技術書を英語で読む取り組みを振り返ってみる

2019年の目標の1つとして「技術書を英語で読む。これを継続する」という目標を立てた。

初めて買った英語の技術書は2009年?の「Hadoop」だった。以降も英語版で技術書を買う、という事は極稀に行っていたが、あくまで「日本語版が無いから」という理由が大きかった。当時の「Hadoop」もその理由だった。

昨年2018年は、日本語書籍「入門Kubenetes」を敢えて避けて原著の「Kubernetes Up & Running」を購入した。当時在籍した会社で Go / Docker / Kubernetes という技術構成のマイクロサービス開発案件をleadしている最中だったのが購入のキッカケだった。


ほぼ英語onlyの情報収集でプロジェクトを担ってみての所感

kubernetesに関しては当時は個人的にも会社的にもプロダクションで稼働させた実績が無かった。必然的に技術調査に掛ける時間が増えたのだが、開発中にメンバー同士で情報交換をする際も例えば「ここに情報載ってそうですよ」とURLを共有するような場面では多くのケースで英語サイトを共有し合っていた。日々の業務がこんな調子なので知識の土台が英語をベースに構築されつつあり、英語ベースの技術調査・学習が何となく軌道に乗り始めている感覚があった。

そのタイミングで日本語(の書籍)での情報収集を混在し始めると英語⇔日本語というコンテキストスイッチが少なからず発生しそうで、これによって学習コストが高まるリスクを感じた。周囲のメンバーに目を向けてみても、英語が達者なエンジニアが在籍していた訳では無かったけど皆日本語の情報源に拘っているような感じもなく、「最悪困ったらGoogle翻訳に頼っちゃえば良いでしょ?」というある種の暗黙の了解のような空気も出来上がっていたように思う。何より英語ベースの学習・情報共有でもメンバー間で大きな理解齟齬が生じる事は無かった。

時間は掛かってしまったものの、"ザッとレベル"ながらに英語の技術書を1冊読み切ったことで、多少英語を読むスピードは上がった。「英語力に自信が無くても何とかなるな」という雑な自信も付いた(タマタマ読んだ書籍が良かっただけかも知れないが)。2019年は英語の学習に本腰を入れようとしていたタイミングでもあったので、継続して取り組んでみる事にした。


当時得られた教訓

  1. 原著の存在を日本語版が発売されるまで知らなかった
  2. 読後にメモなりブロクなり何らかアウトプットする作業を怠った
  3. 日本語版も購入して読み比べしながら学ぶ、という発想が無かった
  4. kubernetesに限って言えば「英語でも良いから最新動向をキャッチアップしたい」という事が目的として重要なのであれば、公式ドキュメントで十分だった
この4点は反省・教訓として残ったのでこれらを活かして取り組みたい。


「技術書を英語で読む」事で目指すゴール

1. 英語圏(主に欧米)のコミュニティの活発さ・進化スピードと日本のそれとのギャップを解消したい
2. 英語(アルファベット)と翻訳結果(≒カタカナ)とのギャップ。そのギャップを自分で埋める負担を解消したい
3. 英語そのもの・特にreadingスキルの向上


現状の英語スキル

読み書きについては中学前半レベル。githubに公開したOSSのREADMEも一応・一応(大事なので2回)英語で書いてはいるものの、中学前半の知識でどうにかなる単語・文法を強引に繋ぎ合わせたという体で書いたもので、英語圏のエンジニアから見たら「??」という記載が結構あるんじゃないかという気がしている。。。

話す・聞くについては、ルー大柴に毛が生えた程度(謎)のスキル。
海外を何度も1人旅してる割には「え?その程度の英語力で海外1人旅って何とかなっちゃうの?」と人から言われるレベル。実際旅行ではCould you hogehogeとかI'd like to hugahugaって言うとけば結構何とかなってしまうんです。。。

一方で「調べ物でググったら英語の記事・英語のgithub issue・stackoverflow、がHITした」という状況でも怯まない程度には英語に対するアレルギーは無い。


どんな本を選ぶか?

- 情報収集の質を上げる為、海外技術書ブランドを再確認
  - O'Reilly
  - Apress
  - Packt
  - Manning
  - Pragmatic Bookshelf
  - Addison-Wesley
  - Pearson
  - SitePoint
  - Leanpub ※電子書籍の自己出版サイト
  - (他は随時追加していく)
- 技術レイヤーの選択。これから学びたい技術や関心が高い技術を選ぶ。自分の場合は、
  - AWS
  - serverless/Faas
  - Go
  - Firebase
  - MySQL (ver >= 8.0)
- ブランドのサイトを気になるフレーズ で検索する等して情報収集
- 比較的出版が新しい書籍をピックアップして目次(英語)から内容を推察→どんなカテゴリの本を選ぶか検討する
  1. 特定分野を広く浅く網羅系
  2. 特定分野を深掘り系
  3. 作って学ぶハンズオン系
  4. リファレンス/クックブック系
  5. 読み物系 ※現状の英語力で集中力を持続できるか怪しい。。。

過去の名著を英語で読んでみる、という取り組みも面白そうだけど、今は新しい技術/内容を追いたいモチベーションがあるので、しばらくは新刊に拘ってやってみる事にした。


1冊目として購入した本

serverlessとGoという両要素がテーマで、且つハンズオン形式で読みやすいはずだという目論見もあり PacktのServerless Applications with Go を購入した。Packtは昨年末から5USD/冊のセールをやっており、12月中旬に購入した事でセールに便乗する事も出来た。発売日が2018年8月とこの分野の進化スピードを考えると既に多少の陳腐化が気になりはしたものの、それよりも「serverless + Go」というテーマが自分には刺さったので目をつむる事にした。

なおこの書籍はServerlessという文言がタイトルに入っているものの、実際にはAWS Lambdaのみが題材として取り上げられている。


読んでみた

Goは業務で書いた経験があり、serverless(AWS Lambda)ついても多少の知見はあったので、内容は自分にとってはかなり優しいものだった。一方で「内容が優しい本だな」と気付くまでには時間が掛かった。特に英単語の語彙力不足が如何ともし難く、語彙力さえあれば内容自体はそこまで難しくは無かったのでもっとスラスラ読めたと思う。

Packtで購入すると(他メーカーでもよく見かけるが)いわゆる電子書籍系の各種フォーマットによるダウンロード+オンラインreadingに対応しているが、今回は読み方についてはオンライン=ブラウザで読むことがほとんどだった。

"Packtの" オンラインreading という観点で特徴を挙げると、
  - PCで読んだ場合は、どうしても理解に詰まった単語や文をすぐにGoogle Translaterにコピーして翻訳を確認出来る
  - モバイルなら、モバイルに最適化されたUIで読める&翻訳についてはPCの場合と同 ※Packtのオンラインreadingはモバイルでもとても読みやすいUIだと思った
  - ブックマーク機能がある(何度かお世話になった)
  - 文字色/背景色の反転やフォントサイズ変更にも対応している
  - 他サービスやアプリへの共有がやりやすい
といった点が挙げられる。

個人的にはモバイルで読みやすいUIというのがポイントが高かった。自分はPixel3(のChrome)で読む機会が多かったが、Packtの場合は上に挙げたオンラインreadingの機能は全てモバイルでも対応されているし、例えば「気になったフレーズをGoogle Keepにkeepしたい」「この単語どういう意味?翻訳したい」という時も、文字列ドラッグ→ポップアップメニューで該当メニューを選択 でサクッと実現出来るのが良かった。

所感

ある程度事前に分かってはいたが、とにかく単語・熟語の語彙力不足がモロに響いてしまい、日次で少しずつ読み進めた結果読み切るまでに1ヶ月弱掛かった。readingに関しては如何に多くの単語を知っているか否かが全てと言っても過言ではないのではないか?というのが率直な読後の感想として残っている。文脈で「おそらくこういう意味では無いか?」と推測が付く箇所もあったのだが、そういう箇所でも何となくのまま読み進めるという事をせず、内容を正確に理解する事にこだわった結果時間が掛かってしまった部分もある。

ただ、時間は掛かってしまったが何とか1冊読み切った事で、少なくとも読む前よりはreadingスキルが向上しているという実感はある。特に、最初から最後まで読み切ればそれなりに似たような単語・文が複数回出てくる事に気付くので、頻出した単語・文ほど慣れる事が出来た感触はある。語彙力不足は別途学習して補完するとして、技術書を英語で読む取り組みはとにかく継続して数をこなす事に尽きるな、という総括だった。


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