだ。もちろん、すぐにそのことに気がついたわけでもなく、2013年から大学に在籍して、必死に勉強してようやくその考えに至った。そうこうしているうちに、2年間の月日が経っていた。学友とある問題の事実を分析して、共有して、対話する。アザのこと以外にも、社会には無数の問題があり、みんなそれぞれ問題と真摯に向き合っていた。いつの間にか僕自身はアザを俯瞰して見ることができるようになっていた。社会学を通していろいろな人と出逢えた。今でもそれは貴重な繋がりとなっている。
 僕が何者なのか知る前に、社会のことを、他者のことを、もっと知ろう。それが自ずと僕自身の問題に繋がるに違いない。そうした中で、学友とサークルを設立したり、自主ゼミを開いたり、他大学の理系学生たちと交流したり、社会学のインカレサークルに参加した。そうした活動が、着実に僕の血となり、肉となった。
 そんな最中にふと、SNSで自分のアザについて検索していたところ、NPO法人マイフェイス・マイスタイル(以下、MFMS)というアカウントにたどり着いた。以下、MFMSのホームページより引用(2023年5月16日0時32分)

NPO法人マイフェイス・マイスタイル(MFMS)は、「見た目問題」解決NPOです。
顔や身体に生まれつきアザがあったり、事故や病気によるキズ、ヤケド、脱毛など、先天的や後天的な「見た目(外見)」の症状がある人たちが、その「見た目」ゆえに日々ぶつかりやすく、抱え込みやすい様々な問題を「見た目問題」と名づけ、「見た目問題」解決にむけて活動しています。
「見た目問題」を解決するためには、すべての人の心の中にある“意識”の変革と社会の壁をなくすことが重要です。
人は誰でも“見た目(外見)”にこだわってしまうもの。世の中、キレイな人は得をします。
でも、現代社会はあまりにも外見が重視されすぎています。「キレイじゃなければ価値がない」と言わんばかりの風潮はおかしい。
私たちは、誰もが自分らしい顔で自分らしい生き方を楽しめる社会の実現をめざしています。
MFMSは、「見た目問題」を解決して、世界を変えます。

NPO法人マイフェイス・マイスタイル(MFMS)のホームページより

 そのMFMSで近々イベントがあることを知り、早速申し込んでみた。一人はちょっと心細かったけど、それ以上にわくわくしている僕がいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?