鴨とカラスに関する考察。
2010.2.21.
栃木県 湯ノ湖にて。
なんと愛らしいお尻(笑)
見るからに寒そうな光景だったけれど、ほっこりあったかい気持ちになれた。
同じ鳥類なのに、我が天敵カラス(「本題はカラスではなくて。」参照)とは雲泥の差である。
この差は何故か。以下、項目別に違いを書き連ねてみた。
あらかじめお断りしておくが、あくまで私的感情が入り混じった、個人的に抱いているイメージに基づく偏った見解である。
【鴨とカラスの違い】
⑴見た目
鴨:小柄で可愛らしい。
カラス:黒い。くちばしが大きくて怖い。
⑵すみか
鴨:湖、公園の池など、自然に近い場所。
カラス:人間の生活圏内に近い、あるいは圏内。都会に多く生息しているイメージ。
⑶食料調達方法
鴨:自然の中から自力で。公園では、人間からパンの耳等を貰える時もある。
カラス:自然の中から自力で調達する事もあるだろうが、人間が捨てた生ゴミを漁る場合が多いと思われる。人間がすすんで餌を与えると言うことは無きに等しい。
⑷味
鴨:鴨南蛮、好きです。
カラス:食べたことないので不明。でも、どうやら美味しいらしい。
⑸頭の良さ
鴨:鴨は頭が良い、という説はあまり聞いたことがない。ただ、生まれて初めて目にした動く物体を母親と認識する刷り込み現象をどう捉えるか。動物的本能ではあろうが、生まれた直後から母親と他の動く物体とを区別できる、という点においては、賢いとも言えるのではないか。
カラス:鳥類の中でも非常に賢いと言われ、時に人間を脅かす事がある。顔を覚える事が出来るらしく、一度覚えたら生涯忘れない事もあるとか。
⑹「鴨 シンボル」と「カラス シンボル」でググってみた結果(※どちらも、検索結果で1〜3番目に表示された記事を参照しております)
鴨:韓国では"幸福"や"再生"・"生まれ変わり"、インドでは水に潜る姿が"深い智慧"と"財産"を意味しているそう。
カラス:西洋では、腐肉を食す事から"死"の象徴とされ不吉なイメージが強いと。一方で、日本神話の世界では神の使いとされ、太陽と結びつけられて"吉兆の鳥"・"勝利の予告"を表すとの事。周知の通り、サッカー日本代表のエンブレムが八咫烏であるのはこれに由来する。
【考察】
まず、⑴については、完全に個人の感性の問題。"鴨は茶色で地味だけど、カラスは真っ黒でスタイリッシュでカッコいい"と思う人もいるかもしれないので、あまり参考にはならない。
次に⑵によると、鴨よりもカラスの方が、距離的にはより人間に近い場所にいる。
しかし、⑶のような実情を鑑みると、カラスよりも鴨の方が人間との関係は良好だ。
さらに⑷、いくら美味しいと言われてもカラスを食べる事に対して抵抗を感じるが、人間側から見れば、鴨とは餌を与える・鴨肉を食す、という持ちつ持たれつの関係が築けていると言えよう。
ただし、日本においてカラスを食す習慣がマイナーであるのには、⑹にある通り、神の使いとされるカラスを食べるなんてとんでもない!、という考えが根底にあったからではないかとも考えられるものの、こちらは推測の域の話に過ぎない。
では、人間がカラスに餌を与えればカラスがゴミを漁らなくなり、更に昨今のジビエ料理ブームにうまく乗っかり、カラス肉が我々の日常の食卓に載るようになれば、カラスに対する認識が変わるのだろうか。
それはないだろう。
何故なら、鴨とカラスとの大きな違いは、対人間とした時の視線の向きにあるように思われるからだ。
私は鴨を見て、可愛いと思い癒される。鴨は鑑賞対象であり、見る主体はこちら側である。また、公園と住宅の様に、互いの生活圏の間に程よい距離が保たれている事によって、見る側と見られる側の境界が明確になっている。
それに対して、カラスは都市部という人間の生活圏内に入り込み、獲物(生ゴミ等)を狙っている。いつ、どこに生ゴミが捨てられるか、人間の動向を観察する必要があるだろう。
つまり、カラスは人間の領域に侵入しているのみならず、カラスが見る側(=主体)、人間が見られる側(=客体)という関係にある。
これこそが、鴨との最大の相違点であり、私がカラスを"天敵"と認識してしまう理由ではないか。知らない間に見られていると言う事は、恐怖を感じる行為でもある。
【結論】
長々と駄文を書き連ねてしまったにもかかわらず、鴨とカラスの違いをまとめると、
カラスは賢い
というひと言に尽きる。
今後も、ゴミを漁られないようにネットを張ったり、洗濯物を干す針金ハンガーをプラスチック製のに変えたりと、人間とカラスの攻防は続くだろう。
しかし、それは、単純に鳥害から生活を守るためではなく、見る側と見られる側、つまりどちらが主体と客体であるかと言う主導権争いでもある。
カラスと人間の共生。
恐らくそんな日が訪れる事はなく、私にとって、天敵カラスはこの先も天敵であり続けるに違いない。
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