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SOKUJITSU Vol.5「emotional#nowplaying」町田涼×高木 望

町田涼の周りには、なぜか良い匂いのする人が集まってくる。「良い匂い」というのは、「面白そう」と思わせる人が集まってくる、ということだ。

単純に彼が「Shake Hands」というカルチャーイベントの主催者だから、というだけではない。彼自身のアンテナ感度と、良い匂いの人を見つけた時の吸引力(執着力)が強いのだ。

一方で、良い匂いの人をキャッチして一緒に何かをやることになった時、そこから先の細かなディレクションは、自他ともに認める「ポンコツ」だ(そこがまたイイ)。だからこそ「マチルダ(町田)を助けてあげなきゃ」と更に人が集まってくる。

彼は自分のことをよく「空っぽ」と言うが、厳密には空っぽではないと思う。町田の中には、町田に関わる全ての人がぎっしり詰まっているからだ。

そこで、今回は町田が関わっている面白い人たちに、制限時間内でアンケートの依頼をかけまくり、「エモい音楽」と「町田が普段お世話になってる人」をプロファイリングするメディアを完成させた。

企画はいたってシンプルではあるものの、この企画に至るまでの背景には、町田の価値観やキャリアが深く関係している。

【企画会議】

高木:正直マッチがShake Hands以前に何をやっていたかをあまり知らないんだよね。専門学校出た後に音楽レーベルで仕事してたんだっけ?

町田:そうそう。新潟にある音楽の専門学校を出た後に、ソウルミュージック系の音楽レーベルに入った。そこから月一で新潟〜東京を往復してレーベルを手伝いながら、音楽活動を続けてた。その後に音楽活動に専念したくなって、レーベルは辞めちゃったんだけどね。

その後、勢いでニューヨークのブルックリンに2ヶ月くらい滞在したりしてたわ。ただニューヨークにいる間に色々考えちゃってさ……。音楽活動を続けていきながら食いぶちをつなげられる手段を考えて、最終的に「日本の伝統文化」にシフトしよう!ってなったの。それで、日本伝統文化関連の会社を調べていたら、日本の伝統的工芸品を職人たちで支えるNPOがあって、そのままそこに電話してジョインすることになった。

高木:展開早っ。なんでいきなり「日本の伝統文化」にシフトしたの?

町田:滞在期間中に自分のことを考える時間が多くなって。その時に「日本のことを全然知らねえな」って思ったからかなあ。海外で日本のことを話すときに全く喋れないのね。だから、日本の文化をインプットした上でまた海外に行きたいと思ったのがきっかけだったかも。

高木:なんかフットワークが軽いんだよな。音楽活動はどうなったの?継続?

町田:いや、そこで同時に「音楽は仕事にするべきじゃない」って結論に至ったんだよね。「俺にできることはなんだ」って考えた上での判断だった。

仕事を「自分が一生続けていくひとつの作業」と考えた時、自分がやりたい作業は「ものづくり」の方面なんじゃないかと。同じ方面として、NPOの後はデザインの道にシフトした。モノ・コトを整理したり、綺麗に並べることは好きだし。

それで、就活した中で履歴書が通ったのが今の制作会社、って感じ。ちなみにそん時はデザインの知識が一個も無かった。

高木:すごく突発的に行動するよね。色々な道を経験してるというか。

町田:ただ、そこまで色々してきたけど、やっぱりまだ自分が空っぽだと思うんだよねえ。

▼空っぽの状態を「言語化できないもの」で埋めたい

高木:そのマッチがよく言う「空っぽ」っていうのがよく分からないんだよね。私からすると、デザインも写真も出来るし知り合いも多いし行動力もあるから、そういう風には見えなくて。例えばマッチがいま本当に空っぽだとして、「満杯」ってどういう状態をイメージしてるの?

町田:言語化できないモノで埋まってる状態。感動とかがそれに値するのかな。とにかく言語化できないモノって強いなって思うんだよね。音楽の振動とかもそうだけど、体感して「なんかいい」ってなるやつ。

高木:エモ?

町田:エモ(笑)。エモのために生きてるわ俺。

高木:そのエモを人に伝えたい時、アウトプットの手段は何になるの? フェス?

町田:フェスもそうだし、インスタとかのSNSもそうかもね。ただ、最近は「あえて発信しない」って言う手段を取ってるかも。エモを留めてる。

高木:エモ貯金?

町田:エモ枯渇。

高木:どういうこと?(笑)

町田:よっぽど心を揺さぶってくれないと感じなくなってきてる気がする。だから、相当感動しないと発信しようって思えないんだよね。「もっと大きな感動が欲しい!」って思っちゃう。

▼エモをプロファイリングする

高木:マッチの「エモ・リハビリ」じゃないけど、人のエモを記録して言語化できるようなアウトプットは面白そう。「確かにこれってエモいよね」って共感できるような装置を作りたい。

あと、マッチの経歴にある「日本の伝統」ってところはキーになると思うんだよね。例えばクラブとかライブで都度の瞬間を楽しんでいる時に「自分たちの行動や作り出したものが、いずれトラディショナルになり得るぞ」って感じる時があって。この時代に始まって、以降続いていく慣習や法則、文化が出てきそうな気がするんだよね。
ただ本当にトラディショナル化するものって、無意識のうちに定着化していくから、記録が無いとすごく曖昧なものになる。だから自分たちのリアルを記録する意義はあるよなと。町田が「面白い」と思う人を記録対象にすれば、新しい発見がありそう。

町田:その発信はかなり有意義だと思う。「おもろそうだな」で終わらないものは欲しい。あとは、そのメディアを通して「こんな面白い人がいるんだ」っていうことを出したい。今ちょうどカルチャーを作ろうとしている人もいっぱいいるから、それがいずれトラディショナルにもなり得るし。

俺ができるのは人をたくさん呼べることと、音楽を楽しめることの二つだから、それを発揮できる企画にしたい。

高木:じゃあ、いつか聴き返した時に「うわ!エモい!」って記憶がフラッシュバックしそうな曲を、マッチの友達にヒアリングしていくとか。それで、その人の情報と一緒にプロファイリングをしちゃうの。

例えば高校の時に聴いていた曲を聴き返すと「エモ!」って思うじゃん。それと同じで、今聴いている音楽も、5年後とかに聴き返すと「エモ!」ってなると思うの。数年後にメディアを開いて「うわ!エモ!」とかなったら面白くない?

町田:その方向で進めようか。いいと思う。

高木:ちなみにマッチってFacebookの友達何人いる?

町田:2000人くらい。

高木:(多っ……)制限時間は決めようかね。

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